一度ついた印象は、そう簡単には変わらない。
私はターボー(森本慎太郎)にまつわるいくつかの疑惑が拭えなかったために、第3話あたりから彼が犯人だと思っていた。
カンタロー(工藤阿須加)のお見舞いへ行った際に心配した様子もなく呑気だった点、やたら警察への協力を拒んでいた点、そして何より狙われた中で唯一生き残っている点。
常にキング(間宮祥太朗)らと行動を共にしていたために、ターボーの犯行は難しいとは思いつつも、逆に他の人物が真犯人だった場合、それらの点はどうも説明がつかないと思っていたからだ。
しかし、彼は殺害されたのだ。
信頼しきっていた刑事、宇都見(木村昴)によって……。

そしてまた“みんなの夢”に準えて、ターボーはVRで視界を宇宙空間に満たされた状態で殺されてしまった。
これまでの『良いこと悪いこと』(日テレ)も衝撃的ではあったが、先日の第9話は全ての想像を超える衝撃の連続であった。
“みんなの夢”のDVDに映る誰もが忘れていた生徒の瀬戸紫苑(大後寿々花)が、今まで登場したキャストの誰でもない大人の姿で出てきたことにも度肝を抜かれた。
私たちを含め“イイワル考察班”の中では、瀬戸紫苑は幼少期の頃に亡くなっている、または大人の姿で出てくるとするならば“既に出ている登場人物のうちの誰か”ではないかという声が多かった。
しかし瀬戸紫苑はキングらがいじめた事によってトラウマを植え付けられたが、彼女は大人になり夢であるピアニストになっていた。
だが大人になったキングとの邂逅でそのトラウマが蘇りピアノが弾けなくなったことで、今から一年前に自ら命を絶ったのだった。
そんな瀬戸紫苑の婚約者である宇都見が、キングらへの復讐のために連続殺人を行っているということが明かされた。一人目の被害者である貧ちゃん(水川かたまり)から、ちょんまげ(森優作)に至るまで全ての殺人を行っていたのだった。
誰もがこれで事件が収束すると思われたが、宇都見は紫苑を追悼するピアノを弾き終えた後に「あとは頼んだ(※)」と客席に向かって口を動かしたのだ。(※言葉は発してはいないが、口の動き的にそう考えられる)
さらには最終話予告でも「真犯人だ~れだ?」の文字。
事件はまだ終わっていないのだ。
タクト学園に潜む真犯人の影……!!
ではその真犯人は一体誰なのか?
それはもう東雲(深川麻衣)しかいないだろう。
これまでも彼女は散々疑われてきた。
ニコちゃん(松井玲奈)が死の間際にいたクラブにも顔を出していて、ターボーが狙われたレセプション会場にも取材に行っていたため、彼女なら一連の犯行が可能なのではないかと考えられていたからだ。
しかし、一連の犯行は第9話の通り宇都見がやっていたことがわかった。そうなると何を持って真犯人なのか……。
それは、一連の殺人を計画したからではないか。
そう、東雲はこの同級生連続殺人事件を計画した真犯人ということだ。
なぜそう考えられるのか。
それは東雲も瀬戸紫苑と同じタクト学園の出身である可能性が高いからだ。タクト学園とは不登校になった児童らが通う学校であり、小学5年の頃に鷹里小から転校した瀬戸紫苑はそのタクト学園にいたことがわかっている。
東雲は以前、「やった方もやられた方もなかった事には出来ない。それを背負ってこの歳まで生きてんのよ。」といういじめに対する思いを吐露していた。東雲自身もいじめられていたからこそこの言葉を言い放ったのであれば、彼女はいじめを受け不登校となり、タクト学園に転入したとも考えられる。
そのタクト学園が背景に写る瀬戸紫苑の写真を、シュレッダーにかけた東雲。

