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会社を辞めるのは怖くない

2020.07.14 公開 ツイート

人間関係の悩みゼロのフリーランスだからこそ、早起きすべし 江上剛

転職、独立、起業、セミリタイア……。終身雇用、年功序列が崩壊しつつある今、「会社を辞める」という選択は珍しいものではなくなっています。しかしリスクばかり考えて、あと一歩踏み出せない人も多いはず。そんな人の背中を押してくれるのが、自身も26年間勤めた銀行を辞め、作家に転身した江上剛さんの『会社を辞めるのは怖くない』です。本書の中から、新しい人生を送るための準備と心がまえをいくつかご紹介しましょう。

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今でも朝は4時に起きる

朝4時に起きて原稿を書いてから出勤し、銀行で8時間以上働き、夜は勉強や取引先との接待に出かける。銀行の支店長時代、僕はそんな毎日を続けていました。

(写真:iStock.com/Nattakorn Maneerat)

それが49歳で銀行を辞め、作家専業の道を選択した途端、家で仕事をするようになりました。フリーランスの生活を始めるにあたり、僕は最初に決めたことがあります。少なくともサラリーマンの皆さんが日中働いている間は、僕も働こうということです。

作家である僕の一日は、朝4時頃から始まります。通勤はしませんが、そこから仕事開始です。資料を読んだり、原稿を書いたりするのです。銀行の支店長時代と同じく必ず、一日8時間は労働するようにしています

夜型の作家だと、サラリーマンが仕事をしている時間に寝ている人もいらっしゃいますが、そういう逆転したスタイルはやめようと思いました。起きる時間がルーズになると、一日がルーズになると心配していたことと、サラリーマン時代の習慣通りやれば、いつまでも“普通のサラリーマン”の感覚を忘れないでいられると思ったからです。

皆さんが働いているのと同じ時に、同じように働く。そしてある時は電車を乗り継いで、せっせと取材にも出かけていく。一日一日の積み重ねを大事にして、きちんと働こう、と思いました。

リタイアしても、できるだけ起床時間や生活のサイクルは変えないほうがいい。長い間、そのサイクルで生きてきたのですから、体内時計を驚かさないようにしたいものです。

 

ただし中高年世代に入ったのだから、毎晩飲みに行くとか、第2の職場でも残業ばかりしているという仕事スタイルは、変えるべきでしょう。若い人に任せられる仕事は任せる。「今度来た人、いつまでも残っているなぁ」などという視線で見られるのも情けないじゃないですか。

早めに帰宅して、奥さんと一緒に食事をする。奥さんと一緒に何かを勉強したり、演劇や映画を観に出かける。スポーツクラブで共に汗を流し、地域のボランティア活動に参加する。いろいろなライフワークを考えていくのがいいでしょう。

会社を選ぶのは「あなた自身」

フリーランスという生活を始めてみて、人から「大変でしょう。会社とは別のストレスが溜まるのではないですか」と聞かれることがあります。ところが会社を辞めた暮らしでは、ストレスはあまりありません。原稿の締め切りが迫っているとか、「次の作品の構想が全然固まらないよ」とか、「もっと本がたくさん売れたらいいのになぁ」と思うぐらいが、ストレスと言えばストレスかもしれません。

(写真:iStock.com/kazuma seki)

どうしてストレスが溜まらないかといいますと、人間関係に尽きます。サラリーマンは、上司、部下、同僚との人間関係をどううまくとっていくかに毎日悩んでいます。どんなアンケートでも職場の悩みは人間関係が必ず一番です。フリーになれば、それがまずありません。嫌な人とは極力関係しないようにすればいいのです。だからストレスが溜まらないのかなと思います。

ストレスがいっぱいの会社員生活を辞めて、せっかく新たな生活をスタートさせようと、別の会社に移るのなら、次はストレスを感じないようなやり方にトライしてみたらどうでしょうか。

 

ポイントの一つは、会社を選ぶ時、社風などをどう見分けるか、です。あなたをのびのびと働かせてくれそうな社風があるだろうかということを調べねばなりません。会社での面接ではもちろん質問します。また社員の中に知人がいたら社風を聞いてみましょう。退職した人にいろいろ聞いてみるのもいいと思います。

要するに、会社に選んでもらうのではなくあなたが会社を選ぶ気構えでしっかり調査することです。給与などの条件がよくても、人間関係が悪い職場で働くと、大変辛くなります。辛くてそこを退職すると、そこから人生がころげ落ちるように変わっていくかもしれません。

 

また、新しい会社の目標などをしっかり聞き、その目標に真っ正面から本気で賭けてみることが大事です。その会社で働くことの意義や目的をしっかり見定めるのです。会社再建の力になろう、社会が必要とするボランティアを展開しよう……等、いろいろと目標はあるはずです。

このように前向きに考えると、意外なほど能力が発揮できて、一生懸命やっていけるものです。正攻法だから、妙なストレスはきっとない。朝、さわやかに目覚めるし、今日一日はどんな日になるのだろうと、元気が湧いてきます。サラリーマンにとって会社の目標と自分の目標が一致していることほど幸せなことはありません。

関連書籍

江上剛『会社を辞めるのは怖くない』

グチをこぼしながら今の会社にしがみついてもいいだろう。でも、どんなに尽くしても、会社は平気で社員を放り出すものだ。だったら、思い切って会社を辞め、新しい一歩を踏み出してみては? 起業するもよし、自分に合う環境を求めて転職するもよし。そのときに必要なのが(1)自分の足で立つという気構え(2)人脈(3)家族の支えだ。26年間勤めた銀行を辞めて作家に転身した著者が語る、新しい人生を送るための準備と心構え。

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会社を辞めるのは怖くない

転職、独立、起業、セミリタイア……。終身雇用、年功序列が崩壊しつつある今、「会社を辞める」という選択は珍しいものではなくなっています。しかしリスクばかり考えて、あと一歩踏み出せない人も多いはず。そんな人の背中を押してくれるのが、自身も26年間勤めた銀行を辞め、作家に転身した江上剛さんの『会社を辞めるのは怖くない』です。本書の中から、新しい人生を送るための準備と心がまえをいくつかご紹介しましょう。

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江上剛

1954年、兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。77年に第一勧業銀行(現・みずほ銀行)に入行、97年の総会屋事件当時は広報部、本店審議役として対応した。『金融腐蝕列島』(KADOKAWA)の主人公のモデルの一人。2002年に『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。03年、退職。以後、銀行をテーマにした小説を多数発表。

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