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あぁ、だから一人はいやなんだ。

2026.09.15 公開 ポスト

第277回 ピアノリレー連弾いとうあさこ

ある意味、前回の“続き”、です。今年の『24時間テレビ』は“イッテQ! 女芸人一芸生合宿”。そのタイトルだけは事前に聞かされましたが、内容も、いつやるかも何にも教えてもらえず。集合は土曜日の朝。私はラジオ終わりでそのまま国技館へ。「さすが前にやったことあるものだよね?」「よく子どもたちと、みたいなパフォーマンスしてきたけど、当日だから今回はうちらだけか。」「スタッフさんも一芸合宿を何度も見てきて知っているから、絶対無理、みたいなことはない、といいね。」みんな不安過ぎて、そんなことばかりを話している。

 

お昼頃、内村さんと合流し、演目の発表。今回挑戦するのは“ピアノリレー連弾”。2年前、内村さんの還暦を祝って、『イッテQ!』ほぼフルメンバーで行われた合宿でやったもの。でもつくづく思いますが、“知らないこと”をするのはそりゃあシンプルに難しい。でもね、一度やったことでも、やったことあるからこそ知っているその難しさ、それに向き合う怖さ、ってありますよね。以前書いたことがありますが、番組の企画でやった、真冬の海に飛び込み“どれだけ夏に見えるかコンテスト”。初めての時は“知らない”から。ビキニでみぞれ混じりの雨が降る千葉の海に思いっきり飛び込みまして。しばらく波打ち際ではしゃぐ、という。その思いっきりの良さが功を奏して(?)見事優勝。で優勝したもんだから第2回目もお呼ばれしまして。ただね、もう“知っちゃった”んですよ。冬の海に思いっきり飛び込んだら心臓、っていうかもう全身に、ドンッと強い衝撃が来ることを。だから“ちゃんと”怖くなっちゃいまして。海に飛び込む瞬間、「アハハハ、アハハハ」と波と戯れるフリして、こっそり心臓に水かけたりして。とにもかくにもそういうことです。ピアノリレー連弾の、難しい、を“知っている”我々はただただ、ヤバい、と。じゃあ早速練習! といきたいところですが、詳細の発表は『24時間テレビ』が始まってから。うん、そりゃあそうなんだろうけどさ。ううう、練習させてほしいぜ。

とりあえず『24時間テレビ』が始まるまで、事前番組や直前の『青空レストラン』にちょっこし出演、などはあるけれど、一旦近くのホテルへ。その移動しようとした時のこと。国技館に入ろうとしていた学生さんたちがおりまして。ん? なんか、知っている子、いるぞ? そうだ! 3年前に我々女芸人たちと一緒に『24時間テレビ』で“インド・ナートゥダンスメドレー”に挑戦してくれた横浜市立ろう特別支援学校の子たちだ! 駆け寄る私たち。聞くとSixTONES京本大我さんと一緒に“ドラムライン”に挑戦するとのこと。当時もめっちゃいっぱいお喋りしたゆいとくんには「好きな食べ物は変わってない?」と。3年前の自己紹介で私が「好きな食べ物はキャベツです」と手話でやったのをまだ覚えていてくれたのだ。しかもこないだのハンドパン一芸合宿も見てくれたようで。「宴会見たよ」と。特にお気に入りはバービーのやった細木数子さん風のネタ・細木バビ子の「ふんわり言うわよ」。最高。短い時間でしたが、思ってもみない再会にただただ感動。「頑張ってね!」と伝え、お別れしました。

いよいよ『24時間テレビ』スタート。番組内で内村さんから“どこ”で“何の曲”を弾くか、の発表が。それは“日曜17時半『笑点』演芸コーナー”で、「笑点のテーマ」で締める8曲“元気が出るクラシックメドレー”。早速、国技館内の練習場所へ移動。猛練習がスタートです。ちなみに8曲と言ってもめちゃくちゃ短いのもありまして、全部で約3分。このピアノリレー連弾は元々、音楽教室の子どもたちでやっていたもの。小さき子どもたちが横に2~5人くらい並んで、入れ替わり立ち替わり曲をつないでいく。こちとら、お体大きめサイズの大人たち。まずそもそも横並びがむずかしいのに、それが入れ替わるのは至難の業。前の人の体と体の隙間から何とか手を突っ込んで途切れないように弾く。途中から“助っ人”として山崎育三郎さん、永尾柚乃ちゃん、林家たい平師匠のお三方が加わってくださることに。育三郎さんは『24時間テレビ』のチャリティーパートナーとして他にもいろんな企画に参加しながら、たい平師匠はまさかのピアノ未経験なのに『笑点』を背負って、そして柚乃ちゃんは大きい我々に押しつぶされそうになりながら、めちゃくちゃ一生懸命支えてくださいました。ありがたい。

