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未来の稼ぎ方

2018.10.15 更新

2024年のアフリカで売れるモノと日本企業ができること坂口孝則

Vadim_Nefedov/iStock

これから儲かる業界とそのピーク? 未来に後悔しないために今、何ができるのか?
そんな問いへの大きなヒントを与えてくれる新書『未来の稼ぎ方 ビジネス年表2019-2038』。2019年~2038年の20年間に何が起きるかを広範のデータをもとに予測した本書。2024年は、アフリカの人口増に注目です。

注目すべきアフリカの3カ国

さて、成長いちじるしいアフリカとのビジネスを考えていきたい。ところで、全体としてはざっと説明したが、それでもアフリカ個々の国についてどれだけ知っているだろうか。

以前、こういうことがあった。私のこどもが保育室に通っていたとき、アフリカ出身のお父さんが二人いた。共通点は日本語をほとんど話せず、さほど雄弁ではないということだった。うち一人は中古車の輸出業を営み、アフリカで販売しているという。

「どうやって仕入れるのですか」

「定期的に日本で中古車のオークションがあります」

「えっとアフリカは右ハンドルでしたっけ?」

「国によって異なります」

「左ハンドルの国には?」

「改造してもっていきます。車種にもよりますが1台、30万円から50万円で左ハンドルにできます」

「どのメーカーが人気ですか」

「国によります」

「まあ、そうですよね。じゃあナイジェリアは?」

「トヨタ車ですね」

「儲かりますか」

「国とマーケットの状況によります」

このお父さんが私と話したくなかった可能性をあえて無視すれば──だが、会話で「国による」と聞いて、たしかにそう思った。私が「アジアってどうですか」と訊かれても、たしかに答えようがない。アジアといっても多くの文化圏や事情がある。しかし、私たちがアフリカというとき、個別の差は消え去り、未知なる大陸である巨大なかたまりとしてしか考えられなくなる。

そこで、ビジネスの観点から、アンゴラ、ナイジェリア、ルワンダの3カ国を紹介しておく。

アンゴラ

アンゴラは原油やダイヤモンドに恵まれている。2000年代の中ごろには、経済成長率が20%を超えた。それを強く牽引したのが、原油輸出だった。2007年にはOPECにも加入した。中国はロシアとサウジアラビアから原油を輸入しているが、意外なことに、3番目はこのアンゴラだ。

ところで話が変わるようだが、ここで注目すべきはミャンマーである。このところのミャンマーの発展には中国が関係している。ミャンマーからアンダマン海を抜けインド洋からアフリカを南まわりし、アフリカのアンゴラとナイジェリアから原油を調達するためだ。

世界地図を見てもらうとわかるように、シンガポール、マラッカ海峡を通るルートよりもミャンマーの港からのルートのほうがはるかに近い。中国はアフリカ投資、対アフリカODAを積極化していると同時に、ロジスティクス上の拠点もアジアに整備していたのだ。

中国がミャンマーを開発し、そして原油を運び、さらにミャンマーを通じて自国の商品をアフリカに送ろうとしている。中国の出口戦略の観点からもこのアンゴラは注目する価値がある。

ナイジェリア

GDPは4945億ドルにいたり、OPECの一員でもある。ナイジェリアは、国家の歳入の8割を原油が占めている。そのパワーは絶大で、ナイジェリアのGDPは南アフリカを抜くにいたった。まともなGDP統計が存在しておらず、電気通信や金融業を加算すると、実はアフリカ第一の経済大国に「認定」されている(なお原油の市況価格が下がった2015年の局面では、絶望的なダメージを受けたのも事実だ)。

ナイジェリアでは、英国から独立するほんの4年前に原油が見つかった。これは独立する観点からは幸福でもあり、不幸でもあった。なぜならば、その独立前の1956年に原油が発見されてから、内部崩壊がもたらされたからだ。内戦が勃発し、国が二分され、200万人が死んだとされる。現在では英国企業の多数がナイジェリアに進出しており、新たな植民地主義ともいうべき資源の取り合いが生じている。

欧米に原油を取られてきたナイジェリアだったが、このところ中国が積極的に介在している。原油を確保するために、立て続けに中国は二国間のプロジェクトを始動させた。これにより発電や原油施設などのインフラ整備に融資していく。

中国はナイジェリアから原油を調達する代わりに、それまでナイジェリア国産だった繊維製品を安価にナイジェリアに提供することとした。中国がしたたかなのは、ナイジェリアにとっても2007年以降は、米国ではなく中国が第一の輸入国となっていることだ。中国の狡猾な戦略によって、ナイジェリアは国内の繊維産業が斜陽となった。中国は原油をナイジェリアやアンゴラに依存している関係だったはずが、自国の安価な繊維製品供給によって、むしろナイジェリアが中国依存体質になっていった。