表面上は、刃物を突きつけられた園子(新木優子)にこれ以上危険な思いをして欲しくないという思いからではあったが、タクト学園に繋がる証拠を消そうとする行動だったとも取れる。
そして6人もの実行犯であり瀬戸紫苑の婚約者である宇都見でさえ真犯人でないのなら、瀬戸紫苑との関係性が宇都見よりもさらに深い人物が真犯人として浮上してこなければならない。
東雲と瀬戸紫苑がタクト学園での幼い頃からの付き合いだとすれば、その条件もクリアできる。hulu限定コンテンツの9.5話「犬」の中で、この説が確定的だとも取れる描写があるので、ぜひこちらは自身の目で確かめて欲しい。
東雲は週刊誌の記者として、“瀬戸紫苑の悲劇”が(全ての事件が終わったあと)全国民に届くように“夢に準えた殺害方法”で統一するなど、ストーリー性と話題性のある計画を練ったのではないだろうか。
皮肉にも「夢が叶ったのに死ななければならない」という点は、瀬戸紫苑と一連の被害者の共通点である。
今國は白? 黒? 果たして……。
真犯人候補ではないが、タクト学園出身者でもう一人浮上するのが今國(戸塚純貴)だ。
彼のお店「イマクニ」のコースターには、タクト学園の校章に似た“T”が模されている。
「イマクニ」のイニシャルが“I”であるのに、わざわざ“T”に見えるようなデザインにしているのは明らかに不自然ではあるが、タクト学園への恩義を忘れないためにその形を模しているのだろう。
今國が瀬戸紫苑のタクト学園にも繋がることから、今國が宇都見の共犯者であり真犯人とももちろん考えられるが、二人きりで店の前で乾杯しているシーンがあった点や、自身がオーナーを務める店舗がありながら宇都見と連携を取ることは難しいと思うので、彼はあくまでタクト学園の出身者止まりではないだろうか。
しかし、それなのになぜ瀬戸紫苑の映像を見た時に自身も出身であることを言わなかったのか……瀬戸紫苑の正体を知りながら一度は黙っていたのか……不可解な点もある。
東雲と今國と宇都見が連携していた線も捨てがたいが、それであれば今國がキングらに瀬戸紫苑のことをあそこまでベラベラ喋るのは謎だ。
そして願望だが、せめて今國だけはこのドラマの愛すべきマスコットキャラクターでいて欲しい。
全ての謎が明らかになった時、キングは……。
次週はいよいよ最終回。真犯人も判明し、すべての謎が解き明かされる。
その時キングは殺されてしまうのか? それとも、生きて罪を償うことを迫られるのか?
いじめと呼称されることでその罪の重さが薄れてしまっているが、いじめは紛れもない罪である。事件の真相だけでなく、キングがこの罪をどう償うのかが注目だ。
一度ついた印象はそう簡単には変わらないが、行動次第で人は変われると信じている。
瀬戸紫苑はもう戻っては来ないが、その魂が成仏されるであろうキングの行動を切に願う。
••┈┈┈┈•• ドラマ情報 ••┈┈┈┈••
日本テレビ『良いこと悪いこと』( 毎週土曜夜9時~)
出演:間宮祥太朗、新木優子、森本慎太郎(SixTONES)、深川麻衣、戸塚純貴、剛力彩芽、木村昴、藤間爽子、工藤阿須加、松井玲奈、稲葉友、森優作、水川かたまり(空気階段)、徳永えり、木津つばさ、玉田志織、秋谷郁甫、田中美久、宮崎莉里沙、赤間麻里子
チーフプロデューサー: 道坂忠久
プロデューサー:鈴木将大、妙円園洋輝
脚本:ガクカワサキ
演出:狩山俊輔、滝本憲吾、長野晋也
音楽: Jun Futamata
制作協力:ダブ
制作著作:日本テレビ
主題歌:ポルノグラフィティ『アゲハ蝶』(Sony Music Labels)
著者:ケメ・ロジェ
イメージイラスト:サク
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