土曜は夜中2時半まで、翌朝もはよからひたすら練習しました。途中、練習場所のモニターを見ると“ドラムライン”が始まろうとしていた。テレビの音量をあげてもらう。VTRでは小さい子が出来なくて泣いてると、すっと近くに寄りそった2人がいて。ブレイクダンスが上手い優斗くんと、私にいっぱい手話を教えてくれた美空ちゃん。3年前もみんなを引っ張る存在だったけど、より一層お兄ちゃんお姉ちゃんになっていて。もうそのVTR観ているだけで大号泣。練習を中断して、みんなでステージ前へ急いで大移動。カメラの後ろから、みんなの雄姿を見守った。まためっちゃ練習したんだろうな、と思う演奏。すごかった。スタッフさんに言って、終わった後の彼らとちょっとだけ会わせてもらった。あまりに素晴らしくて涙が止まらなかった。わからない言葉は先生に伺いながら、この溢れる感動を手話で伝えた。また会えて本当に嬉しかった。よし、こちらも頑張るぜ。

弾き始めが私とよしこだったのですが、何回やっても何故か最初の「星条旗よ永遠なれ」がわからなくなってしまい。なんとか♪ドッシドラドーレと始まるのを“ドレッシングかけーて サラダ食う! ”と覚えたり。途中、ブラックビスケッツでいらしてた南原さんが覗いてくださっていたそうですが、まったく気づかなかったり。逆にずーっと我々の練習に付き合ってくださった河出アナ。見ているだけの方がよっぽどしんどかったろうなぁ、と思ったり。いろいろありましたが、なんとか本番終了。個人的には本当に難しく、途中のなかなか指使いがうまくいかなかったところをやっぱり失敗してしまったのが悔しく申し訳なく、ですが、みんなで本当によくやり切りました。今年も、夏、終わり。

【本日の乾杯】姪っ子手作りの“牡蠣のオイル漬け”。一緒に漬け込んだニンニクのスライスと共に。あまりに美味しすぎまして。お皿に残った油もパンでさらって一滴も残さず。もう一度書きます。美味すぎた。

 

関連書籍

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。4』

震えながら歩いた、高さ180メートルの吊り橋のケーブル。座薬にすがった入院生活。中2で転校した親友との再会。台湾でなぜか私だけ、100カ所以上の虫刺され。強風に泣いた初ソロキャン。目玉焼きを食べただけなのに、真っ二つに折れた歯。そして、突然目覚めた“94キロの男を肩に乗せる”という才能。―― 今日もあさこは、生きている。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。3』

海への恐怖を感じた、初めての遠泳。4人で襷を繋いだ「24時間駅伝」。お見合い旅inマカオ。“初”キスシーンに、“初”サウナ。ドラクエウォークで初めての高尾山。接続できずに大騒ぎのリモート飲み会。拍子抜けだった大腸検査。ブームに乗って、のんびり「おばキャン」、のつもりが……。いくつになってもあさこの毎日は初めてだらけ。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。2』

セブ旅行で買った、ワガママボディにぴったりのビキニ。いとこ12人が数十年(?)ぶりに全員集合して飲み倒した「いとこ会」。47歳、6年ぶりの引っ越しの、譲れない条件。気づいたら号泣していた「ボヘミアン・ラプソディ」の“胸アツ応援上映”。人間ドックの検査結果の◯◯という一言。ただただ一生懸命生きる“あちこち衰えあさこ”の毎日。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。』

ぎっくり腰で一人倒れていた寒くて痛い夜。いつの間にか母と同じ飲み方をしてる「日本酒ロック」。緊張の海外ロケでの一人トランジット。22歳から10年住んだアパートの大家さんを訪問。20年ぶりに新調した喪服で出席したお葬式。正直者で、我が強くて、気が弱い。そんなあさこの“寂しい”だか“楽しい”だかよくわからないけど、一生懸命な毎日。

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