ナイジェリアは先にあげたとおり、アフリカの人口増を牽引するところでもあり、消費拡大により市場としても注目されている。

ルワンダ

ルワンダは内陸に位置し、地下資源などに恵まれていない。しかし、同国は「アフリカの奇跡」と呼ばれた。この10年間は経済成長率を8%程度キープした。そして現在、世界中からベンチャー企業を誘致している。同政府は2000年に「VISION 2020」を発表した。これはICTを活用し先進的な国家へ脱皮する宣言書だ。

カーネギーメロン大を誘致しコンピュータ修士課程を開講した。さらにLTEサービスの提供をはじめ、電子政府プロジェクトをも開始した。ダボス会議ではルワンダはICT活用にすぐれた政府と賞賛されたほどだった。

同国は1994年のルワンダ大虐殺が記憶に新しい。しかしいまでは、同国政府は汚職が少ないことでも知られ、腐敗認識指数では2016年に世界50位となった。これはボツワナに次ぐ高順位だ。会社設立が容易で治安の良さも高評価につながっている。

日WIRED2017年VOL. 3では、ルワンダでドローン配送ベンチャーを興したカリフォルニアのZipline社をインタビューしている。〈ルワンダを選んだ理由としては、政府がヘルスケアに、そしてすべての挑戦に協力的なのが大きい。(中略)最も重要なのは、ルワンダ人の多くがもつ起業家精神だ〉。同社はドローンを活用し血液を病院に届けるサービスを展開しているが、アフリカでは先進国が100年かけて開発してきたテクノロジーをいますぐに使える利点があるという。あとは政府が積極的に技術を摂取しようとするかだ。

企業の反応1:人口増そのものにたいして

アフリカはこれまで資源の価格高騰によって外貨を稼ぎ出し、それにより経済が上向き、さらに個人消費を伸ばしてきた。実際に、原油価格とアフリカのGDP合計は相関関係にある。そして投資を呼び込み、その所得でアフリカでは個人が消費する。

アフリカにおいては政府消費や、農林漁業、鉱業、製造業などを差し置いて、個人消費がもっとも経済成長に寄与している。そして外資メーカーもそこに注目した。10年以上前よりBOPなる単語が流行した。これはボトム・オブ・ザ・ピラミッドの略で、アフリカの低所得者層向けの消費財販売などを指す。洗剤などの日用品から、飲料などにいたるまで進出が続いた。

スーパーマーケットもアフリカではかつて富裕層向けビジネスだったが、庶民向け小売店として拡大するにいたっている。

アフリカの消費者はいったん気に入ったものは使い続ける傾向が、他地域より顕著だといわれる。一般財団法人経済産業調査会発行の『アフリカビジネス』には、〈保証は絶対条件である。テレビで3~5年、冷蔵庫で10年の保証を付している〉とか〈ブランドイメージの維持が重要である。一度値下げしたらアウトであり、日本企業も韓国企業も値下げしていない〉などといった意見が見られる。

企業の反応2:健康向上ビジネス

さらにアフリカでは医療にたいする飢餓感があり安価な医薬品や私立病院の建設などが期待されている。2017年の国連の調査によると、出生時平均余命は2010年から2015年までの期間で全世界平均70・8歳に対し、アフリカは60・2歳ともっとも低い。

アフリカは農業国のイメージがあり、実際に全労働人口の6割が農業に従業している。しかし、その生産性は先進国の4分の1から5分の1にすぎない。アフリカの農業生産性は低く、食料供給はこのままだと破綻するだろう。健康向上の観点からも、アフリカ人たちへの農業技術の提供は古くて新しいテーマだ。また、意欲のあるひとたちが農業機械などを買えるように、マイクロファイナンスも発展してきている。

同時にアフリカへの穀物輸出をねらい、アルゼンチンなどからアフリカへ送るビジネスを手がける商社もある。

なお、国連開発計画によると、アフリカにおける女性たちの労働時間は長く、ケニアでは一日11時間ほど働くとされる。ケニアは一例で、アフリカ全体での家事労働の長さが指摘されているが、そのわずかな時間をぬって子どもたちのために美味しい食事を作ろうとするニーズがたしかにある。そこで加工食品メーカー等が進出している。

企業の反応3:未開分野開拓

ルワンダの箇所で〈アフリカでは先進国が100年かけて開発してきたテクノロジーをいますぐに使える利点がある〉と引用した。おなじく、アフリカでの同種の取り組みとして面白いのは、ケニアで施行されているOkHiというサービスだ。

