「30歳になる前に、きれいな体を残しておきたい」。その思いが、宮田愛萌さんの1st写真集『Lilas』の出発点だった。約1年にわたるボディメイクと、6キロの増量。写真集に向けて体を整えていく時間は、自分の体と改めて向き合うひとつのきっかけにもなったという。撮影地に選んだのは、高校時代に短期留学をした思い出の地・セブ島。1st写真集『Lilas』には、その過程で見えてきた彼女の素直な気持ちが写し出されている。
(前後編の前編。後編は明日公開いたします)
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タイトル『Lilas』に込めた、記憶の始まり
写真集のタイトル『Lilas』は、どこか柔らかく、耳に残る響き。その由来を尋ねると少し懐かしそうに、当時の記憶をたどり始めた。
「“リラ”って、私のイングリッシュネームなんです。高校生のときにセブ島へ“超”短期留学をしたのですが、その1週間のうち、3日目か4日目くらいに急に生まれて(笑)。誰かに呼ばれたわけでもなく、自分の中で勝手に出てきた名前なんですけど、そのときの思い出と一緒に、強く印象に残っていて」
もともとは、別のタイトル案も考えていたという。
「本当は、ひらがなのタイトルがいいなと思っていたんです。でも、母に相談してみると『作家としてのお仕事と区別するためには、英語のほうがいいんじゃない?』と言ってきて。たしかに、つくる側じゃない人の意見も大事だなと思っていると、母がふと思い出したかのように『リラがいいんじゃない?』と言ってくれたんです。私も『じゃあそれで』みたいな流れで決まっていって。結果的に、母の一言に背中を押されたかたちでしたけど、もともと気に入っていた名前だったので、ここで使えてよかったなと思いました。あとから調べたライラックの花言葉も“思い出”で、意外なほどしっくりきました」

「お尻をサッカーボールに!」──1年間のボディメイク
写真集の話が動き出したのは、撮影の約1年前。その頃から少しずつ体づくりを意識するようになっていた。
「ジム自体はそれ以前から通っていたんですけど、1年前くらいから“ボディメイク”としてちゃんと考えるようになりました。最初から目標はかなり明確で、お尻のラインをサッカーボールのようにするということ。トレーナーさんからも『一緒にサッカーボールにしていきましょう』と心強いリアクションをいただきました(笑)。この写真集にお尻のカットがあふれているのも、私からスタッフの皆さんに向けて『お尻いっぱい撮ってください』とお願いしたからなんです」
ただ、その道のりは決して順調とは言えなかったそうで。
「途中で首のヘルニアが悪化して、9月が撮影だったのに、6月と7月はほとんどトレーニングができなくなってしまったんです。8月から少しずつジムの回数を増やしても、週に1回行けるかどうか、みたいな感じでした。それでも思いがけない発見があって、トレーニングができなくても想像より筋肉が落ちなかったんです。よく『筋肉は裏切らない』という言葉を耳にしてきたけれど、そのとき初めて実感しました」

スパルタな食事管理と、6キロの増量
トレーニング以上に大変だったのが食事管理だった。今回の撮影に向けて、目標としていたのは“6キロ増量”。 語り口はユーモアいっぱいだが、その裏には相当な覚悟があったことが伝わってくる。
「体重でいえば普段より6キロも増やして写真集の撮影に臨みました。理想のスタイルを実現するためには、筋肉を増やさなきゃいけなかったので、トレーナーさんからの指示もかなり具体的かつ容赦がなかった。食事の写真を送ると、『あと一口食べてください』『炭水化物が足りません』と返ってくるんです。あるとき『ご飯が無理なら大福を食べてください』と言われ、『大福のほうが無理なんだけど』と(笑)。どうしても食べきれないときは、『胃がきつかったら胃薬を飲んでください』とのことで、おすすめのものまで教えてもらっていました。お腹がいっぱいな中でも、『じゃあ、もう一口だけいきましょう』といつも励ましていただいていました」

「太ること」への抵抗と、その先にあったもの
体重を増やすこと自体に長いあいだ抵抗があったという。
「もともと太っている自分が嫌で、ダイエットをして、一度はかなり体重を落とした時期がありました。そこからずっと、“太る”ことに対して不安があって。1グラムでも減らしたい、という気持ちが続いていたんです。でも、それをやめたいとも思っていました。だって、食べられるほうがいいじゃないですか。世の中にはおいしいものがたくさんあるし、ちゃんと味わえるほうがいいなと感じるようになって。少し体重が増えても、そんな自分も受け止められるようになりたかった。だから、たくさん食べて、その上で身体も肌もさらけ出して、きちんと撮ってもらおうと決めました」
過去に一度、“痩せた先”を経験したからこそ、見えてきたこともあった。
「頑張って体重を落としたけれど、思い描いていた体型にはならなかったんです。『あ、私は自分の理想にはなれないんだな』とそこで気づかされて。それなら、少し脂肪がついて柔らかそうな体のほうが、健康的に過ごせるし、長く生きられる。そう考えるようになりました」
完成した一冊を見たときの気持ちを尋ねると、少し考えてからこう話してくれた。
「前の自分よりはずっといいなって思いました。ちょっとぽよぽよしているけど、それも含めて可愛いなって。無理して作った感じじゃなくて、ちゃんと楽しそうに写っているのがよかったんです。数字とか、理想の体型とかじゃなくて、“いまの自分”をそのまま残せた感じがして。この写真集は、もっときれいになるためというより、『このままでもいい』って思えるようになるための一冊だった気がします」

取材・文/長嶺葉月 撮影/米玉利朋子(G.P.FLAG)
スタイリング/柾木愛乃 ヘア&メイクアップ/NAYA
カチューシャ¥14,300(THE HAIR BAR TOKYO)、イヤリング¥3,850(アプロ/ロードス)、ブーツ¥33,000(ダニエラアンドジェマ)、ワンピース/スタイリスト私物












