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アルテイシアの熟女入門

2019.10.01 更新 ツイート

JJもアラサーも自虐するより、カッコいい四股名を考えようアルテイシア

JJ(熟女)が集まると、バスケ漫画ぐらい誰かが故障している。

「右の足首が痛い」「右ひざに違和感が」と報告しあうが、大抵が筋トレやジョギングをして痛めたパターンだ。JJに無理は禁物である。

もし今いきなり松葉崩しとかしたら、両方の股関節が外れると思う。JJにぶつかり稽古みたいなセックスも禁物だ。入念にストレッチしたうえで、そろりそろりと行おう。

 

40代はフィジカルに不調が出てくるお年頃だが、メンタルは絶好調。「人生で今が一番楽しい……!!」と多幸感に包まれるJJたち。

年をとるとマイナスの変化もあるが、それ以上にプラスの変化が多いことに、私自身も驚いている。

先日、オンラインサロン「アルテイシアの大人の女子校」のメンバーとひらパー(枚方パーク)に遊びに行った。

その時に“絶叫マシーンで絶叫しない自分”を発見した。昔はジェットコースターに乗るとギャーギャー叫んだが、43歳の私は「ヒャッハー!!」と両手を挙げて余裕だった。

恐怖を感じないのは感情が摩耗したから? とも思ったが、今でも猫や推しの動画を見ては「尊い……」と涙ぐんでいる。

要するに、JJになっていろんなことが平気になった。若い頃は些細なことに傷ついてヘコんだが、今は「効かぬのだ!!」と余裕のよっちゃん(古語)なのである。

女は40歳を過ぎるとラオウになる。若い頃は打たれ弱い自分がイヤで「強くなりたい」と思っていたが、気づくと勝手に強くなっていた。

一方「ジェットコースターどころか、ブランコでも嘔吐しそうになる」というJJもいるので、三半規管の弱い人は注意しよう。

ひらパーではタピオカを誤嚥したり、タピオカをカピパラと言ったりとJJ仕草を見せつけたが、若いガールズとはしゃぎまくって最高だった。

バスケ漫画ぐらい汗をかきつつ、「行きの電車の中でこんなことがあってね」とガールズに話した。

枚方に向かう電車の中で、私の前に小学5年ぐらいの女子三人組がいて、「もし推しと親友が溺れてたら、どっちを助ける?」と盛り上がっていた。

「えーやっぱ親友かな、推しは結構死んでるし」
「たしかに、死んでも結構復活するし」
「でも、ガチ恋勢は推しを助けるのかな?」
「あーガチ恋勢はそうかもね。あと推しがナマモノか二次元かにもよるよね」

「たしかに」と私も参加しそうになったが、知らないおばさんがカットインしてきたら怖すぎるので、笑いをかみ殺しながら聞いていた。
電車に乗ってるだけでも、この世は面白きことがいっぱいである。

ガールズに「その女の子が持ってたグッズに、警察官のイケメン二人とカワウソっぽいキャラが描いてあった」と話すと「『さらざんまい』ですね!」と即答してくれた。

「え、さらざんまいって寿司屋の話じゃないの?」とびっくりする私。『将太の寿司』みたいな話だと思っていた。

小学生も社会人も、オタク女子たちはハチャメチャに楽しそうだ。

女子校メンバーもオタク仲間で集まっては、DVDの上映会を開いたり、応援うちわを作って遠征したり、コミケで二次創作を出品したりと、充実した日々を送っている。

「リア充」はもはや古い言葉だが、ひと昔前は恋人がいることがリア充の証とされていた。

彼氏が途切れない女子の中には「特に好きなものもやりたいこともないし、彼氏がいないと退屈で死にそうだから」と語る人も多かった。

一方、周りのオタク女子たちは「好きなものもやりたいことも多すぎて、婚活してるヒマなんかない!」と語る。

同時に「毎日楽しくて幸せだけど、本当にこれでいいのかな?」「恋愛も結婚もしてない自分は欠陥人間かも?」とモヤモヤを抱えている。

私から見ると、彼女らは「男いらず」で楽しく幸せに生きていける「完全生命体」である。

そんな彼女らをモヤらせるのは「女は恋愛・結婚するのが普通」「それができない女は不幸」という、旧石器時代から続く価値観だろう。

もう令和やぞ? という話だが、アラサー女子は「会社の飲み会で『結婚したくない』と話すと、同世代は理解してくれるんですよ。でも50代のおじさんとかに説教されるんですよね」とうんざりしていた。

