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賞味期限のウソ

2018.11.25 更新

「捨てる費用」まで織り込み済み。コンビニで当たり前に行われていること井出留美

まだ食べられる食品を大量に廃棄する「食品ロス」大国・日本。しかも消費者は知らずに廃棄のコストを負担させられている。食品をめぐる、この「もったいない」構造に初めてメスを入れた衝撃の書「賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか」。
 小売店、メーカー、消費者、それぞれの問題点をあぶりだし、どうすれば食品ロスを減らすことが出来るのかを考えさせられる本書から、その一部をご紹介します。

コンビニがスーパーより高いのは「捨てる前提」だから

 スーパーマーケットやコンビニエンスストアで食べ物を買うとき、その値段に何が含まれているか、意識せずにお金を払っている人がほとんどでしょう。でもそこには多くの人が想像したことのないコストが織り込まれています。それは「捨てるための費用」です。

(iStock/AH86)

 2016年3月1日、私はTBSの24時間ニュースチャンネル「TBSニュースバード」から依頼を受け、「ニュースの視点」というコーナーに生出演していました。この日のテーマは「食品ロスの背景~私たちができること~」。

 

 コーナーの中でVTRが流れ、元コンビニのオーナーで食品業界に詳しいという男性が登場し、こう発言しました。「コンビニ業界では、(ロスは)まず減らない。なぜなら捨てることを想定して、店も本部も計画を立てているから」。番組は、コンビニが大量の廃棄覚悟で商品を準備している、と紹介しました。

 

 スーパーとコンビニでは、どちらが食品の価格が高いでしょうか。最近では、コンビニにもPB(プライベートブランド)商品が増えてきており、一概には言えませんが、総体的に見ればコンビニではないでしょうか。なぜでしょう。

 

 コンビニは、スーパーに比べて営業時間が長く、夜間にも開店しているため、人件費や光熱費がかかることや、仕入れの単位がスーパーに比べて小さく、かつ多くの店舗に運ぶため、物流コストや仕入れ価格が割高になることなどが背景にあります。


 それに加えて、コンビニでは「捨てる前提」で、「捨てる費用」があらかじめ商品価格に織り込まれていることも理由の一つです。

 

 食品メーカーに14年5カ月勤める間、私は食品業界の様々な裏側の事情を目の当たりにしてきました。売り場面積が広く、さほど商品が回転しないアイテムでも置いてくれる余力のある大型スーパーに比べ、コンビニは、商品を置き続けてもらうための厳しい条件が食品メーカーに課せられていました。


「週販いくつ」(週にいくつ以上売れなければカット)という条件です。それが満たされなければ、定番カット(定番棚から撤去)されます。この「週販」の個数をクリアし、棚のスペースを確保して置き続けてもらうため、新製品導入直後、社員や関係者がノルマを決めて購入していた企業もありました。

 

 食品メーカーを辞めた後は、様々な理由で商品として流通できない食品を企業などから引き取り、福祉施設や困窮者へ無償で分配する、日本初の「フードバンク」で3年間、広報責任者を務めました。

(iStock/shironosov)

 このフードバンクには、コンビニの厳しい販売条件に合わなくなった「コンビニ限定」の菓子や飲料などが、数十ケース以上の単位で寄贈されていました。


コンビニ限定のものは、スーパーで売られているものに比べてパッケージがひとまわり小さい場合があります。スーパーに比べて売り場面積や商品棚が狭いからです。また、コンビニの企業名やロゴマークが入っているパンや菓子などは、そこでしか売ることができません。

 

 コンビニ限定の商品は、コンビニで売れなくなると、他へ持っていきようがないので、処分するしかありません。最初のマーケット(納品先)で販売できなかったものは、安く仕入れた品を格安で販売する店などに流されることがあります。これらの店は、投げ売りを意味する「バッタ」という言葉から「バッタ屋」と呼ばれています。

 

「捨てるための費用」はここにもかかっていた

 

(iStock/Obencem)

「捨てるための費用」が値段に織り込まれているのは、コンビニだけではありません。飲食店も同じです。

 

 私は女子栄養大学で「食文化情報論」、石巻専修大学で「フードスペシャリスト論」の講義を担当しています。ほかにも、全国の大学から依頼を受け、「食品ロス」や「キャリア」をテーマにした講演をする機会があります。そこで出会う大学生の多くは、飲食関係の店でアルバイトをしています。

 

 彼らは、コンビニ、ファミリーレストラン、居酒屋、弁当店、焼肉店、パン屋、ケーキ屋、ドーナツ屋、披露宴会場、ホテル(のビュフェ)などで、大量に食品を廃棄せざるを得ない状況に生まれて初めて直面したときの衝撃と心の痛みを、よく話してくれます。

 

 もちろん、捨てない努力をしている企業や店はたくさんあります。それを企業の公式ホームページなどで正々堂々とアピールしている企業や店もあり、心強く思います。逆に、大量に捨てている企業が、自社の廃棄状況を積極的に公式発表することはあまりありません。でも、たとえ企業が言わなくても、現場で働く大学生が、生の情報を教えてくれます。

今日からできること

 *ペットボトルの飲料や菓子など、商品の入れ替わりが激しい食品カテゴリで、新商品が何日くらいその棚で生き残っているか、毎日コンビニで定点観測してみる。

◇ ◇ ◇

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井出留美『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』

卵の賞味期限は通常、産卵日から3週間だが、実は冬場なら57日間は生食可。卵に限らず、ほとんどの食品の賞味期限は実際より2割以上短く設定されている。だが消費者の多くは期限を1日でも過ぎた食品は捨て、店では棚の奥の期限が先の商品を選ぶ。小売店も期限よりかなり前に商品を撤去。その結果、日本は、まだ食べられる食品を大量に廃棄する「食品ロス」大国となっている。しかも消費者は知らずに廃棄のコストを負担させられている。食品をめぐる、この「もったいない」構造に初めてメスを入れた衝撃の書!

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賞味期限のウソ

まだ食べられる食品を大量に廃棄する「食品ロス」大国・日本。小売店、メーカー、消費者、悪いのは誰なのか。食品をめぐる「もったいない」構造にメスを入れる。

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井出留美

食品ロス問題専門家。消費生活アドバイザー。博士(栄養学 女子栄養大学大学院)、修士(農学 東京大学大学院)。女子栄養大学・石巻専修大学非常勤講師。日本ケロッグで広報室長と社会貢献業務を兼任し、東日本大震災の折には食料支援に従事する。その際、大量の食料廃棄に憤りを覚え、自らの誕生日であり、人生の転機ともなった3・11を冠した(株)office3.11を設立。日本初のフードバンク、セカンドハーベスト・ジャパンの広報を委託され、同団体をPRアワードグランプリのソーシャル・コミュニケーション部門最優秀賞や食品産業もったいない大賞食料産業局長賞受賞へと導く。市会議員、県庁職員、商店街振興組合理事長らと食品ロス削減検討チーム川口主宰。平成28年度農林水産省食品ロス削減国民運動展開事業フードバンク推進検討会(沖縄)講師。同年11月、国際学会で本著内容発表。www.office311.jp

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