
まもなく“21世紀”という、なんだかとてつもなく“未来”な響きの時代がやってくる、2000年の暮れ。私は『進ぬ! 電波少年』という番組で半年間の無人島生活をスタートさせた。その企画名が「電波少年的15少女漂流記」。15人の“少女”、でいいのかな? 最年少は19歳から、最年長はわたくし、当時30歳までの歌手・芸人・タレントなどいろんな仕事の“卵”が15人集められてやった無人島生活。その時のメンバーが、残念ながら1人だけ来られなかったのですが、実に25年ぶりに14人、大集結したのです。
先日オンエアされました『しゃべくり007』。昨年3月の山田ジャパン公演「愛称⇆蔑称」で初共演し、今度の9月公演「ドラマプランニング」で再び一緒の舞台に立つ原嘉孝氏。私はずっと原せんせーとお呼びしておりますが。その原せんせーが、とにかく「愛称⇆蔑称」で本当に素晴らしく、公演後「また一緒にやりましょう!」という事で、すぐに今回の公演の出演も決まったのですが、その間に気づいたら“timelesz原嘉孝”になっていて。そんな事もあって、今公演の告知を出すと反響がとても大きく。割とすぐ、「あら。この二人知り合いなんだ」と知った『しゃべくり007』のスタッフさんがお声がけくださり、ありがたくも二人で出演してまいりました。
その打ち合わせで浮かび上がってきた二人の共通点。それは“下積みが長い”ということ。お互い十何年も下積み時代を生きてきた。そんな私の“ザ・下積み”の一つが「15少女漂流記」。一言で“半年無人島で暮らした”と言っても、それは“半年”と決まっていてやったのではなく、“いつまで続くかわからない”、そんな生活を続けた結果の“半年”だったわけで。もしかしたら1年2年となるかもしれないのですから。これは本当にキツかったです。
そもそも2000年のクリスマスのちょっと前くらいだったかな。“Tプロデューサーの朝の情報番組”3次オーディションと称して集められた15人。1次・2次オーディションでは質疑応答だけでなく、いろんな自分の身の上話を聞いてもらったり、更には何故か歌なんかも歌ったりして。そんな中、最終選考に残った15人、と聞いていた。その日はダンス審査。「朝の情報番組なのに、なんでダンス?」とは思っておりました。すると結果は、全員合格。「え?」「なに?」とみんなが状況を飲み込めないまま、気づいたら私物・私服はなくなっており、時計の針が8時を指していても、それが午前なのか午後なのかもわからなくなるような窓のない部屋に連れていかれ、そこでの生活がスタートした。元々の企画名は「電波少年的おニャン子だったりモー娘だったり……」。無人島に行くなんて、微塵も思わないタイトルです。私たちは久保田利伸さんが作詞作曲してくださった「Vibe,Survive」という曲の歌とダンスをとにかくひたすら猛練習した。というのも歌でも振り付けでも“本番”で誰かが間違えたら「とんでもないことが起こるよ」と言われていたんです。そりゃあこちとら、しがないお笑いの卵だったわけで。そんな人間が『電波少年』に出ているんですから。その“とんでもないこと”ウェルカム! な部分がなかった、とは言えない。むしろめちゃくちゃあったかも。だってこれで“売れる”かもしれないんですから。だからと言ってわざと間違えるつもりは毛頭なく、とにかく一生懸命練習しました。ただ、その練習の毎日にも試練はいっぱいあって。歌唱試験・ダンス試験で間違えたら“食事抜き”があったので、ある日お腹が空きすぎた私は、仲良しだった“みっちゃん”と夜中起き出して、誰かが残したご飯をゴミ袋から漁って盗み食いしたり、部屋にあったティッシュをチューインガムのように噛んで「甘い」と感動したり。まあ、今思い出してもなかなかひどい生活をしておりました。
そしてその“本番”は大晦日にさいたまスーパーアリーナで行われた年越し特番。さすがの『電波少年』で、記念すべき21世紀の年越しのカウントダウンを数十秒くらいだったかなぁ。前倒しでやる、という。さいたまスーパーアリーナを埋め尽くすお客さん、そりゃあもう大騒ぎ、です。その空気の中、21世紀最初に舞台に飛び出していったのが我々。そこからはめちゃくちゃです。誰かわからないのですが、誰かが振り付けを間違えたようで、曲が途中で突然ストップ。すると急にセットが倒れて来て、スタッフさんに「危ないからこっちへ!」と誘導され、全員で端にかたまった。そこに網が上から落ちてきて、そのまま吊るされ、トラックへ。その後、アイマスク&ヘッドフォンを装着。ヘッドフォンからはディスコ調のノンストップユーロビートが延々に流れていて何も聞こえない状態。ちなみにそのヘッドフォンが繋がっているのはウォークマン。カセットです。“オートリバース”というA面B面が自動でずーっと流れるような設定になっていたのですが、カセットには最初と最後に無音の白みがありまして。つまり、A面が終わり、B面の1曲目がかかり始めるまでに5秒くらいは無音になるのです。その一瞬で自分がどこにいるか情報を得ようと耳を澄ましてみたのですが、何もわからず。次にポッケの中にあるウォークマンの音量調整ダイヤルを手探りで見つけ出し、音を小さくして、これまた何でもいいから情報を得ようと画策。ただこちらはアイマスクをしていますから、人の目を盗んで、が出来ません。あっという間にスタッフにバレ、また音を大きくされるという。結局、飛行機2回、バス、船2回乗り継ぐ3日間の大移動でしたが、その間、何の情報も得られなかった。ただ2回目の飛行機降りたくらいから、どんどん暑くなっていき、もう絶対日本じゃないな、というのだけはわかりました。そして最後の船が停まり、人に手を引かれて一人ずつ船を降りていく。潮の香りと、足に当たる波で海を感じた。3日ぶりにアイマスクをはずすと、しばらくは太陽がまぶしすぎて何も見えず。徐々に目が慣れてきて、そこが無人島だという事を知る。
さて、お時間が来てしまいました。久しぶりに開いた無人島の記憶。次回、もう少し話をさせていただければこれ幸いです。
【本日の乾杯】先日ロケで行った味の素さんの売店で購入したCookDo「極 香辣麻婆茄子」。裏に書いてある材料よりちょっとだけ茄子大き目、ひき肉多めで作っちゃいました。いやぁ、最高。ビールしか合わん。いや、紹興酒もいいね。
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あぁ、だから一人はいやなんだ。

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