「恋愛や結婚の話を振られるのがウザくて、飲み会に行かないキャラで通してる」「恋愛経験がないことを隠して、エア元彼の設定を作ってる」「オタクであることも隠して、趣味は散歩とか話してる」という彼女たち。

そんなふうに偽らざるをえないのは、外野がやかましいからだ。

サッカーを観るのが好きな人に「なんで自分はサッカーしないの?」とは聞かないだろう。

でも恋愛ゲームが好きだと話すと「なんで自分は恋愛しないの?」と聞かれたり、推しに夢中だと話すと「現実に彼氏作ったら?」と言われたりする。

この多様性の時代にも「若者は恋愛するのが自然(そうじゃないのは不自然)」と押しつける勢がいて、女子を困らせている。
そんな老害仕草を撃退するために、私は「女子を困らせる人」という連載コラムを書いている。

そのコラムでは「いやー結婚したいけどモテなくて(笑)」系の自虐は一切書いていない。そんな自虐をしなくてすむように、さまざまな撃退法を提案している。

また、当熟女コラムでも自虐は書かないようにしている。それは、若い世代に呪いを引き継ぎたくないからだ。

ババアになったら人生終わり、年をとった女には価値がない。そんな呪いを根絶させたくて「いろいろあるけど、JJは最高に楽しいよ!」とJJライフを綴っている。

そんなわけで、つづ井さんのnoteには強く胸を打たれた。周りの女子たちも「2億%同意です~~~(涙)」と共感と感動の嵐だった。

つづ井さんのnoteには『「未婚で」「パートナーがおらず」「恋愛経験が極端に少ない」「女性」であることに関して自虐をするのは、もうやめようか令和、と思った』という話が書いてある。素晴らしい本文をぜひ読んでほしい。

過去の私も自虐していたが、それはサバイバルであり、自己防衛反応だった。

今でも鮮明に覚えている。大学入学当初のバイト先の飲み会で、女子校育ちで異性に免疫ゼロだった私は、めちゃめちゃ緊張していた。

それでも「がんばって話さなきゃ」としゃべっていたら、男の先輩に「うるせーなブス」「俺こんなブスと飲むのイヤだ、かわいい子連れてきて」と言われた。

現在の私なら「戦じゃー! グレッチを持て―!!」と法螺貝片手に出陣するが、18歳の私はショックで固まってしまった。
そして、それ以降は「ひょうきんなブス」として振る舞うようになった。

これ以上傷つくと死んでしまうから、先回りして自虐したのだ。それは「ブスだと自覚してるから、これ以上殴らないで」という自己防衛反応だった。

みんな好きで自虐しているわけじゃなく、生きるために必死で自分を守っている。でも結局、自虐することで「こいつは見下してオッケー」「むしろイジられたいんだな」と周囲に思われ、さらに扱いがひどくなっていく。

自尊心をどんどん削られて、私はつづ井さんのように円形脱毛症にはならなかったが、過食嘔吐するようになった。

ちなみに、私の母は拒食症で痩せ細って死んだ。「男に選ばれる美しい女じゃないと価値がない」という呪いは人を殺すのだ。

「モテる美人になって見返せばいい」と言う人もいるが、それはいじめられっ子に「いじめられないよう努力しろ」と言うのと同じだ。変わるべきはいじめる側、差別する側、それを容認する社会である。

メディアではブスイジリ・非モテイジリが娯楽として流れていて、それを見た子どもたちは「いじめや差別をしてもオッケー、むしろ笑いがとれる」と刷り込まれるだろう。

自虐は差別される側にとって、サバイバルの手段だ。でも己の尊厳を守るために、差別を容認・助長させないために、私はもう自虐はしたくない。

「30過ぎた独身女は負け犬」なんて定義も、もう無くそうじゃないか令和、と思う。

アップデートできない老害に「私は負け犬じゃない、彼氏がいなくても幸せだ」と理解してもらう必要はない。そこで「またまた強がっちゃって(ドッ!)」とか返されたら、グレッチが火を吹くだろう。グレッチって火を吹くのかな?

