
昔から二月と八月は、本屋に限らず小売業では「売上の谷間の時期」といわれております。古本屋やカフェを経営する、個人経営の店主たちともよく話をしますが、夏はお互い口を開くと「お客さんがこないねー」という話になりがちです。
Titleも荻窪駅からは歩いて十分少々かかりますので、昼間はバスをご案内もしておりますが、夏場の盛りにはどうしても客数は減ります。そんなさなかに来て頂いたお客さまには、なるべく店内で涼しく過ごして頂こうと、カフェでは夏の期間限定でかき氷を出しております。「本屋でかき氷」ということが珍しかったのか、これは好評をいただいており、入店後すぐにカフェでかき氷を食べて身体を落ち着かせてから、店内の本をゆっくりとご覧になるお客さまも増えてきました。
余裕があれば、この時期に1か月くらい長期の休みを取り、鋭気を養ってから、秋の営業に備えるということも、賢い考えかただと思います。Titleは今年はじめて(といってもまだ二年目ですが……)夏休みを4日間取りますが、それでも恐る恐るという感じです。
本屋には、雑誌を定期購読しているお客さまもおりますので、長期間休むということは、その分お待たせすることになります。また、新刊書店はその時々に発売される新刊本を入れ替えながら店を作っていくので、長期間休むとその流れが滞ってしまうという不安があります。一度止めた流れを回復させるのには、同じくらい時間が必要になってくるでしょう。そのようなこともあり、「長期のバカンスを楽しむ」ということには、なかなか踏み切れずにおります。
人が少なくなる時期でも、お客さまはSNSで発信する情報など、何らかの形で店のことを見ており、その間に手を抜いていると、夏が終わってからも客足が回復しなくなります。そう考えると、毎朝照り付ける日差しと、店に入った時の暑さに毒づきながら、それでもやれることをコツコツやるしかないようです。
今回のおすすめ本

『はくぶつかんのよる』イザベル・シムレール 石津ちひろ訳 岩波書店
『あおのじかん』が人気だった、フランスのイラストレーター、イザベル・シムレールの絵本。ナイトミュージアムさながらに、夜の静まり返った博物館を、動物たちが動き回ります。日本では見ることがないような、深みのある青の表現が素晴らしい。石津ちひろさんの訳も、しんとした原作の雰囲気を活かしたものです。
◯連載「本屋の時間」は単行本でもお楽しみいただけます

連載「本屋の時間」に大きく手を加え、再構成したエッセイ集『小さな声、光る棚 新刊書店Titleの日常』は、引き続き絶賛発売中。店が開店して5年のあいだ、その場に立ち会い考えた定点観測的エッセイ。お求めは全国の書店にて。Title WEBS
◯2026年1月10日(土)~ 2026年2月2日(月) Title2階ギャラリー
本屋Titleは、2026年1月10日に10周年を迎えました。同日より2階のギャラリーでは、それを記念した展示「本のある風景」を開催。店にゆかりのある十名の作家に「本のある風景」という言葉から連想する作品を描いていただきました。それぞれの個性が表れた作品は販売も行います。本のある空間で、様々に描かれた〈本〉をご堪能ください。
【『本屋Title 10th Anniversary Book 転がる本屋に苔は生えない』が発売中です】
本屋Titleは2026年1月10日で10周年を迎えました。この度10年の記録をまとめたアニバーサリーブック『本屋Title 10th Anniversary Book 転がる本屋に苔は生えない』が発売になりました。
各年ごとのエッセイに、展示やイベント、店で起こった出来事を詳細にまとめた年表、10年分の「毎日のほん」から1000冊を収録した保存版。
Titleゆかりの方々による寄稿や作品、店主夫妻へのインタビューも。Titleのみでの販売となります。ぜひこの機会に店までお越しください。
■書誌情報
『本屋Title 10th Anniversary Book 転がる本屋に苔は生えない』
Title=編 / 発行・発売 株式会社タイトル企画
256頁 /A5変形判ソフトカバー/ 2026年1月10日発売 / 800部限定 1,980円(税込)
◯【寄稿】
店は残っていた 辻山良雄
webちくま「本は本屋にある リレーエッセイ」(2025年6月6日更新)
◯【お知らせ】NEW!!
養生としての〈わたし〉語り|〈わたし〉になるための読書(8)
「MySCUE(マイスキュー)」 辻山良雄
今回は、話すこと、そしてそれを通じて自分自身を考えさせられる3冊の本を紹介します。
NHKラジオ第1で放送中の「ラジオ深夜便」にて本を紹介しています。
偶数月の第四土曜日、23時8分頃から約2時間、店主・辻山が出演しています。コーナータイトルは「本の国から」。ミニコーナーが二つとおすすめ新刊4冊。1週間の聴き逃し配信もございますので、ぜひお聞きくださいませ。
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本屋の時間

東京・荻窪にある新刊書店「Title(タイトル)」店主の日々。好きな本のこと、本屋について、お店で起こった様々な出来事などを綴ります。「本屋」という、国境も時空も自由に超えられるものたちが集まる空間から見えるものとは。

本屋Title10周年記念展「本のある風景」











