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80歳の壁を超えた人たち

2026.02.03 公開 ポスト

81歳でも声や身体が衰えない 草野仁が続けてきた「自分に合う健康習慣」を見極める方法とは和田秀樹

体力も気力も大きく変わる「80歳の壁」。そんな壁を軽やかに超え、現役で活躍し続ける人たちがいます。高齢者医療のカリスマ・和田秀樹が“80歳超えのレジェンド”たちと対談した内容を収録した『80歳の壁を超えた人たち』は、老いへの不安を希望に変える一冊です。

食事、運動、医療との距離感、意欲の保ち方まで、“老けない人”から幸せに長生きする秘訣を引き出した本書から、一部をご紹介します。

*   *   *

草野仁(くさの・ひとし)

1944年旧満州生まれ、81歳(2026年1月時点)。東京大学文学部社会学科卒業後、NHKに入局。1985年に退局しフリーに。『草野仁のGate J. プラス』(グリーンチャンネル)でMCを務めている。『「伝える」極意 思いを言葉にする30の方法』(SB新書)など著書多数。

撮影:筒井義昭

新しいことに挑戦する。合っていると思ったら続ける

和田 草野さんの声はやはりすごい。よく通りますよね。僕は昔からテレビを見ていますがずっと変わらない。今日は直に聞いて感激しましたよ(笑)。

草野 ハハハ、そうですか。

和田 年をとると、普通は小さくなったり低くなったりするんです。でも元気な人の声は変わらない。草野さんは仕事柄、いろんな人に会い、話を聞いて、感動する機会も多い。脳が常に刺激されている状態です。それも若さの秘訣だと思います。

草野 幸運にも素晴らしい刺激をいただきながら、仕事を続けることができました。

和田 この連載のテーマでもあるのですが、単に長生きするのではなく、いかに元気で自分らしく生きるか、を重要視すべきです。そのために大事なのは「あれがダメ」とか「これができなくなった」と引き算で考えるのではなく、「あれもできる」「これもやりたい」と足し算で考えることです。要は前向きに生きるということです。草野さんはいつも前向きに見えます。

草野 ハハハ。いえいえ、私は大したことないです(笑)。

和田 見聞きした情報を実際に試したりもするんですか?

草野 テレビ東京系の健康番組を担当して十数年になりますが、医師が同様に「日本人は炭水化物を摂り過ぎ」と指摘します。米にしても麦やそば、うどんにしても、炭水化物のパーセンテージが多過ぎだと。例えばご飯を2膳食べる人は1膳にする。パンを2枚の人は1枚にする。それだけでも簡単に体重のコントロールはできる。とくに男性はそうだというような話を聞きましてね。

和田 なるほど。

草野 初めのうちは聞きながら「何言ってんだ。日本人は昔から米を食べないと力が出ないものなんだ」と思ってたんです。だけど頻繁に同じような話が出てくるもんだから「じゃあ、ちょっとやってみるか」と。実際に試したら3ヵ月ほどで3キロぐらい体重が減ったんです。食べる量だけでなく食べ方も変えてみました。

和田 世間では「野菜を最初に食べるのがいい」なんて言われてますね。

草野 はい。最初から米をかきこむと血糖値がバーッと上がるし、いろんな問題が出てくるというので、最初に野菜をたくさん食べるようになりました。もちろんタンパク質も摂らなきゃいけないので卵なども食べます。そうやって医師が「よい」と言うことを少しずつ実践するようになり、続けています。

和田 その結果、お元気でいる。

草野 はい。体調は安定しています。私のやり方で大丈夫でしょうか(笑)。

和田 実際にお元気なのだから合ってるんですよ(笑)。

栄養不足は厳禁。無理して痩せる必要はない

和田 年をとって健康面でとくに気をつけなきゃいけないのは「栄養不足」なんです。食は一般的に、加齢とともに細くなってきます。でもそれにまかせると、当然痩せてしまいます。

草野 痩せるのはよくない?

和田 一概に「痩せるのがいい」とか「痩せるのは悪い」とは言えません。〝痩せ方〟には2種類あるんです。ひとつは食べる量がどんどん減っていって痩せるパターン。これは悪い痩せ方です。もうひとつは運動して痩せるパターン。これは悪くはありません。

草野 なるほど。

和田 やっぱり元気なお年寄りは、よく食べますよね。

草野 本当にそうです。

和田 もちろん無理して食べたり、無理して太ったりする必要はありません。食べたいなら食べる。食べられるなら食べる。反対に、食べたいのを我慢して痩せる必要もない。実は「ちょい太ってる」くらいの高齢者のほうが、元気で長生きなんです。明らかなデータがあるのに、多くの人はそれを知りません。草野さんは食べる量がどんどん減ってくるとか、食べるのを我慢して痩せるという感じではないので、いいと思いますね。

草野 そうですね。食べたい分量を食べています。

撮影:筒井義昭

タンパク質を重視。肉を我慢する必要はない

和田 お肉もよく食べますか?

草野 はい。ただ私は小さい頃に長崎県の島原に住んでいたので、魚をいっぱい食べて育ちました。

和田 お魚の美味しさを知ってるわけですね。

草野 はい。有明海に面した雲仙の麓の町なんですが、知り合いの漁師さんが、獲れた魚を分けてくれるんです。魚屋さんに卸しに行く途中に私の家に寄り「草野さん、なんでもどうぞ」と。すると父は「これとこれ。あ、これももらおう」なんて言っていただく。それをすぐに薄味の煮付けにしたりするんです。

和田 恵まれた環境ですね。

草野 今になって思うと「肉は高くて買えない」という懐事情もあったんでしょう。物のない時代に育った割に身体は丈夫です。魚の栄養のおかげかな、と思っています。

和田 でしょうね。実は日本人の体格は、戦後生まれの人から急によくなりました。米軍が脱脂粉乳を配り、学校給食も始まったからです。その結果、昭和30年前後に生まれた男性から身長が170センチぐらいになりました。やはり食べ物の影響は大きいと言わざるを得ません。

草野 寿命も延びましたよね。

和田 はい。かつて結核で死ぬ人が多かったのは、栄養不足のせいなんですよ。タンパク質が圧倒的に不足していた。定説では「結核による死者が減ったのはストレプトマイシンという抗生物質ができたおかげだ」となっていますが、これだと結核の患者そのものが減った理由の説明がつかない。

草野 なるほど。

和田 だから「結核の人には卵を食べさせろ」と言ってたことも理にかなっている。草野さんが魚でタンパク質をたっぷり摂れたのは幸運でしたね。

草野 そうですね。

和田 魚はDHAも含むので頭もよくなります。草野さんは今もお魚が多いですか?

草野 はい。「魚60:肉40」くらいの比率だと思います。

和田 いいですね。

*   *   *

80歳の壁を超えて、生き生きと人生を満喫する秘訣を知りたい方は、幻冬舎新書『80歳の壁を超えた人たち』をお読みください。

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80歳の壁を超えた人たち

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和田秀樹

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。『80歳の壁』『70歳の正解』『マスクを外す日のために』『バカとは何か』『感情バカ』(すべて幻冬舎新書)など著書多数。

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