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美智子さまという奇跡

2019.05.01 更新 ツイート

雅子さまに託す私たちの思い

【改元特集】どうぞ雅子さまにとっての「生きやすい」皇室を〔再掲〕斎藤環/矢部万紀子

天皇皇后両陛下(皇室カレンダーより)
 

天皇皇后両陛下、ご即位おめでとうございます。
雅子さまがこの日を迎えられるまでの道のりは、決して順風満帆なものではありませんでした。多くの国民、とりわけ世代の近い女性たちは、雅子さまの苦しみ・哀しみに、わがことのように思いを寄せてきました。
皇室が雅子さまにとって生きやすいものとなり、同じように「実存のうつ」に苦しむ多くの人たちにとっても、この社会がもっと生きやすいものになってほしい――そんな願いも込めた、精神科医・斎藤環さんと『美智子さまという奇跡』の著者・矢部万紀子さんの対談をお届けします。

*   *   *

バッシングされていたら絶対に回復できない

矢部 拙著『美智子さまという奇跡』の中で、斎藤先生を皇室の広報担当にスカウトしたいと書かせていただきました。

斎藤 あれは面白いアイデアですね(笑)。主治医は守秘義務があり、広報役は担えませんから。

矢部 雅子さまは新しいタイプのうつで、それは自分が生きる意味を失った時に苦しみが始まる「実存のうつ」だと、先生は「病の意味」を語ってくださいました。生き延びるために頑張りすぎてつぶれる「生存のうつ」とは違うということ、わがままに見える病だということ、全ての解説に納得しました。これが国民、メディア、そして皇室内でも理解されていたら、雅子さまはあそこまで追い詰められなかったのでは、と思ってのことです。

斎藤 雅子妃の場合は、多少なりとも擁護の論陣を張らないとバッシング一色になってしまうと思いました。診ないで語ると精神科医は批判されがちですが、診ないからこそ語れるんです。担当医の方も、もう少し弁護的なことをおっしゃってもいいんじゃないかなという気はしますけれど。

矢部 大野裕先生は「東宮職医師団」として年に一度、文書を示すだけですが、内容はずっと同じです。最初の見解から15年経ちますが一貫して、「回復しているが体調に波があり、過剰な期待は負担になるので、温かく見守ってほしい」と。

斎藤 そういう診断書、私もたくさん書いています(笑)。職場に復帰できそうでできない人の場合、「一進一退」と書かざるを得ない。

矢部 それでも最近の雅子さまは、ずいぶん体調が良くなっているように見えます。まだ欠席される行事もありますが。

斎藤 一番いい影響を与えているのは、雅子妃へのバッシングがなりを潜めていることだと思います。

矢部 確かに最近は秋篠宮家、中でも紀子さまへのバッシングが目立ちます。

斎藤 私は雅子妃バッシングの渦中、こんなに注目されていたら絶対治らない、海外に1年以上行くしかない、と言っていました。逆に言えば、世間が無関心になればとてもいい影響がある。このままずっと無関心でいてほしいと思います、医者としては。

矢部 退位の話が天皇から出た時点で、雅子妃が近く皇后になるという道筋がはっきりしました。それにより、メディアの筆先も鈍ったと思います。その分、紀子さまがものすごい言われようになっていて。

斎藤 期せずして、盾になっているとも言えますよね。

矢部 ただ5月以降は新しい皇后として雅子さまのメディアへの露出は増え、注目もぐっと増えると思いますが。

斎藤 バッシングでなければ大丈夫だと思うんです。皇后になってますますバッシングしにくい状況になれば、少しずつ宮中祭祀などもこなせるようになるかもしれない。

矢部万紀子『美智子さまという奇跡』

1959(昭和34)年、初の民間出身皇太子妃となった美智子さま。 その美しさと聡明さで空前のミッチーブームが起き、 皇后即位後も、戦跡や被災地を幾度となく訪れ、ますます国民の敬愛を集められます。 美智子さまは、まさに戦後の皇室を救った“奇跡”でした。 ですが、奇跡は、たびたび起こることがないから、奇跡と言われます。 今私たちの目に映るのは、雅子さまの心の病や眞子さまの結婚問題等、 次の世代の方々が、世間にありふれた悩みを抱えている姿です。 美智子さまの退位と共に、皇室が「特別な存在」 「すばらしい家族」である時代も終わるのでしょうか? 皇室報道に長く携わった著者が「奇跡の軌跡」をたどる、等身大の皇室論です。

 

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美智子さまという奇跡

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斎藤環 精神科医

1961年岩手県生まれ。医学博士。筑波大学医学医療系社会精神保健学教授。専門は思春期・青年期の精神病理学、病跡学、精神分析、精神療法。「ひきこもり」並びにフィンランド発祥のケアの手法/思想である「オープン・ダイアローグ」の啓蒙活動に精力的に取り組む。漫画・映画などのサブカルチャー愛好家としても知られる。主な著書に『戦闘美少女の精神分析』『ひきこもりはなぜ「治る」のか?精神分析的アプローチ』(以上、ちくま文庫)、『アーティストは境界線上で踊る』(みすず書房)、『「社会的うつ病」の治し方――人間関係をどう見直すか』(新潮選書)、『世界が土曜の夜の夢なら――ヤンキーと精神分析』(角川文庫)、『承認をめぐる病』(日本評論社)、『人間にとって健康とは何か』(PHP新書)、『オープンダイアローグとは何か』(医学書院)などがある。

矢部万紀子 コラムニスト

1961年三重県生まれ。コラムニスト。83年朝日新聞社に入社し、記者に。宇都宮支局、学芸部を経て、「アエラ」、経済部、「週刊朝日」に所属。94年、95年、「週刊朝日」で担当したコラムをまとめた松本人志『遺書』『松本』(ともに朝日新聞出版)がミリオンセラーになる。「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理をつとめたのち、書籍編集部で部長をつとめ、2011年、朝日新聞社を退社。シニア雑誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長となる。17年に株式会社ハルメクを退社し、フリーランスで各種メディアに寄稿している。著書に『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)、『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)がある。

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