
新聞、ラジオ、テレビ、携帯電話、スマートフォン……。
情報を享受する媒体が進化を遂げると同時に、その情報伝達の速度も増していき、
私たちの手元には昔とは比べものにならないほどすぐに新しい情報が届くようになった。
今や最新のニュースを知る手段としては、テレビのニュースよりもSNSを通して知りうる速さが一番速いのは言うまでもない。
しかし同時に、その情報の真偽も曖昧なまま、瞬く間に拡散されていってしまうという恐ろしさも孕んでいる。
訂正が効かないという爆弾を抱えながらその情報は広がってしまうのだ。
その誤情報を鵜呑みにした者達による伝言ゲームで、いつしか嘘が真実であるかのように語り継がれていく。
私たちは何が本当で、何が嘘であるかを見極めていかなければならない。
くだらない芸能ゴシップに限らず、政治経済や事件、事故のニュースであってもその真偽は果たして……。
そんなことを改めて思わせてくれる『放送局占拠』(日テレ)もいよいよセミファイナルである第9話を迎えた。
劇中では“傀儡子”(くぐつし)と呼ばれる正体不明の存在が、真実を捻じ曲げたニュースを世間に流し情報操作を行っているという。その情報操作により政財界の人々を守ると同時に、傀儡子はそれらの人々の“表には出せない真実”という弱みを握り、情報と人を同時にコントロールしているのだ。
もしかしたら傀儡子のような存在が私たちの世界にもいるかもしれない……。と思わされるとても面白い設定だ。
テレビ局を占拠した武装集団の“妖”(あやかし)達は、その傀儡子によって身近な人々が巻き込まれた事件の真相を捻じ曲げられ、不名誉な形でその情報が拡散されてしまった。
傀儡子の正体を突き止め、その復讐を果たすべく妖はテレビ局の占拠を行っているというわけだ。
では、その傀儡子とは一体誰なのか。
傀儡子の正体は1人ではない!?
大体の視聴者が既に察している通り、傀儡子はプロデューサーの奄美(戸次重幸)である可能性が高い。
テレビ局内にある、隠蔽された事件や事故の真実が保管されている“秘密の場所”の扉のロックを解除するのに必要なのは屋代警備部長(高橋克典)と奄美、この2人の生体認証であった。
屋代が手前の扉、奄美がその奥の扉で生体認証が必要となる。
この序列からも本当に守られているのは奄美だと考えられるし、
屋代は自らも情報操作や隠蔽に加担しているため、傀儡子:奄美に弱みを握られる形でその生体認証に登録させられていたのだろう。
人質の東京都知事候補:沖野聖羅(片岡礼子)が「傀儡子の正体は屋代」と言い放っていたのも、“死人に口無し”を利用して、屋代に全ての罪を着せるために言い放った嘘だと考えられる。
そして何より奄美のデスクから傀儡子に関する情報を調べた武蔵(櫻井翔)が、“シマウラチグサ”という名前を発見したのが奄美=傀儡子である何よりの証拠となりそうだ。
奄美のデスクから出てきた点、名前にピンときた武蔵。そうなると“シマウラチグサ”は武蔵も知っている奄美と関係のある人物ということになる。
それはもう“シマウラチグサ”は奄美の奥さん(もしくは恋人)である他ないのではないか。
奄美は武蔵の男子校時代の先輩だ。その関係性であれば、奄美の奥さんを武蔵が知っていても何ら不思議ではない。しかしその“シマウラチグサ”は、何らかの形で殺害され真実を歪められた形でその報道がなされてしまったと仮定しよう。
そう考えると現在奄美が傀儡子として行っていることと通づる。
“かつて自身の最愛の人がやられたことを奄美も行い、そしてその真実を捻じ曲げた政財界のやつらに復讐をする……。”
それが傀儡子:奄美の動機と目的ではないだろうか。
だがしかし……。
傀儡子は1人ではない可能性も高い。
インフルエンサーの真鍋野々花(宮部のぞみ)と都知事候補の沖野聖羅(片岡礼子)も傀儡子一派の人間なのではないかと考えられる。
傀儡子:奄美が作ったシナリオをネット上で真鍋に流してもらい、沖野は奄美が考える理想の社会の実現のために新都知事として活動してもらう……。というような“チーム傀儡子”の動きだ。
そして私やこれを見てくれている皆もまた、チーム傀儡子の一員なのかもしれない。
日々真偽不明の情報に踊らされ、情報を回す……。もうその時点で傀儡子だよ? ということを、第9話最後の般若(加藤清史郎)は第四の壁を突破して私たちに問うたのかもしれない。
視聴者の声を代弁してくれた大和
真面目な考察はもうこの辺で終わりにして……。
ミノムシが羽化した。
失礼。大和耕一(菊池風磨)がついにあの白いぐるぐる巻きの装束から解き放たれ、文字通り武蔵と共闘した。
占拠シリーズファンはまさにこれが見たかった光景だろう。
それだけにとどまらず大和から「何回爆発に巻き込まれれば気が済むんですか?」という武蔵への鋭いツッコミも炸裂。そもそも武蔵の事を爆発から助けているという非常に尊い行動。
それにしても武蔵は油断しすぎだ。
何度もいうが大犯罪者だよ、その大和って男。
なんで目を離しちゃうの……?
ほら、やっぱり。
なんだか第9話は武蔵のポンコツぶりが極まっていた回であった。
あのポンコツぶりはもはや可愛いまである。
そりゃ一睡もせずにあんなことしていたら、判断力も鈍るか……。にしてもだ。
だがしかし、これも大和の作戦のうちのひとつに過ぎないのだろう。
こんだけ仲が良いんだ。武蔵を傷つけようなんて思っているはずはない。
妖から破門された大和だが、まだ傀儡子への復讐心は消えていないはず。
自身の手で傀儡子への復讐を果たすために武蔵の身動きを封じ、傀儡子へと近づいたところで自らアクションを起こすのだろうと考えている。
くれぐれも大和、死なないでくれよ。
また武蔵との共闘……。いや今度は2人でたわいもない話をしている所を見せて欲しい。
それぐらい武蔵と大和のタッグはなんていうか……。
可愛い。
••┈┈┈┈•• ドラマ情報 ••┈┈┈┈••
日本テレビ『放送局占拠』( 毎週土曜夜10時~)
出演:櫻井翔、比嘉愛未、加藤清史郎、曽田陵介、ぐんぴぃ(春とヒコーキ)、齊藤なぎさ、ソニン、高橋克典、片岡礼子、福澤朗、戸次重幸、菊池風磨 他
チーフプロデューサー: 道坂忠久
プロデューサー:尾上貴洋
脚本:福田哲平
演出:大谷太郎、茂山佳則(AX-ON)、西村了(AX-ON)
音楽: ゲイリー芦屋
主題歌:Snow Man「W」
著者:ケメ・ロジェ
イメージイラスト:サク
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3人組ドラマ考察系YouTuber 6969b(ろくろっくび)による考察記事の連載がスタート!
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