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世界一簡単なマインドフルネス『ずぼら瞑想』

2018.12.08 公開 ツイート

マインドフルネス瞑想やってみた(3)

「折れない心」をつくる最強の瞑想法 川野泰周

禅僧×医師であり、『ずぼら瞑想』の著者でもある川野泰周さんの
『現代人の脳疲労を解消する「ずぼら瞑想」セミナー』
2018年11月5日、幻冬舎大学で行われました。
「ストレスとマインドフルネス」をテーマに行われた第2回セミナーの様子をレポートします。

現代人の脳疲労を解消する「ずぼら瞑想」セミナー【12月13日(木)開催】の詳細も、記事の最後にあり。お見逃しなく!

瞑想をすると人間関係が自然と良くなっていく

瞑想をはじめとしたマインドフルネスを習慣にしている人で、「なかなか効果が実感できません」という人がいます。
毎日5〜10分瞑想の時間を取るようにしているのに、自分の中でこれといった変化を感じられない、という悩みです。

実は瞑想の効果というものは、自分より先に周りの人が気づくことの方が多いのです。
例えば、「普段より話しかけられるようになった」「無駄な言い争いが減った」と言う経験が増えてきます。これは、周りのあなたに対する評価が変化してきたからです。

「以前より温和になった」「雰囲気が良くなった」と他人から肯定的に見られることが多くなり、悪かった人間関係が良い方に変わっていったという人が患者さんにも多くいるそうです。

社会人のストレス第1位が人間関係という話もありますから、人間関係が良くなるということは脳の疲れを取ることにも大いに繋がっていきます。

それではなぜ、マインドフルネスが人間関係に効くのでしょうか。

良いコミュニケーションに必要な2つの能力

マインドフルネスは、基本的に2つの能力のトレーニングです。
それが「気づく能力」と「受け入れる能力」。

「気づく能力」とは、物事や相手の小さな変化に気づくこと。
「気づく能力」の高い人は他人に共感できたり、相手が何を欲しているのかわかり、気遣いができるようになります。

また、「受け入れる能力」というのは、自分に起こっていることをあるがままに観察できるようになること。今起こっていることが良い状況悪い状況にかかわらず、目を背けずにそれを直視し、受け入れることができるようになる能力です。

瞑想でいうと、呼吸を観察する行為が「気づく能力」、雑念が浮かんでしまう自分を受け入れることが「受け入れる能力」を高めることにつながっていきます。

このどちらの能力も偏ってしまっては物事はうまくいきません。
例えば、「気づく能力」ばかり高くて、「受け入れる能力」の低い人は、相手に過度な期待をしてしまったり、目につくものすべて批判したい感情にかられます。

逆に「気づく能力」が低く「受け入れる能力」だけが高いと、人に騙されやすくなったり、相手のためにならないお節介ばかり焼いてしまったり、他人に振り回されことが多くなってしまいます。

よく気づき、そして受け入れる
単純なようですが、この練習がコミュニケーションを円滑にして、人間関係をより良くすることにつながるのです。

ストレスをうけても「心が折れない」人間になる


最近、強いストレスでも「折れない」心の大切さがいわれるようになりました。
それを「レジリエンス」と言います。
一般的に強い心というと、コンクリートの柱のように丈夫なイメージをしてしまいがちですが、コンクリートは強い力が加わってしまうとたちまち砕けてしまいます。

本当に強い心というのは、竹のように「しなやかな心」です。
風や雨で大きく揺らいだり、曲がることはあるかもしれませんが、元に戻ることができます。

ストレスでしなっても、もとに戻り、それを糧に成長することができる。
これが本当の強い心なのです。
どうしたらしなやかで強い心が手に入るのかというと、マインドフルネスがその答えになります。

例えば「上司に叱られた」としましょう。主観的には理不尽に叱られたと思い込み、落ち込んでしまうかもしれません。しかし、普段から瞑想をしていると「上司に叱られた」という事実をありのままに見られるようになります。

自分に対して『特別』に怒っているんだ」と早合点しがちですが、もしかしたら周りの同僚も同じように叱られているのかもしれません、単に上司の虫の居所が悪かっただけかもしれません。そう考えると他人の言動にいちいち振り回されることが無くなってゆきます。
この「他人に流されなくなる」のもマインドフルネスの効果であり、レジリエンスが向上してゆくために大切な心の在りようなのです。
 

過去にとらわれると、仕事のミスが増える

私たちは記憶の虜になってしまうことがあります。
ある仕事で失敗をしてしまい、次に来た仕事も同じようなミスを繰り返してしまう
前に嫌なことをしてきた人に顔や性格が似ている人とは、はじめから上手く付き合えなくなってしまう

人間は過去の小さなトラウマ的な記憶が、自分の中に強く刷り込まれてしまい、無意識のうちにその記憶を大前提として行動してしまうことがあるようです。
実際には過去の体験とは違う出来事であっても「自分はこういう種類の仕事でミスをした」「こういう人とは上手く付き合えなかった」という記憶がよみがえり、自分でも気づかぬうちに、ミスするように行動してしまったり、自ら心を閉ざしてしまうのです。