自虐は空気を壊さないためのサービス精神でもあるが、そんな連中にOMOTENASHIしてやる必要もない。

老害発言をされたら「あまり私を怒らせない方がいい」とプーチン顔をキメよう。立場的にプーチンになれない場面では、「明菜返し」と「bot返し」がおすすめだ。

「結婚しないの?」とか言われたら「いろいろあって……」と伏し目&小声で返そう。友近の中森明菜のモノマネを真似するといい。
すると相手は「これ以上触れたらまずい」と思うし、「恋愛や結婚の話題は地雷やぞ」とけん制もできる。

「若いうちに彼氏作らなきゃ」とか言われたら「○○さんはそういう考えなんですね」botになろう。

「今はよくても老後が寂しいよ」「へー○○さんはそういう考えなんですね」「独身で子どももいないと孤独でしょ」「へー○○さんはそういう考えなんですか」と、相手が諦めるまで続けるといい。

日本は「独身女は寂しくてミジメ」という呪いが強く、「独身だと老後が孤独で寂しい」と脅してくる人も多い。

でも実際はそういうウザい人の方が嫌われて、孤独なのだ。自分が本当は寂しいから「お前もそうなるぞ」と脅してくる。そんな人のことは「可哀想、私は友達がいてよかったな」と憐れんであげよう。

完全生命体タイプの女子も、アラサー期はモヤモヤと悩むもの。同世代が結婚・出産していくし、「結婚は?」「出産は?」とやいやい言われるし。

だが、それも35歳を過ぎると変わってくる。自分の向き不向きがわかってきて、「自分はこういう生き方が向いてるな」とソフトランディングしていく。

それに周りもやいやい言わなくなって、40歳を過ぎると本当に何も言われない。40代のシングルの友人たちは「周りがほっといてくれるし、今が一番楽しくて幸せ!」とJJライフを謳歌している。

そんな彼女らに共通するのは、経済的に自立していることと、気の合う女友達がいることだ。

「友もいらぬ、我、孤独を愛する」というタイプもいて、中二病の我は痺れて憧れるが、やはり多くの人間は「自由は愛するけど孤独はつらい」「気の合う友達はほしい」と思うもの。

女子が気の合う友達に出会える場を作りたくて、私は大人の女子校を始めた。

女の方が長寿なため、結婚しても最後はシングルになる可能性が高い。子どももいずれは巣立っていく。

だから「未婚既婚、子持ち子ナシを問わず、みんなで年をとっていこう」と女子校メンバーと話している。そして老後は、女だけのデンデラを築こうと。

未来のデンデラでは、互助会的なシステムを作りたい。たとえばオンライン上に丸2日ログインしていなければ、安否確認を行うなど。
また入院した時は替えのパンツを持っていったり、同意書にサインして手術に立ち会ったりと、支え合っていきたい。

メンバーからは「遺品整理もお願いしたい」との声があがった。「推しのDVDは○○さんに渡してほしい」「薄い本はデンデラの図書館に寄贈したい」など、故人の希望を叶えたいと思う。

私は子どももいないので、遺産はデンデラに寄付したい。と、JJなのでつい死後のことを考えがちだが、RJ(老女)期も女同士でキャッキャウフフと過ごしたい。

「デンデラでも推しやカップリングについて語りたいです!」「解釈違いがあったら、つづ井さんみたいに相撲で決着をつけましょう!」と盛り上がるオタク女子たち。

RJが相撲をとると『ああ播磨灘』以上に故障者が出そうなので、入念にストレッチを行いたい。

そして、令和は「毎日生きるのが楽しい~! ピッピロピ~~」と女性たちが自由に言える時代になってほしい。

だから自虐するよりも、カッコいい四股名を考えようぜ! とシコを踏むJJなのであった。どすこい。

アルテイシア『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった』

加齢最高!大人気連載が1冊になりました。若さを失うのは確かに寂しい。でも断然生きやすくなるのがJJ(=熟女)というお年頃!おしゃれ、セックス、趣味、仕事等にまつわるゆるくて愉快な熟女ライフがぎっしり。一方、女の人生をハードモードにする男尊女卑や容姿差別を笑いと共にぶった斬る。「年を取るのが楽しみになった」「読むと元気になれる」爆笑エンパワメントエッセイ集。

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アルテイシアの熟女入門

人生いろいろ、四十路もいろいろ。大人気恋愛コラムニスト・アルテイシアが自身の熟女ライフをぶっちゃけトークいたします!

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アルテイシア

神戸生まれ。現在の夫であるオタク格闘家との出会いから結婚までを綴った『59番目のプロポーズ』で作家デビュー。 同作は話題となり英国『TIME』など海外メディアでも特集され、TVドラマ化・漫画化もされた。 著書に『続59番目のプロポーズ』『恋愛格闘家』『もろだしガールズトーク』『草食系男子に恋すれば』『モタク』『オクテ男子のための恋愛ゼミナール』『オクテ男子愛され講座』『恋愛とセックスで幸せになる 官能女子養成講座』『オクテ女子のための恋愛基礎講座』『アルテイシアの夜の女子会』など。最新作は『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった』がある。 ペンネームはガンダムの登場人物「セイラ・マス」の本名に由来。好きな言葉は「人としての仁義」。

twitter : @artesia59

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