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うかうか手帖

2026.01.09 公開 ポスト

砂の上に立つ益田ミリ(イラストレーター)

秋の終わりの鳥取へ。

 

鳥取砂丘コナン空港では漫画『名探偵コナン』のコナン君たちがあちらこちらに展示されているのに、鳥取駅行きのバスが数分後に出発だったので、大急ぎで写真をバシャバシャ。同じく観光客たちが慌ただしく撮影していたのだった。

鳥取駅到着後、まずは「すなば珈琲」でランチ。

「スタバはないが砂場はある」

47都道府県で唯一スタバが最後までなかった鳥取県。知事のダジャレから2014年に誕生したという「すなば珈琲」である。

地元のもさ海老を殻ごとミンチにして揚げた「もさ海老ホットサンド」と、鳥取砂丘の砂で焙煎したコーヒー豆のコーヒーでスタートした鳥取旅。「すなば珈琲」はカレーライスなど食事も充実していて、小型のファミレスみたい。東京のうちの近所にも一軒ほしい! そんな店である。ちなみに2015年には鳥取県にもスタバがオープンしており、この旅ではスタバでも一息。

旅先でスタバを見かけるとホッとするくらいには、スタバが日常にくい込んできている。特に海外を旅しているときなどは、

「システムわかる、飲みたいものある、何か食べられる、座れる」

というシェルター的安堵感である。

さてさて、鳥取砂丘。

ホテルに荷物を預け、バスに乗り砂丘会舘で下車。鳥取駅前から20分ほどだろうか。

階段(スロープもある)をのぼると、砂丘が一望できた。

 

砂丘、こんなに大きかったっけ?

 

20年前、初めてひとり旅で来たときより、なぜか大きく感じる。

休日の午後なので人出も多く、砂丘にはすでに無数の足跡。遠くに見える砂山を目指して歩き始める。

子供たちが裸足で砂の上をかけていく。

走り出さずにはいられない、という後ろ姿だ。

走り出さなくなったわたしは、えっこらえっこら休憩しつつ砂山をのぼる。一足ごとにスニーカーが砂にめり込むのでなかなか前に進めない。

ようやく頂上に到着。目の前に海があった。

砂の上に座り、しばし眺める。たくさんの観光客と共に、ただ砂の上に、地球の上にいることが愉快だった。

その後、リフトに乗ったりお茶したりしたあと、夕日を見に砂丘へ戻る。

エジプトの夕日もこんな感じかも、ね?

エジプトに行くことはたぶんこの先ないだろうし、ついでにエジプト気分も味わう。わたしの人生で再び鳥取砂丘に来ることはないかもしれないと思うと名残惜しく、駅に戻るバスの時間ぎりぎりまで砂の上に立っていたのだった。

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うかうか手帖

ハレの日も、そうじゃない日も。

イラストレーターの益田ミリさんが、何気ない日常の中にささやかな幸せや発見を見つけて綴る「うかうか手帖」。

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益田ミリ イラストレーター

1969年大阪府生まれ。イラストレーター。主な著書に、漫画『すーちゃん』『僕の姉ちゃん』『沢村さん家のこんな毎日』『週末、森で』『きみの隣りで』『今日の人生』『泣き虫チエ子さん』『こはる日記』『お茶の時間』『マリコ、うまくいくよ』などがある。また、エッセイに『女という生きもの』『美しいものを見に行くツアーひとり参加』『しあわせしりとり』『永遠のおでかけ』『かわいい見聞録』や、小説に『一度だけ』『五年前の忘れ物』など、ジャンルを超えて活躍する。

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