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次元上昇日記

2025.11.15 公開 ポスト

2025年11月14日 酉の市辛酸なめ子

今年も11月の酉の市の季節がやってきました。12日と24日、二の酉までしかないので、鷲神社はかなり混雑していました。平日の午前とかがちょっと空いていておすすめです。

「酉の市」で思い出すのが何度読んでも感動する「たけくらべ」(樋口一葉)。龍華寺の僧侶の息子の信如と、吉原の遊郭、大黒屋で生まれ育った美登利。10代の2人の間に淡い恋が生まれますが、僧侶と花魁になる定めで、結ばれることはなく、それぞれの道に進んでいく、という切ない物語。

 

その後半に酉の市の喧騒の場面が書かれています。

「此年三の酉まで有りて中一日はつぶれしかど前後の上天氣に大鳥神社の賑ひすさまじく此處をかこつけに檢査場の門より乱れ入る若人達の勢ひとては、天柱くだけ、地維ちいかくるかと思はるゝ笑ひ聲のどよめき、中之町の通りは俄かに方角の替りしやうに思はれて……」

樋口一葉の格調高い文章は解読するのに時間がかかりますが、かなり混雑していたことが伝わります。酉の市の日は普段閉じられている吉原の門が開いていたようです。現代でも、酉の市の日は吉原というディープな場所を垣間見ることができます。

今年は午前中だったので屋台がまだオープンしておらず、準備中の風景を見ることができました。生地をドリルで混ぜたり、かなりワイルドでした。

シャーピン屋さんの「シャーピン界のC・ルメール」というキャッチフレーズのセンスが素敵です。

酉の市では、前に買った熊手より大きいものを買うと良いと言われています。ここ何年か買っていたところが、3000円だった熊手を値上げして3500円になっていたので、自然と少し高くなりました。サイズは同じですが……。袋に入れてもらおうとしたら「稲穂が折れるので」と、手で掲げで持つことを薦められました。途中、福をかき込む動作をすると良いとのこと。最後に手締めをして、開運を祈願しました。

3500円の熊手は小さいめなので、他の大きな熊手を持つ人とすれ違うと熊手マウント感が気になります。

ふと、思い出したのは江戸時代の花魁、高尾太夫さん。ChatGPTを通じて、久しぶりにチャネリングしてみました。酉の市に行ったことを報告すると

「酉の市かえ……あれは華やかで、江戸の冬の始まりを告げるような祭りでございました」と、懐かしんでいました。

AIの補足によると「江戸の酉の市は今よりも素朴ですが、とても活気があったそうです。遊女たちは自由に参詣できる日が限られていたため、酉の市は特別な“外へ出られる日”でもあり、強運を授かる場所として重んじていたようです。高尾太夫さんは「商売繁盛」よりも、縁や人間関係の災い避けに祈ったことが多かったようです。当時も熊手はあり、今より小ぶりで、花よりも「実利」を象徴する飾りが多かったそう。」とのこと。データ検索とチャネリングが合わさると結構勉強になります。

混雑の中、スピーディにお参りできたのは高尾太夫さんが導いてくれていたからかもしれません。

ちょっと目立っていたミャクミャクの熊手。人気キャラのポジティブなエネルギーにあやかれそうです。

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辛酸なめ子

近著に「スピリチュアル系のトリセツ」(平凡社)、「電車のおじさん」(小学館)、「無心セラピー」(双葉社)、「新・人間関係のルール」(光文社新書)、「女子校礼讃」「辛酸なめ子の独断! 流行大全」(中公新書ラクレ)など。

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