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うかうか手帖

2026.03.09 公開 ポスト

朝ドラ「ばけばけ」の地へ益田ミリ(イラストレーター)

旅先での観光。

 

ネットでいろいろと調べ、何時のバスでここに行き、次は何時で、、、と決めていても、ふと立ち寄った観光案内所でもらったヒントで、

「なるほど、その手もあるか!」

と空気が変わることがある。

松江観光二日目は、八重垣神社と月照寺に寄り、その後、電車で出雲へ移動する予定で、まずは松江駅からバスで八重垣神社と計画していたのだが、

「今の時間だとタクシーで八重垣神社まで行って、帰りはバスで戻ってくるといいかもしれません。ちょうどそこにタクシー停まってますし」

観光案内所の方のアドバイスで、なるほどなるほどとタクシーに乗り込む。

運転手さんが松江の方言についていろいろと話してくれた。

「だんだん(ありがとう)はよく使いますよ」

NHK朝ドラ「ばけばけ」出演の佐野史郎さんは松江出身だそうで、方言の演技がとても上手だと嬉しそうだった。

八重垣神社は縁結びの神社でも知られ、境内から少し離れた林の中にある「鏡の池」に占い用紙を浮かべて恋の行方を占う、というシーンが朝ドラ内でも出てくる。若い女性たちがたくさん訪れていて、みな恋占いをしていた。

占い用紙は1枚100円。鏡の池に紙を浮かべ、その上に10円か100円を一枚乗せ、紙が早く(15分以内)沈めば縁が早く、遅く沈めば縁が遅く、遠くで沈めば遠方の人と、近くで沈めば身近な人、と占うそうな。

恋愛どうこうではないが、やはりこういうことはやってみたい質である。

池に浮かべた占い紙に10円玉をのせた。7分後に近場で沈んだ。お金だけが池に沈み、浮いたままになっている紙もたくさんある。近くにいた女の子はすでに30分沈むのを待っているとかで、ようやく沈んだときは一緒にいた彼と喜びあっていた。後で八重垣神社のHPを見ると、恋愛に限らず色々な縁や願い事の占いごとができるらしい。

バスで松江駅に戻り、スタバで一息ついた後は観光周遊バス「レイクライン」で月照寺まで。

このお寺には小泉八雲の著作に登場する大きな大きな亀の像「大亀像」がある。

八雲の「化け亀」によると、この大亀像が夜に動いて人々を困らせていたところ、住職に仏の教えを説かれ、亀自身が石碑を背負い二度と動けないように自らを封じたのだとか。

広い境内の中の大亀像。この亀が夜な夜な歩いたとしたら、さぞかし恐ろしいだろうと思う。

しかし、今では大亀像の頭をなぜてみな長寿祈願をするそうで、大亀は顔立ちこそ強面だが、凛とした表情で空を見上げていた。

松江に別れを告げ、旅の最終地点は出雲。ローカル線の一畑電車で松江しんじ湖温泉駅から出雲大社前駅まで約1時間。乗車後しばらくは左手に宍道湖が見渡せ、その湖面は発光するように輝いていた。

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うかうか手帖

ハレの日も、そうじゃない日も。

イラストレーターの益田ミリさんが、何気ない日常の中にささやかな幸せや発見を見つけて綴る「うかうか手帖」。

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益田ミリ イラストレーター

1969年大阪府生まれ。イラストレーター。主な著書に、漫画『すーちゃん』『僕の姉ちゃん』『沢村さん家のこんな毎日』『週末、森で』『きみの隣りで』『今日の人生』『泣き虫チエ子さん』『こはる日記』『お茶の時間』『マリコ、うまくいくよ』などがある。また、エッセイに『女という生きもの』『美しいものを見に行くツアーひとり参加』『しあわせしりとり』『永遠のおでかけ』『かわいい見聞録』や、小説に『一度だけ』『五年前の忘れ物』など、ジャンルを超えて活躍する。

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