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福沢諭吉の『学問のすゝめ』

2016.07.09 更新 ツイート

福沢諭吉の『学問のすゝめ』政治編(3)

国民が「政府と同位同等の地位に登らないなんてどうかしてるぜ」と、諭吉はかました橋本治

好評発売中の橋本治著『福沢諭吉の『学問のすゝめ』』から、一部を抜粋してお届けする、試し読み第二弾。
政治家なんかになろうとする人より、それを取り巻く、まだ何も知らない国民に伝えたいことが諭吉には山ほどあったようです。

 表立っては言わなくても、彼はちゃんと明治政府のあり方を監視しています。だから、政府とつながる《学者》を罵倒して、やっぱり政府のあり方を変えはしなくとも、少なくとも補正くらいはされてしかるべきと考えています。それだから『学問のすゝめ』の二編の最後は、《政府と相対し同位同等の地位に登らざるべからず。》と結ぶのです。《登らざるべからず》は「登らないなんてどうかしてるぜ」です。悪い言い方をしてしまえば、福沢諭吉の態度は、「俺はどうともしないけど、君らはなんとかしなさいね」なのです。

 そのために「なんだかんだ言ったって、世の中には昔のまんまの考え方をしてるバカが多いよ」と状況分析をしています。つまり、「こういう社会を君達はなんとかしてね」で「君達がなんとかしなきゃいけないのは、こういう社会だよ」です。

 ここは私の推測ですが、福沢諭吉の政治に対するクールな無関心の裏には、「そんなこと言ったって、政治や政府はそう簡単に変わらないだろう」という認識があるからのように思われます。

 諭吉自身はクールなまま、国民には「政府と同位同等になれ」とけしかけた真意はどこに? 政治編(4)へ続きます。明日7/10(日)公開。

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橋本治『福沢諭吉の『学問のすゝめ』』

君も賢くなれる、と諭吉は言った――。で結局、何を学ぶのか? いまだにベストセラー!!(当時20万部、岩波文庫71万部) 感動!興奮!泣ける!! 橋本治の熱血講義 全十七編のうち「初編」(冒頭たった10ページ)だけ読めばいい。 超有名なのに、みんな実は内容をよく知らない、 『学問のすゝめ』の魅力とは― 自由とは? 平等とは? 明治政府って何やるの? 天皇ってどんな人? 藩と国はどう違う…? まだ庶民が江戸脳だった明治5年に出版され、当時20万部の大ベストセラーとなった『学問のすゝめ』。列強侵略の脅威を一旦は免れたものの、その真の恐ろしさや近代化のなんたるかが全然わかっていない日本人に、諭吉は何を学べと言い、彼らを熱狂させたのか? 当時の時代背景や、ことばの意味、諭吉の思考回路もおりこんだ新感覚の解説本。そしてなぜ現代人も、時代の節目節目に、この本を繰り返し読んでしまうのか、その理由も明らかに! 蒙【バカ】が大嫌いな福沢諭吉の、蒙【バカ】への愛まで伝わってくる、感動の講義録。

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橋本治

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文学科卒業。小説、評論、戯曲、古典の現代語訳、エッセイ等、多彩に活動。『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)等、著書・受賞歴多数。

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