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読書会入門

2019.09.30 更新 ツイート

セミナー講師の言葉に落胆し、勉強したい仲間を集めて本を読むことにした山本多津也

本の感想を複数人で語り合う「読書会」が今、静かにブームです。それは一人で読む読書よりも、格段にメリットが多いから。誰かの感想が、自分にない視点を与えてくれたり、理解できなかった箇所は、他の参加者が補ってくれたり。日本最大規模の読書会「猫町倶楽部」の主宰者・山本多津也さんによる新書『読書会入門 人が本で交わる場所』は、そんな読書会の醍醐味がたっぷりと詰まった一冊。今回は、山本さんが読書会を始めたきっかけを抜粋してお届けします。
 

 

リフォーム会社経営者が読書会を始めた理由

一体なぜ読書会を始めたのか。

たまに取材を受けると、決まって、読書会を始めたきっかけについて尋ねられます。私が出版関係の職に就いていたり、書店や図書館なんかで働いていたりしたら、読書会を主宰していたって何の不思議もないのでしょう。けれども何を隠そう私の本業は住宅リフォーム会社の経営です。一般的には、本や読書とは直接関係ないとされる仕事。そんな人が、またどうして読書会なんて? と、少なからず疑問に思われるようです。

私が最初に読書会を開いたのは、2006年のことでした。当時の私は、父が経営していた会社を継いで3年目という頃。平日の夜や休日を使って、勉強のためにさまざまな経営セミナーに参加していました。あるとき、有名コンサルタントのセミナーが東京で開催されると聞きつけ、就業後にはるばる名古屋から新幹線に乗って聴講しに行きました。会場にはスーツをビシッと着込んだ、それなりに仕事のできそうなビジネスマンが大勢集まっていました。どんな話が聞けるのだろうと期待しながら待っていると、ついに登壇したコンサルタントは開口一番こんなことを言いました。

「恐らく今日、このセミナーから帰って、〝いい話を聞いたなあ〟と思うだけで、何も実行に移さない人が全体の約8割です。また、実行に移したとしても、それを継続できる人は、その中のさらに2割程度でしょう」

私はこれを聞いて内心、えー! と、椅子から滑り落ちる思いでした。落胆や憤りというより、拍子抜けしてしまったのです。往復の新幹線代と、決して安くない参加費を払ってわざわざ参加したのに、それじゃあ一体何のための経営セミナーなんだ? と。

本を学びに繫げたかった

お恥ずかしい話ですが、私が社長の座に就いたばかりの頃、会社の状況は決して良好とは言えませんでした。それを2年ほどかけ、あらゆる手を尽くして、何とか軌道に乗ったと言えるところまで回復させました。家族や社員、また社員の家族が満足に生活していくためにも、経営状態をより良くするというのは経営者の切実な課題です。だからこそ高いお金を払って勉強しようと思うんです。

それなのに、セミナーに来てもほとんどの人が何も身に付けることができないというのは、どういうことかと。そもそも、そのハードルを高いままにしているセミナーの構造自体に問題があるんじゃないか。そう思わざるを得ませんでした。ならば、一体どんな形のセミナーなら、より自然に学べ、継続することができるだろう。私はそんなことを考え始めました。

そもそも、経営セミナーの先生になるような人は大抵、何冊も著作を持っています。そしてセミナーで話す内容も、大抵は著書に理路整然と書いてあることばかりです。ならば、わざわざ高い参加費を払ってセミナーに参加しなくとも、本を読めば良いはずです。なにせ本なら高くたってせいぜい2,3000円程度。古本なら数百円、数十円で買えることもあります。

ところが本を読んで独学するというのはご存じのとおり、一見手軽なようでなかなか難しいことです。書店に行って、お目当てのジャンルの棚の前に立つと、決まってみるみるやる気がみなぎり、〝よし、これを読んで勉強するぞ!〟などと息巻くのですが、買った本を家に持ち帰り、ひとたびテーブルの上やソファの上なんかに置いてしまうと、数時間前までのやる気が一瞬で消えてしまう。読まなきゃなあ、なんて後ろめたくなることもあれば、一ページも読んでいないのに何となく新しい知識を得たような、満足した気持ちになってしまうこともあります。私の家にもそんな風に、買ったは良いものの積み上げられたままになっている本が山のように眠っていました。

そこでまずは、この日までに絶対に読了しなければならない、という期限を作ればいいんじゃないかと考えました。けれども自分だけの期限では効き目が弱いので、何人かで一緒になってやったら良いだろう。そうすれば「読み終わりませんでした」なんて言いたくないから、忙しい中でも何とか時間を作って、読了しようと努力するだろうと思ったのです。

学びを実行し継続するための仲間作り

また、ただ本を読むことすらままならないのだから、たしかにあのコンサルタントの言うとおり、本を読んで得た知識を実行に移し、さらに継続するというのは、かなり難易度の高い作業でしょう。だからこそ同じ目的を持つ何人かで、ゆるい相互監視の状況を作ってしまえば、継続だってより簡単にできるようになるはずです。

つまり、まずは本を最後まで読み、本から学ぼう。そして学んだことを継続して生かすための仲間を作ろう。この二つを満たすものを考えた結果、自然と見えてきた形こそが、ほかでもない「読書会」だったのです。

そうしてついに2006年9月、最初の読書会を開催することとなりました。参加者は私と、私の学生時代からの友人でIT企業勤務の朴。そして、私と同じリフォーム業に携わる2人の友人達でした。課題本には、ビジネス書の王道中の王道、カーネギーの『人を動かす』を選びました。参加条件は当然、開催日までに課題本を読了すること。当日は4人で2時間ほどかけて、じっくりと本の感想を語り合いました。

結果として、この試みは大成功でした。読書会が終わると、全員がこれまでのセミナーでは味わったことのないような充足感、高揚感に包まれていたのです。講演を一方的に聞いたり、本を読んだりするようなインプットだけではなく、得た学びを口に出すこと。つまりアウトプットの効果を驚くほど実感させられました。そこで私達はこの読書会を「名古屋アウトプット勉強会」と名付け、以降月に一度、定期開催していくことに決めたのです。

*   *   *

続きは、『読書会入門 人が本で交わる場所』をご覧ください。

山本多津也『読書会入門 人が本で交わる場所』

本の感想を複数人で語り合う「読書会」は、一人の読書よりも格段にメリットが多い。誰かの意外な感想が、自分に足りない視座を教えてくれ、理解できなかった箇所は、他の参加者が補ってくれる。課題本は、ビジネス書、小説、哲学書なんでもいい。感想を自分の言葉で表現する行為は、新しい自分の発見へもつながる。参加の仕方、会の開き方からトラブル対処法まで、日本最大規模の読書会主催者がその醍醐味を伝授。

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山本多津也 「猫町倶楽部」主宰

日本最大規模の読書会コミュニティ「猫町倶楽部」主宰。1965年名古屋市生まれ。住宅リフォーム会社を経営する傍ら、2006六年から読書会をスタート。名古屋のほか東京や大阪などで年200回ほど開催し、のべ約9000人が参加している。本書がはじめての著書となる。

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