73億5000万人の世界人口のうち、住所を有しているのは、30億人ほどしかいない。住所をもたないひとが40億人強もいる。彼らに荷物を届けようと思っても届けられない。しかし、彼らはGPSで観測できる座標はもっている。それによって配送対象を拡大している。

おなじくアフリカにはいまだに電気が通っていない地域がある。そんな地域で電気の自給は一つの解決策になるだろう。実際に、簡易的な自家発電装置を販売するサービスがある。

アフリカ諸国は再生可能エネルギーへの投資を急拡大している。ただでさえ既存インフラではまかなえていない電力が、人口増に伴ってさらに必要になるためだ。再生可能エネルギーで充足させられるのかは疑問であるものの、太陽光発電などが重要視されている。

また現在、ブロックチェーンの技術も話題になっている。これはビットコインでも活用されている技術だ。簡単にいえば、中央にある集中化したサーバーで情報を管理するのではなく、暗号化されたデータを分散されたコンピュータで所有し改ざんをしにくくする。これを活用しようというのが、アフリカにおける土地登記システムだ。というのもアフリカでは政府が信頼できず、国家にのみ土地管理データを預けておくと恣意的に改ざんされるかもしれない。それをブロックチェーンによって制御できれば、安全性が高まるため海外からの投資を呼ぶこともできるだろう。

アフリカに対する戦略が必要

もっともアフリカ経済が安全かというと、そうでもない。原油に依存しているため、価格下落に国家財政はダイレクトに影響を受ける。そこで、逆にアフリカの苦境を「活用」しようという動きもある。

とくに中国はモノづくりの原材料をアフリカから輸入し、そしてアジアの安価な労働力を活用し、さらにそれをアフリカに販売するサプライチェーンを構築している。たしかにそれは植民地時代の搾取システムと同義かもしれない。しかし、ナイジェリアのようなアフリカの国々を市場として開拓した先見性は認められてもいい。

日本も戦略性をもってアフリカと接しなければならない。まずは一度ナイジェリアなどに行ってみるところからはじめたらどうだろうか。

2024年に起きる変化まとめ

・アフリカが世界の中で存在感を増し、とくに人口増を背景としたビジネスが勃興する

考えておくべきこと

・自社商品のアフリカ市場への展開

・農業関連ビジネスの応用

こういうものが売れる

・食品

・日用品、雑貨

・インフラ関連ビジネス

稼ぎ方:アフリカの人口増は日本企業に恩恵をもたらす

アフリカの特徴として働き手が国境をこえている点がある。それは祖国への仕送りの多さを意味する。毎年250万人が祖国をあとにしている。現在ではビットコインなどを使った送金手段もある。出稼ぎ先と祖国をつなぐサービスなどは必要とされるだろう。

また、日本の高度成長期のことを考えてみよう。かつて日本では人口増により外食業界で調理時間が足りなくなり、それがセントラルキッチンという発明を生んだ。また、オリンピックの警備人員不足が民間の警備会社を躍進させた(セコム等)。

アフリカの人口増が、そのまま住宅を増やすとすれば何が起きるだろうか。その際に問題となるのは、建築家が足りなくなることだろう。そして、建材の生産ノウハウなども、日本が優位性をもっている。

くわえて、人口増が都市の密度をあげ、そして自動車であふれかえるようになったらどうなるか。アジアで見られる交通渋滞をさらにひどくした状況になる(現になっている)。そのようなとき、手軽に車中で暇を潰せるゲームが人気となる。

人口増はアイディアしだいで、日本企業にも大きな恩恵をもたらすだろう。

*2019年~2038年の他の年については、『未来の稼ぎ方』をご覧ください。

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<イベントのお知らせ>
坂口孝則×竹村優子
「短命化する仕事とDIY化する人生のなかでどう稼ぐか?」

日時:2018年10月29日20時~22時(19:30開場)
場所 :本屋B&B(東京都世田谷区北沢2-5-2 ビッグベンB1F)
入場料:■前売1,500yen + 1 drink ■当日店頭2,000yen + 1 drink
詳細、お申込みのページ

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坂口孝則

調達・購買コンサルタント/未来調達研究所株式会社取締役/講演家。
2001年、大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。
製造業を中心としたコンサルティングを行う。
著書に『牛丼一杯の儲けは9円』『営業と詐欺のあいだ』『1円家電のカラクリ 0円iPhoneの正体』『仕事の速い人は150字で資料を作り3分でプレゼンする。』(小社刊)などがある。

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