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質素であることは、自由であること

2017.10.08 更新 ツイート

あなたは今この瞬間に幸せになれる!
~世界でいちばん質素なムヒカ前大統領夫人が教えてくれたこと~ 有川真由美

「貧乏な人とは、少ししか物をもっていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」
ホセ・ムヒカ前ウルグアイ大統領は2012年、ブラジルのリオデジャネイロで開催された国連の「持続可能な開発会議(Rio+20)」のスピーチで「世界で最も貧しい大統領」として世界的に有名になりました。
そんなムヒカ前大統領の生活を長年支え、共に「持たない暮らし」を実践する妻ルシア・トポランスキーさんに有川真由美さんが取材しました。
テーマは「幸せに生きるために必要なもの」。
その取材をまとめた『質素であることは、自由であること』(幻冬舎より発売中)より
この瞬間から幸せになる方法について紹介します。

 

幸せは命あるものからしかもらえない

「幸せは人間のように命あるものからしかもらえない。物は幸せにしてくれない」というのもムヒカさんの名言だ。
まわりの人の“愛”だけでなく、祖先が与えてくれた“愛”や自然が与えてくれた“愛”で、私たちはできている。
愛が足りないと、なにかと不平不満を抱えるようになる。
そんなときは、意識することだと思う。
「自分のなかにある“愛”」と「まわりから与えられた“愛”」に。

かならずあるはずなのだ。人のためにできることがあること、人の幸せを願えること、声をかけてくれる人がいること、助けてくれる人がいること、これまでたくさんの愛に支えられて生きてきたこと……。
そんなふうに“愛”を感じる力があれば、どんな状態であろうと、人は幸せになれるのではないか……。

欲のバランスを崩さないためのカギになるのは、「私はこの程度がちょうどいい」という自分の心地よさの感覚を大切にすることと、もうひとつ、“感謝”なのではないかと思っている。
ムヒカさんは長年、刑務所のなかにいるとき、床で寝ていたので、マット一枚与えられただけで、幸せな気持ちになったという。のちにこう言っている。
「私は、なにもないなかで生き残りました。それで、人生において、限度を知り、どんなちいさなことにもありがたみを感じるようになったのです」
おそらくルシアさんも、過酷で孤独な状況のなかで、人生や幸せについて、深く考えたのではないかと思う。

現代社会は、物があることも、便利なこともあたりまえになっているが、よくよく考えると、いま一瞬、そうであるだけで、あたりまえではないことばかりだ。
先に、ウルグアイの人びとのいちばん欲しいものは「安全な環境」と書いたが、私たちの国では、あたりまえのように安心安全な環境があり、治安のよさは世界最高レベルのものだ。

私のモノサシとして、日本に生まれたということは、ひとつの幸運だという実感がある。女性が夜中にコンビニまで歩いて行ったり、カメラをバッグの外に出して持ち歩けたりする国は、そうそうあるものではない。ゴミが散乱していないきれいな街中も、水道水が飲める環境も、なにかあったら、すぐに駆けつけてくれる警察官や救急隊がいるのも、どこでもあるわけではなく、みんな先人たちがつくり上げてきたものだ。

私たちは、放っておくと、「有難いもの=奇跡的に存在しているもの」に目を向けず、「足りないもの」に目を向けてしまう心のクセがあるようだ。
「ありがとう」という言葉は、暴走しそうになる欲求に「キリないじゃん」とブレーキをかけて、我に返らせてくれる。いつも、さまざまなことに「ありがとう」と感謝していれば、自分にとって不必要なことを闇雲に求めず、自分を本当によろこばせてくれるものだけを求めるようになってくる。

 

人は無条件に幸せになれる

次々に新商品が生み出され、物やサービスがあふれた現代社会では、「必要かどうか」を検討することもなく、新しいものを手に入れる機会が増えてしまう。
もし、「あれ? これって必要?」と迷ったときは、ちょっと立ち止まって「これを手に入れることで、本当に精神的にゆたかになるのか?」と、思いめぐらしてみるといいだろう。きっとほとんどは、それほど必要なものではないか、それを得ることによって、マイナスの側面もあるはずだ。大切なものを大切にするには、なにかを手放すことも必要なのである。
「人がものを買うときは、お金で買っているのではない。そのお金を貯めるために割いた人生の時間で買っているのです」
これもムヒカさんの名言だが、なにかを手に入れるために、働く時間を捧げていることを忘れてはいけない。

ときには、自分の内側に目を向けて、「私はもうじゅうぶんもっている」「こんなに手に入れてきたものがある」と、いまの自分自身を省みることも必要だ。
「みんながもっているから欲しい」という“大衆的”な欲に気づいて、それから距離を置こうとする人が、心に余裕をもってゆたかな時間を過ごし、本当に欲しいものを手に入れていく。

なにももっていなくても、なにも達成していなくても、無条件に人は幸せになれるということをわかっていれば、あとの自分で選んでいることのすべては、“オプション”であり、「~しなければ」というものではなく、「したいから、する」という“遊び”のようなものになってくる。ただ好きだから、ただ楽しいから、ただやりたいからやっている……というように。

それは、政治家でも、作家でも、経営者でも、会社員でも、だれであっても同じことだと思う。
ルシアさんは、大自然のなかで気持ちよく深呼吸をして、「満ち足りた自然の流れのなかでは、足りないことなんてありえないでしょう?」と言っているようだ。

 

関連書籍

有川真由美『質素であることは、自由であること 世界でいちばん質素なムヒカ前大統領夫人が教えてくれたこと』

お金がなくても、誰でも幸せになれる! 給料の9割を寄付する。資産は中古の車1台のみ。 ムヒカ氏との質素な生活の末に辿り着いた 人生に最小限必要で、最高に価値あるものとは? 「世界でいちばん貧しい大統領」として有名になったウルグアイ前大統領ムヒカ氏。 彼と長年付き添っている妻のルシア・トポランスキーに女性エッセイスト・有川真由美がインタビュー。 ムヒカ氏とのなれ初めから、物を持たずに幸せになるということ、お金との向き合い方など誰でも 幸せになるヒントが盛りだくさん。持たない暮らしの幸福論。 【内容】 ・働けば働くほど幸せから遠ざかる ・生きる意味は近くにある…… ・ゆたかになっても幸せにはなれない ・「〜したい」が人生を変える ・暗い側面を見ることは悲観的ではない ・スーパーで人生は買えない ・愛のないものを欲しがってはいけない ・人生に少しだけ花の種を置いていく

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有川真由美

鹿児島県姶良市出身。台湾国立高雄第一科技大学大学院応用日本語学科修士課程修了。化粧品会社事務、塾講師、科学館コンパニオン、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリーカメラマン、新聞社、編集者などその数50の職業経験を生かして、自分らしく生きる方法を模索し、発表している。また、世界約40か国を旅し、旅エッセイやドキュメンタリーも手がける。著書に『遠回りがいちばん遠くまで行ける』『上機嫌で生きる』(小社)他多数。

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