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読書会入門

2019.10.08 更新 ツイート

他人の感想を聞くことで自分の思考のクセに気づく山本多津也

本の感想を複数人で語り合う「読書会」が今、静かにブームです。それは一人で読む読書よりも、格段にメリットが多いから。誰かの感想が、自分にない視点を与えてくれたり、理解できなかった箇所は、他の参加者が補ってくれたり。日本最大規模の読書会「猫町倶楽部」の主宰者・山本多津也さんによる新書『読書会入門 人が本で交わる場所』は、そんな読書会の醍醐味がたっぷりと詰まった一冊。今回は、読書会のもたらす効果をお届けします。
記事最後の<「読書会入門」読書会>のお知らせもご覧ください!
 

10人いれば10通りの読み方がある

なぜ読書会が良いのか、読書会のもたらす効果について、より詳しくお話ししていきたいと思います。

そもそも読書会とは、〝みんなで読む読書〟です。一人で読む読書と最も明確に違うのは、同じ本を読んだ人達と、感想を一つのテーブルに持ち寄るということ。これによって何が起きるかというと、同じ一冊の本にも、10人いれば10通りの読み方があると気付くことができるのです。

数年前、太宰治の『人間失格』を課題本とした読書会を行いました。その際参加していた一人の女の子が、目を輝かせながらこんな風に話してくれました。

「この本を読んで、とても勇気が出ました!」

ご存じのとおり『人間失格』は、主人公がたびたび精神衰弱に陥ったり、自殺未遂を繰り返したりする、太宰の自伝的小説とされる作品です。これを読んで〝勇気が出た〟と感じるのかと、私は大変驚きました。少なくとも私は、そんな風には感じなかったからです。でもだからといって、彼女の感想が間違っているわけではありません。私の感想だって、間違っているわけではありません。同じ本、同じ文章を読んでも、それまでたどってきた人生やその人の思考の癖、あるいは読んだときの状況などによって、抱く感想は人によって全く違うんです。一見当たり前のことのようですが、普段生活している限りでは案外、このことに気付く機会がありません。

たとえば、SNSで多くの人がシェアしているおもしろ画像に自分もつられて笑ってみたり、絶対に泣けると評判の小説を読んで泣いてみたり。あるいは、怖いと評判の映画を観て怖かったなあと思う中では、世の中の人と自分が〝同じ〟である安心感を得られはしますが、違いを感じることはありません。けれども読書会で、特に猫町倶楽部のように、ベストセラーを扱わないタイプの読書会で、一冊の本についてじっくり時間をかけて話してみると、否が応でも人それぞれ、見ている世界に違いがあることに気付かされるのです。

ときに他人は、自分が思ってもみないようなところに注目しているものです。中には、なるほど、そういう見方もあるのか! と膝を打つようなことも多々あります。本来ならば自分の見える角度でしか読むことのできない一冊の本を、さまざまな人の目を借りながら、多面的に読み直す。そうして、著者が本に込めたメッセージを、より立体的に理解しようとする。これこそが、読書会の醍醐味だと私は思うのです。

自分の考えを客観視できる

もちろん、あなたが一冊の本を読み終えて最初に抱いた感想はあなただけのもの。読書会で周りからどんな新しい意見を聞いてもそれはそれとして、大切にするべきです。

一方で同じ本を読んだはずなのに、自分とは全く違う感想を持つ人に出会ったとき、「どうして自分はそう思わなかったんだろう?」と、自分自身を振り返ってみると、そこに思わぬ発見があるかもしれません。

同時に、私たちはつい、「この人はどうしてこう思うんだろう?」と、相手のことを考えようとしてしまいます。が、人の頭の中を覗き見することはできません。仮にもし友達や家族など、長く深く知っている人物であれば、その人の思考回路をある程度理解することも可能でしょう。けれども、読書会でテーブルをともにする人というのは、多くが初対面か、何度か話をしたことがあるという程度の相手となるでしょう。そんな人がどうしてそう考えたのかを考えたところで、その場ですぐに答えを出すのは難しいものです。

より建設的な時間を過ごすためには、「こんな風に考える人が世の中にはいるのに、自分はどうしてそうは考えなかったんだろう?」「この本を読んだ自分の考えは、自分のどういうバックグラウンドの上に生まれたものなのだろう?」と、相手との違いを機に、自分のことを振り返ってみるといいと思うのです。

たとえば、仮にもしほかの人が印象的だと感じた部分が自分には全くそうは思えなかったとすれば、その部分が自分にとっては至って日常的なものであるせいかもしれませんし、もしくは逆に、あまりにも自分から遠く、記憶のすみに引っ掛けておくためのフックすら持ち合わせていなかったからかもしれません。

一説によると、人は誰しも思考グセを持っていると言います。思考のクセは、生まれてからそのときに至るまでのさまざまな経験や、その人の持って生まれた個性や、そのほかたくさんの要素が複雑に絡み合って、偶然に出来上がったもの。自分で自分が持っているクセに気が付くのは、とても難しいそうです。だからこそ、読書会という場を活用してください。みんなの話を聞きながら、自分を客観視する。自分の思考のクセに意識を向ける。そうすることで、思わぬ気付きが得られるかもしれません。

*   *   *

<山本多津也さんを『読書会入門』を読む読書会概要>

《日程・図書》
11月2日(土)  読書会15時~17時 懇親会18時~20時

【課題図書】
山本多津也『読書会入門』(幻冬舎新書)

*各自で課題図書をご購入のうえ、当日ご持参ください。

《参加費》
読書会 1500円(税抜)
懇親会 4000円(税抜)

詳細・お申込みは、幻冬舎大学のお知らせページをご覧ください。

山本多津也『読書会入門 人が本で交わる場所』

本の感想を複数人で語り合う「読書会」は、一人の読書よりも格段にメリットが多い。誰かの意外な感想が、自分に足りない視座を教えてくれ、理解できなかった箇所は、他の参加者が補ってくれる。課題本は、ビジネス書、小説、哲学書なんでもいい。感想を自分の言葉で表現する行為は、新しい自分の発見へもつながる。参加の仕方、会の開き方からトラブル対処法まで、日本最大規模の読書会主催者がその醍醐味を伝授。

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新書『読書会入門 人が本で交わる場所』試し読み。

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山本多津也 「猫町倶楽部」主宰

日本最大規模の読書会コミュニティ「猫町倶楽部」主宰。1965年名古屋市生まれ。住宅リフォーム会社を経営する傍ら、2006六年から読書会をスタート。名古屋のほか東京や大阪などで年200回ほど開催し、のべ約9000人が参加している。本書がはじめての著書となる。

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