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アメリカ中間選挙レポート

2018.10.11 公開 ポスト

第8回

トランプ大統領が2018年のノーベル平和賞を逃して安堵したリベラル派が気づいていないこと渡瀬裕哉

米朝首脳会談の共同声明署名の様子(2018年6月12日、提供:朝鮮通信=共同)。今年のノーベル平和賞を巡ってこの2人の名前が騒がれた。

本丸は2019年。大統領になっただけのオバマが受賞して、トランプが受賞しない理由は考えにくい

 2018年のノーベル平和賞受賞者として、コンゴ民主共和国のデニス・ムクウェゲとヤズディー教徒のナディア・ムラードが選出された。これは紛争地帯における暴力と性被害をテーマにした二人の活動が評価されたものだ。リベラル派のメディアは♯MeToo運動と絡めて間接的にトランプ政権に対する印象操作を行おうとしているが、こじつけるのは無理がある。実際、受賞者らに起きた出来事の理解はそれほど簡単なことではないと思う。

 トランプ政権は政権発足間もない頃に、「イスラム教徒の入国禁止」の大統領令として知られる行政措置を行った。今年6月には最高裁で、イスラム圏5カ国からの入国制限措置が支持され決着はついたが、この大統領令に対して当時は「イスラム教徒に対する差別だ!」とするリベラル勢力からの声が巻き起こり、各地で暴動が発生するとともに全米各州の裁判所に違憲訴訟が起こされた。その時、民主党が“イスラム教徒差別”として問題視した大統領令の項目こそが「少数派宗教の人々を優先して受け入れる」という部分だった。多数派のイスラム教徒がこの項目で排除されてしまう、差別だという主張だ。

 この主張をもとにした彼らの行動は不可解だ。削除せよと騒いだ項目は、トランプ政権がテロ対策のためにテロリスト渡航禁止法対象国からの入国を厳格化しようとしつつも、たとえば、先のムラ―ドさんのようなヤズディー教徒などを含む人々を優先して受けようとした条項そのものだ。少数派や弱者を重んじるという彼らの根本思想はどこへ行ったのか。そして、結局、リベラル派からの批判を受けた改定後の大統領令からはその条項は消えることになった。

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アメリカ中間選挙レポート

11月6日の米国議会選。トランプ大統領の共和党は勝てるのか? 著者独自の情報源と現地報道をもとに、刻一刻と変わる中間選挙の行方を共和党視点で分析。アメリカは変わるのか変わらないのか。この結果が日本にもたらすものとは?

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渡瀬裕哉

1981年東京都生まれ。国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。創業メンバーとして立ち上げたIT企業が一部上場企業にM&Aされてグループ会社取締役として従事。著書に『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか―アメリカから世界に拡散する格差と分断の構図』(すばる舎)などがある。

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