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賞味期限のウソ

2018.11.27 更新

海外では当たり前!なぜ日本では外食の食べ残しを持ち帰らないのか?井出留美

まだ食べられる食品を大量に廃棄する「食品ロス」大国・日本。しかも消費者は知らずに廃棄のコストを負担させられている。食品をめぐる、この「もったいない」構造に初めてメスを入れた衝撃の書「賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか」。

小売店、メーカー、消費者、それぞれの問題点をあぶりだし、どうすれば食品ロスを減らすことが出来るのかを考えさせられる本書から、その一部をご紹介します。

(iStock/Rawpixel)

なぜ日本ではドギーバッグが普及しないのか

 海外に出かけて、毎回印象に残るのは、外食の機会に当たり前のように持ち帰りをすることです。

 

 私がよく渡航するのは、青年海外協力隊として2年近く働いた経験のあるフィリピンです。フィリピンでは、ありとあらゆる機会に、お客さんが店の人に「持ち帰り」をお願いします。そこで断られているのを見たことがありません。



 これまで私が見てきたのは、ピザのチェーン店、地域に根ざした小さなレストラン、大規模な中華料理店、トゥロトゥロと呼ばれる屋台、JICAのパーティなどです。

 

 フィリピンでは、日本のスーパーの顧客が袋詰めする台に置いてある、薄いポリ袋に、おかず類を入れてくれます。面白かったのは、私がお世話になっている夫婦が、レストランに「こっちは人間が食べる用。この骨だらけのは犬が食べる用」と言って、人間用と犬用と2つに分けて包んでもらうよう頼んでいたことです。


 外食の際の食べ残しを持ち帰るための容器を「ドギーバッグ」と呼びますが、まさにその名の通りです。

 

 日本では、万が一、食中毒になったらという心配から、持ち帰りが許されないお店のほうが多いように思います。不思議なのは、同じお店の「持ち帰りカウンター」では持ち帰りができるのに、イートイン(店内での飲食)のところで食べ残したものは持ち帰りができないことです。同じ場所で同じように作った料理なのに、なぜそうなるのでしょうか。

 

 2009年には、ホテル業界で初めて、国際ホテル株式会社のグループホテルが、持ち帰りを推奨する取り組みを始めました。国際ホテルは、2001年に、環境活動の国際規格(ISO14001)を、新横浜国際ホテル・横浜国際ホテル・立川グランドホテルの3つのホテルで同時に取得しています。

 

 国際ホテルグループでは、公式サイトで、持ち帰りを推奨する取り組みについて、次のように紹介しています。

 

●パーティ・宴会へのドギーバッグ導入につきまして

 食品ざん削減のため、ご宴会(ブッフェパーティ/立食)で食べきれなかったお料理を、ドギーバッグに詰めてお持ち帰りください。エコマインドを持つお客様と一緒に取り組む食エコ活動です。

 

 国際ホテルでは、このための取り組みとして「国際ホテルのドギーバッグサービス2009Ver.1」として下記の取り組みを実施します。

 

1.立食パーティで食べきれなかったお料理をお持ち帰りいただけます。

2.お持ち帰り可能な料理には指定があります。

3.お客様の自己責任でこのサービスをご利用ください。

4.お持ち帰りいただいた料理は本日中にお召し上がり下さい。

5.お客様と取り組む地球環境活動

 

 立川グランドホテルではさらに、創価大学経済学部の西浦昭雄教授のゼミと連携し、2015年から「幸せ☆おすそわけプロジェクト」を始めています。創価大学のホームページでは次のように紹介されています。

 

 経済学部の西浦ゼミの学生の発案で、国内の食品ロス削減と途上国の支援につながるドギーバッグ「幸せ☆おすそわけプロジェクト」が立川グランドホテルに導入されました。ドギーバッグとは、飲食店などで食べ切れなかった料理を持ち帰るための容器です。

 

 今回、西浦ゼミが新たに提案したドギーバッグ「おすそわけBOX」には、ケニアの子どもたちが描いた絵がプリントされています。バッグが1個利用されると、NGOなどの協力団体を通じて、途上国の子どもたちの1日分の給食費と同額の12円が送られる仕組みになっています。

(iStock/Rawpixel)

 

 立川グランドホテルでは、2009年からドギーバッグを導入しており、主に立食パーティで年間2000個以上が利用されています。今回、西浦ゼミのプロジェクトに賛同し、このドギーバッグを1000個採用導入しました。今後も継続してお客様に提供していく方針です。

 

 この企画は、ケニアに留学した学生が現地の劣悪な食料事情を目の当たりにし、「食べ物がない途上国と、食品が大量廃棄されている日本。その両方の問題を改善したい」とゼミのメンバーに提案したことから始まりました。

 

 西浦昭雄教授は「社会が抱える課題に『具体的な貢献をしたい』という学生の熱意と行動力に驚いています。学生の取り組みを応援し、企業の皆様に学生を育てていただいていることにも感謝しています」と語りました。

 

 フランスでは、2016年初めから、1日180食以上提供するレストランに対し、ドギーバッグの提供を義務化する法律を施行しました。

 

 日本でも、いきなりフランスのレベルはハードルが高いですが、生ものは除いて持ち帰りを許可するとか、秋から冬にかけての気温の低い時期のみ許可するなど、融通をきかせて、少しずつ実践できることはあると思います。それだけでも、ずいぶん、食品の無駄は省けるのではないでしょうか。

(iStock/LightFieldStudios)

 

今日からできること

*外食の際は、頼んだものを、まずは食べ切る。食べ切れなければ、持ち帰りをお店の人に頼んでみる。

 

※これらの情報は、書籍刊行時のものになります

◇ ◇ ◇

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井出留美『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』

卵の賞味期限は通常、産卵日から3週間だが、実は冬場なら57日間は生食可。卵に限らず、ほとんどの食品の賞味期限は実際より2割以上短く設定されている。だが消費者の多くは期限を1日でも過ぎた食品は捨て、店では棚の奥の期限が先の商品を選ぶ。小売店も期限よりかなり前に商品を撤去。その結果、日本は、まだ食べられる食品を大量に廃棄する「食品ロス」大国となっている。しかも消費者は知らずに廃棄のコストを負担させられている。食品をめぐる、この「もったいない」構造に初めてメスを入れた衝撃の書!

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賞味期限のウソ

まだ食べられる食品を大量に廃棄する「食品ロス」大国・日本。小売店、メーカー、消費者、悪いのは誰なのか。食品をめぐる「もったいない」構造にメスを入れる。

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井出留美

食品ロス問題専門家。消費生活アドバイザー。博士(栄養学 女子栄養大学大学院)、修士(農学 東京大学大学院)。女子栄養大学・石巻専修大学非常勤講師。日本ケロッグで広報室長と社会貢献業務を兼任し、東日本大震災の折には食料支援に従事する。その際、大量の食料廃棄に憤りを覚え、自らの誕生日であり、人生の転機ともなった3・11を冠した(株)office3.11を設立。日本初のフードバンク、セカンドハーベスト・ジャパンの広報を委託され、同団体をPRアワードグランプリのソーシャル・コミュニケーション部門最優秀賞や食品産業もったいない大賞食料産業局長賞受賞へと導く。市会議員、県庁職員、商店街振興組合理事長らと食品ロス削減検討チーム川口主宰。平成28年度農林水産省食品ロス削減国民運動展開事業フードバンク推進検討会(沖縄)講師。同年11月、国際学会で本著内容発表。www.office311.jp

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