誰かを待つ時間、その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに、そんな「待つ時間」をテーマにして選曲&言葉を綴っていただきます。
スクランブル交差点を渡りながらノイズキャンセリングヘッドホンで、あらゆる雑音から耳を塞ぐ君を見ていた
行き交う人々は個々の目的地へ向かう魚のように雑踏を泳いでいて、虚しさ悲しさも最初から知らないみたいな顔をしながら
人を好きになれば些細な出来事さえ、脳内でフィルム状に編まれてゆく記憶の倉庫に残ると
ふとした表情、何気ない会話、別れ際に交わした短い言葉まで、余韻に抱かれながら何度も思い返してしまう
あのとき、もう少し素直になれていたら
そんなことを考えても仕方がないのに
君は、僕にとってどんな存在なのだろう?
ただ一緒にいるだけで楽しい人
自分の知らない世界を見せてくれる人
気づかないうちに、ものの見方まで変えてしまった人
誰かを特別に思う気持ちは、うまく説明できない
相手のすべてを知っているわけではないし、いつも理解し合えるとも限らない
もっと話したい、もう一度会いたいと思う
その繰り返しが、いつの間にか恋になっていて
街を歩いていると、楽しそうな二人連れが目に入る
少し羨ましくなって、君と過ごした時間はこれからも増えていくのだろうか? それとも今の気持ちだけが、いつか懐かしい思い出になるのだろうか?
答えはまだわからない
好きな音楽も、よく通る道も、以前とは少し違って感じられる
何かが大きく変わったわけではない
日々のなかに君を思い出す瞬間が増えた
音楽を聴きながら、僕はもう少しだけ歩く
誰かを好きでいることは、思っていたより静かで、確かなものなのかもしれない

有元キイチ『Human Trust Band』(2026年、Eucalyptus Records)収録
渋谷で君を待つ間に

誰かを待つ時間、あなたはどんな風に過ごすでしょうか。
その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
この連載では、そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽を、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに毎回紹介していただきます。
- バックナンバー
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