こうした過去に引きずられなくなるために、マインドフルネスはとても有効です。
「今」この瞬間に目を向けて、観察し、受け入れることによって、過去の出来事とは切り離して物事を考えられるようになります。
今起こっていることだけに意識を置く、ニュートラルな視点がもてるようになるのです。

マインドフルネスは小さなトラウマだけに効果があるのではありません。
大きなトラウマ経験によって不眠、自信喪失、うつ状態、解離症状が起こるPTSD(外傷後ストレス障害)にも有効であることが報告され始めており、実際に治療に応用する動きが見られているのです。

過去の失敗から物事に前向きに取り組めなくなった、こういった人にも瞑想はオススメできます。

どんな時でもできてしまう、最強の「歩く瞑想」


「時間がない」「座っているだけは辛い」「面倒くさい」
瞑想の効果には興味があるけど、実際に重い腰を上げられない、という人は多いと思います。そんなずぼらな人でも「ながら」でできてしまうのが、歩く瞑想です。
この瞑想は、通勤時間でも周りの人に気づかれることなく、こっそりできてしまいます。
それでは、まず基本的なやり方を解説しましょう。

(1)まず腕が動いて気が散らないように手を前か後ろで組みます。
目線は足元ではなく、数メートル先の床、地面を見てください。

(2)歩きながら右足の「かかとがあがる」「つま先があがる」「足が移動す」「着地する」の4つの感覚に注意を向けます。
この4つの感覚に注意を向けると、足の裏の体重移動すべてを感じることができます。

(3)右の足の感覚を感じたら、すぐに反対側の足にも意識を持っていきます。
 4つの感覚に全てにしっかり注意を向けるには、かなりゆっくりしたスピードで歩く必要があるため、人にぶつからない場所でやるようにしましょう。

以上が基礎になります。
次に普段、街の中を歩くスピードできる応用編の歩く瞑想を紹介します。

普段の歩くスピードで行う際は、体重移動に注意を払うのではなく、呼吸と歩数に注意を向けます。

息を1回吸う間に4歩、1回吐く間に4歩進む」というように呼吸と歩数を同期させながら、リズミカルに歩きます。
これだけで、呼吸と足に注意が向き、立派な瞑想になるのです。
特に脳が疲れている仕事帰りなどに試してみると、疲れがとれそうですね。

最後に参加者の方々と実際に歩く瞑想を実践してみました。
集中して歩くと、今まで感じてこなかった足の裏の感覚に気づくことができます。こうして、本来感じているのに無視されてしまっている感覚に注意を払うのがマインドフルネスだそうです。
 

***
第3回セミナーも、マインドフルネスの奥深い世界を実際に体験しながらで探求していきます。
ご興味ある方は是非、第3回セミナーもご参加ください。
 

セミナー内容

<日時>
第1回 10月4日(木) 19時00分~20時30分(18時30分開場) (終了)
第2回 11月5日(月) 19時00分~20時30分(18時30分開場) (終了)
第3回 12月13日(木) 19時00分~20時30分(18時30分開場)

<参加費>
全3回通しチケット 一般 8000円(税別)
1回のみ受講 各回 一般 3000円(税別)

<開催場所>
●名称 3×3Lab Future
●住所 東京都千代田区大手町1-1-2 大手町タワー・JXビル1階
東京メトロ東西線・千代田線・半蔵門線・丸の内線・都営三田線「大手町駅」(C10出口)より徒歩2分

※施設の入り口について
C10出口を上がり、大手町パークビル側に入り口があります。
C10出口近くのオフィス入り口(西村あさひ法律事務所様、JXグループ様受付)とは異なりますのでご注意ください。
※会場には駐車場・駐輪場がありません。公共交通機関をご利用ください。

お申し込みはこちら

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川野泰周『ずぼら瞑想』

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川野泰周

精神科・心療内科医/臨済宗建長寺派林香寺住職。精神保健指定医・日本精神神経学会認定専門医・医師会認定産業医。 1980年横浜生まれ。2005年慶應義塾大学医学部医学科卒業。 臨床研修修了後、慶應義塾大学病院精神神経科、国立病院機構久里浜医療センターなどで精神科医として診療に従事。2011年より建長寺専門道場にて3年半にわたる禅修行。2014年末より横浜にある臨済宗建長寺派林香寺住職となる。現在寺務の傍ら都内及び横浜市内にあるクリニック等で精神科診療にあたっている。うつ病、神経症、PTSD、睡眠障害などに対し薬物療法と並び、禅やマインドフルネスの実践を含む心理療法を積極的に取り入れた診療に当たっている。またビジネスパーソン、看護職、介護職、学校教員、子育て世代の主婦などを対象に幅広く講演・講義を行っている。著書に『「あるある」で学ぶ余裕のないときの心の整え方』(インプレス)『悩みの9割は歩けば消える』(青春出版社)などがある。

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