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ハイブリッド巡礼記

2026.07.25 公開 ポスト

#2 パワースポット大山祇神社と、お遍路スタート!ささきかつお(作家)

日本各地の神社参拝と四国お遍路を並行する「ハイブリッド巡礼記」。須佐神社、出雲大社を巡った次は瀬戸内大三島の大山祇(おおやまづみ)神社参拝から、いよいよお遍路に突入です!

5月某日

出雲で一泊し、翌朝バスに乗る。中国山地を颯爽と突っ切り、昼前には広島駅に到着。次に乗るバスは一時間後なので腹ごしらえ。であれば新幹線下のお好み焼きにしよう。

 

鉄板前のカウンターに案内され、焼き上がる工程を楽しみながら、まだ午前中だというのに瓶ビールを注文してしまう(となりの方がつられて注文されてた。美味そうに見えたのかな)。この店はテレビでも紹介された人気店なのだが、前と雰囲気が違う。目の前で焼いてくれてるスタッフが、みなさん外国の方だったのだ。ほおお。そういえば去年、東京の町中華に入るとネパール人が中華鍋ふってて、(ここはどこなんだ?)と思いながらタンメン食べてた。こういう未来は予測できなかった。

再びバスに乗って竹原という町へ。朝ドラ『マッサン』モデルの生誕地。小京都という言葉に弱くて、今日はここで一泊。翌日からが旅後半のメインなのでサクッと観光をすませる。酒蔵の町と認識していたが、江戸時代に大きな塩田があったことから栄え、その後、酒造業が発展したんだって。

5月某日

あいにくの雨。レインコートを着てもビショビショになりながらJR呉線で忠海駅へ。徒歩5分で船着き場に到着。ここから船で大三島に向かう。3年前、しまなみ海道を自転車で走破したときに大三島を通っていた。四国の今治から7時間チャリこいで、本州の尾道に渡ったときの絶景が思い出されるのだけど、今回は船を使う。こっちの方が目指す大山祇神社に近いのだ。山の神などとして知られる大山積神(オオヤマヅミノカミ──表記はいろいろなので、ここは神社のHPに合わせます)を祀る神社が、この大三島の東側にある。自分が船で着いたのは北西の端の方で、その距離7~8キロ。バスはないがシェアサイクルがあったので、やまない雨の中、電動自転車をこいでこいで到着。

荘厳。瀬戸内の島の、奥深い場所なのに参拝客が絶えない。知る人ぞ知る神社──みたいなイメージで訪れたけど、この威厳に惹かれて日本各地からみなさん来るのかな。いや、日本だけじゃない、チャリですれ違って「ハーイ」と挨拶したのは欧米系YOUたちだった。スーパースター級の神様だからなあ、音楽フェスならヘッドライナーだよな……にしても早く着きすぎちゃった。次の今治行きバスは20分後かぁ。

ゆっくり参拝してパワーをいただき、ここらで昼メシ食べてから午後のバスに乗る予定だったけど、思った以上の雨でテンション落ちちゃって、ずっとここにいるのもなぁ……と思い、須佐神社と同じく速攻参拝して御朱印をいただき、10時のバスに乗ってしまう。大楠をじっくり見たかったなあ、宝物館の甲冑も見たかったなあと、今これ書きながら後悔してるんだけど、「また来なさい」と神さまに言われている気がするから、天気のいい日に改めて参拝に行こうかなと思う。

バスは1時間ちょっとで今治駅に到着。この周辺の54番~59番の札所からお遍路を始めようと計画していた。「え、お遍路って1から88まで順番に回るんじゃないの?」って声が聞こえてきそうだけど、いろんな順番でOKらしい。1→88が「順打ち」、88→1が「逆打ち」、何回かに分けて回るのが「区切り打ち」。自分は順番もランダムに回るのだが、これを「乱れ打ち」というらしい。ほほお、いいではないか、乱れ打ち。パチスロだったらアカンけどね。で、お遍路前のパワー飯ということで、今治のご当地B級グルメ「焼豚玉子飯(セットで1300円)」をガッツリいただく。

シンプルなんだけど、うまいんだな、これが

54番延命寺(えんめいじ)までバスで10分くらい。バスを降り、参道を歩きながら白衣(びゃくえ)を羽織り、輪袈裟を首にかける。ドキドキする。入学式、入社式のような新しいことが始まる期待と、世俗にまみれた自分が聖なる世界に足を踏み入れてOKかという不安があいまっていた。

作法はイヤっちゅうほど予習してきた。スマホのメモにも手順を書き込んでおいた。まず山門で一礼して境内に入る。大晦日のガキ使特番「笑ってはいけない」エリアに入るシーンが頭をよぎ……いかんいかん、俗すぎると戒めながら手水舎で手口を清め、鐘をつき、本堂でローソク、線香、納め札、お賽銭、合掌、読経。次に大師堂に行って同じ作法で……よしよし、とそのとき、背後からビュウッと強い風が吹いた。これまで感じたことのない風に、「ようこそ、お遍路へ」とお大師さまにグリーティングされてる感覚になった。

左が本堂、右が大師堂。それぞれ参拝するんですよ

よし、いい巡礼の旅になりそうだと勇気づけられ、お納経をいただく。ここまでがワンセット。うん、出だしは順調。よくできてるじゃないかと自画自賛しながら次の55番へ歩きだす。[←へんろ道]と書かれた看板があったので元気よく矢印の方向に歩きだして数分後──大きな霊園のまん中で道を見失って、墓石の群れに囲まれ……ここは、どこ?

ガイドブック、お遍路アプリなどによって「へんろ道」は異なることがあるらしく、下手すると(え、これが道?)みたいな山道を歩くことも。いや、それはツライなあ……とグーグルマップを立ち上げると本線からえらく離れていた。やれやれ。前途洋々から多難になりつつあるなと思いながら、この日は55番南光坊(なんこうぼう)まで歩き、今治のお宿にチェックイン。

翌日は20キロ近い歩き遍路となる。〈続く〉

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ハイブリッド巡礼記

アラ還作家が、自著に登場する八百万(やおよろず)の神々の神社詣でと、四国八十八カ所巡礼(お遍路さん)を足掛け二年で行うことにしました。須佐神社(スサノヲノミコト)などのパワースポットで力をいただき、四国に渡って札所を巡るという「ハイブリッド巡礼」。ご当地の見どころや、グルメ、ちょっと変わったスタイルのお遍路(大変だと思うのですが……)を紹介していければと思います。

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ささきかつお 作家

1967年、東京都生まれ。出版社勤務を経て、2005年頃よりフリー編集者、ライター、書評家として活動を始め、2016年より作家として活動。主な著作に『空き店舗 ( 幽霊つき ) あります』(幻冬舎文庫)、「2つの意味の物語」シリーズ(新星出版社)、『名探偵はナルシスト』(静山社)、『半神さまは修行中』(岩崎書店)。

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