5月下旬からスタートしたハイブリッド巡礼(神社参拝&お遍路)。次は徳島の1番霊山寺から高知の36番青龍寺までを10日かけて巡ることにした。お遍路といえば88カ所1200km以上をン十日間歩いて……のイメージだったが、先に52~59番を巡ってみると、ほとんどの人が車移動とわかった。歩きのお遍路さんは珍しいから前回の今治で「お接待」をいただけたのだなと。自分の場合は歩きもするけど、公共交通機関やレンタサイクルも使う「チートたっぷり、なんちゃって歩き遍路」の予定。無理はしたくないのよ。体こわしたら元も子もないから。
徳島には23の札所がある。Geminiに聞いてみると、「徳島駅周辺のホテルに連泊して、そこをベースキャンプにして近隣の札所を巡るのが効率的です」との答えが。なるほど。実は仕事が終わらず、ノートパソコンをリュックに入れていたのだが、これら仕事道具がなかなかに重たい。歩く距離が10キロ以上(しかも山道)となるとしんどい。ベースキャンプに荷物を置いて軽装でお遍路っていうのはいいアイデアだと思って採用。しかも徳島の1番~23番を順番通りに巡らなくてもいいわけで、この手段がのちのち効果を発揮することになる。
6月某日
朝8時半に徳島空港着。バスを乗り継いで10時半ころに1番霊山寺(りょうぜんじ)に到着。門前に「総合案内所」があって、手ぶらで行ってもそこでお遍路一式が揃えられる。事前に白衣などはネット通販で買っていたが、菅笠と金剛杖はまだなので入手する。
意外と大変なのは、各札所での「お賽銭」だった。今回は36カ所巡るので各所で2枚ずつ(本堂と大師堂で)が必要で、計72枚。なんとかなるだろと思ってたら直前に小銭が足りないと気づき、出発前にメインバンクに両替に行くと「500円玉→5円玉×100枚の場合、770円の手数料が必要」とのこと。そんなことになっていたのか……がく然とする。チャピるに「門前のお店などで両替してくれる」とのことで、高知36番までの72枚が準備できたのだが……これが重かった。
5月に52~59番まで参拝し、作法はわかっていたから、1番霊山寺、2番極楽寺(ごくらくじ)を軽々と済ませ次に向かうことにする、と、かなり年季の入ったオジオバ様の一行とすれ違う。お遍路同士は「こんにちは」と挨拶を交わすのが作法となるが、「ちょっと待って」と呼び止められる。はて、何ですかと思っていると赤い杖を持った風格ある方から「どうそ、お守りになりますよ」と渡されたのが「錦の納め札」だった。(納め札:お遍路が参拝の際に納めるもので、住所・氏名・祈願したいことを書いて入れる)自分のは白なんだけど、錦ってレアカード感が半端ない。ググってみたら通算100回を超える大ベテランであると知る。

徳島初日はこのあと3番金泉寺(こんせんじ)、4番大日寺(だいにちじ)、5番:地蔵寺(じぞうじ)まで行って、徳島駅行のバスに乗るプラン。道は比較的平坦で身体の負担は少ない。問題は遍路道にまだ慣れてないことだった。(この道でOKなのかな……)と不安になったくらいのタイミングで、秘密結社みたいな小さなステッカーが電柱などに貼ってあるので、それに従って行けばいいんだけど、「え、こんな細い道」「ここって民家の庭先なのでは」「奥にトトロが棲んでいるんじゃないか」みたいな道をステッカーの矢印は示してて、うす暗い山道に入るとヘビの抜け殻、毛虫、ヒトデ、クモ、トカゲと、本当にトトロのオープニングみたいになる。でも楽しい。歩こう歩こう、私は元気──あ、ステッカーがどこにもない=スマホで地図を見ると完全に道を間違えてた。(でもまあ何とかなった)

初日の目標を果たし、夜は徳島ラーメン。
濃厚スープに卵(無料)が絡んで栄養マシマシ。ライスもサービス。(後日また食べに行った)

6月某日
徳島お遍路2日目。
歩き遍路に地元の方々は優しい。町を歩いていると笑顔で「水分摂ってくださいね」「お気をつけて」と声をかけてくれる。得も言われぬ特別感というか優越感みたいなものがわき上がってくる。いつもは坊主頭にサングラス、黒めの服装だから見た目トクリュウの実行犯なんだよね。白衣、菅笠、金剛杖だからこその説得力なんだろな、と違う角度でお遍路パワーを実感したりする。
このとき台風が日本に接近していた。週後半は荒れ模様が確実なようで、だったら「遍路ころがし」と呼ばれる山登りの難所を先に行っておこうと判断。20番鶴林寺(かくりんじ)と21番太龍寺(たいりゅうじ)に向かうことにした。
徳島駅前からバスで1時間ほど、運賃は一日乗車券(1500円)がお得なので購入済み。8時半に麓のバス停に到着し、登山開始となる。整備された山道なので傾斜はキツイが比較的楽に登れる。雲がかかっていたあたりにさしかかると、どこかでみたような景色になる。あ、長谷川等伯の「松林図屏風」じゃん、杉だけど。こんなのリアルにあるんだ。

およそ1時間半で鶴林寺に到着、AIに組んでもらったスケジュールより若干早いペースだ。体調もいいしこのままどんどん行けそうだ──と思っていたのはここまでだった。次の太龍寺までは一度深い谷まで降りて、また上がらなければならなかった。これがまあ遠い遠い。いつまでも上り階段が続いていて、息が上がっていく。「うわぁあああっ、しんどぉい!」と思わず叫んでしまう。最後にはもうわけがわからなくなってスピッツの「ロビンソン」を吉幾三風に歌うって、いま思うと何してんだろってトランス状態になっていた。これを「お遍路ーズハイ」と命名したい。
鶴林寺から2時間ちょっと、ヘロヘロになって太龍寺に到着。帰りのバスはロープウェイで降りた先のバス停から13時台、その次は15時台だった。15時台のバスで徳島駅に戻る予定だったが、けっこう早く着いたから13時台バスに乗れるかも。であればもう一つ先の22番平等寺(びょうどうじ)もいけるなと。そこで太龍寺を高速参拝、ロープウェイで下山してバス停まで走って間に合って、でも降車したバス停から平等寺は意外と距離があって、でもなんとかたどり着いて、思った以上に巡れたな、って満足してたら帰りのJR牟岐線徳島行きは1時間半後だった……。疲労と満足をごちゃまぜにして、宿に戻る前に餃子の王将でレバニラ食って一人お疲れ会。(続く)
【追記】
数日後、20番鶴林寺への道が台風の雨で土砂崩れに……先に行って正解だった。
ハイブリッド巡礼記の記事をもっと読む
ハイブリッド巡礼記

アラ還作家が、自著に登場する八百万(やおよろず)の神々の神社詣でと、四国八十八カ所巡礼(お遍路さん)を足掛け二年で行うことにしました。須佐神社(スサノヲノミコト)などのパワースポットで力をいただき、四国に渡って札所を巡るという「ハイブリッド巡礼」。ご当地の見どころや、グルメ、ちょっと変わったスタイルのお遍路(大変だと思うのですが……)を紹介していければと思います。










