
みなさん、こんにちは。暮らし提案の専門家、積水ハウス フェローの河﨑由美子です。
コロナ禍を経て、私たちの働き方は大きく変わりました。多くの企業がリモートワークを導入し、柔軟な働き方が可能になりました。
国土交通省の令和6年度テレワーク人口実態調査によると、これまでにテレワークをしたことがある雇用型就業者(以下、雇用型テレワーカー)のうち、週に1日以上テレワークを継続している人の割合は約7割。テレワークを実施している人の多くが、通勤時間の削減や柔軟な働き方が可能になることをメリットとして挙げています。今回は家で働くことを幸せにする工夫をご紹介します。
雇用型テレワーカーのテレワーク頻度は週1回以上が67.1%、週3回以上が36.9%
同調査によると、雇用型テレワーカーのうち、週に1日以上テレワークを実施する人の割合は、コロナ禍をきっかけとして令和2年度から増加しています。その後はわずかに減少しましたが、コロナ禍以前と比べると高い水準を維持しています。今でも週1回以上67.1%、週3回以上36.9%が継続しています。テレワークを実施する1週間あたりの平均日数は、令和2、3年度の2.4日/週をピークに減少傾向ですが、週2日以上の水準を維持しています。
また、テレワーク継続意向のある雇用型テレワーカーの希望頻度を見てみると、現状を上回る結果が出ています。希望する頻度は週2日が最も多く、次いで週1日、週5日以上でした。半数以上が週3日以上を希望していることからも、多くの人がテレワークによるメリットを感じていることが分かります。また7割以上は週1以上の出社と組み合わせたハイブリッドワークを希望しています。
参考:「令和6年度テレワーク人口実態調査」(国土交通省)
“家で働く”を幸せにする。家で働くことが当たり前の時代へ
働く環境を整えた住まいは、日常を過ごす自宅の居心地もアップして、幸せな暮らしにつながります。
そのためには「仕事」と、「家事」「休養」といったこれまでにあった暮らしをバランスよく上手に組み合わせる「ワークライフミックス」が大切です。
仕事・家事・休養すべてが心地よく調和した、テレワーク時代のための家づくりの工夫をご紹介します。
住まいに盛り込みたい4つのスタイル
オープンスタイル
LDKやホールの一部を活用し、共用空間内に間仕切のあるコーナーを設置。
子どもや家族と同じ空間で仕事がしたい、オープンな空間の方が仕事しやすい、など
必ずしも別室ではなく、家族とつながりやすいテレワークスペースのスタイルです。
セミオープンスタイル
LDKやホールなどの共有空間内に設置する、高さ120cm以上の間仕切がある、扉のないコーナーです。視線は通らないためこもり感があるものの、周りの音は聞こえます。クローズな空間は好きだけど、テレワーク専用の個室にはしたくない人にお勧めなスタイルです。
セミクローズスタイル
LDKやホールなどの共有空間と、室内窓やガラス扉で視線がつながる個室です。視線はつながりながらも音を遮ることが可能なため、オンライン会議のために音や背景をコントロールしたい人にはお勧めのスタイルです。
クローズスタイル
オンライン会議が多く、集中して仕事をしたいのなら。個室タイプのクローズスタイル。
テレワークに必要な環境を整える
快適に仕事をするためには、基本的な空間づくりが大切です。
家具
<デスク>
奥行60cm以上、幅90cm以上であれば、デスクトップPCでも快適に作業できます。
デスクを壁向きに配置すると集中しやすく、部屋の中央に向けて配置すると開放感があり、気持ちよく仕事ができますよ。
<椅子>
長時間座っても腰に負担が少ない椅子を選びましょう。
また、短時間であれば「立って使えるデスク」が疲れにくいという検証結果もあります。
<コンセント>
テレワークのデスクまわりには、コンセントを使う機器がたくさんあります。どのくらい必要か想定して、コンセントの数を決めましょう。
照明
作業に適した明るさを確保するようにしましょう。
オンライン会議の時は、顔の正面から優しい光をあてることで、明るい印象になりますよ。
音環境
一般的なフローリングや壁紙の空間だと、電話やオンライン会議の際に音が反響してしまうこともあるので、吸音パネルを配置したり、床をカーペット敷きにするなど音が響きにくい環境にしましょう。
仕事と休憩の切り替えをしやすくする工夫
テレワークだと、意外と休憩の時間が取れにくいものです。疲れる前に意識して身体を休める工夫が必要です。
2019年に厚生労働省から出された「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」では、1時間以上連続して作業を続けることがないよう、合間で10~15分の休憩を設けることを勧めています。
休憩するときはデスクから離れて、短時間でも立ち上がって歩くことで、脳が「休憩モード」に切り替わりやすくなりますよ。
参考:「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(厚生労働省)
色々な場所にワークスペースを
自宅内に複数の仕事場があったほうがいいかを聞いたところ、自宅内に複数のワークスペースが欲しいと回答した人は約7割でした。
長時間同じ姿勢でいることを避けるため、集中したい作業とリラックスして行いたい作業など、内容によって空間を変えたいという意見がありました。
家の中にもいくつかのワークスペースを計画してみましょう。
仕事の内容に合わせて空間を選択できると、気分転換にもなりますよ。
木のぬくもりを感じるインテリアは抗疲労効果も
木質インテリアにすると、一般的な壁紙の空間よりも疲れにくい効果があります。
積水ハウスでは2014年より「子どもが疲れにくい研究環境」について理化学研究所および大阪公立大学の水野敬先生と共同研究を行いました。 研究の結果から、長時間の疲れる作業は「木質空間(インテリア)」だと疲れにくいことがわかりました。これは、大人の仕事でも共通の考え方です。
自然を身近に感じて疲労回復
積水ハウスと大阪公立大学との共同研究結果で、「自然を感じられるリビング」だと、癒しやリラックスを感じたと自覚し、身体的には疲労回復することがわかりました。さらに、パフォーマンスも向上するという結果が出ています。自然を感じながらテレワークをすることで、同じ効果が得られると考えられます。
この季節は電気代が高くなるからと、空調を止めて暑さを我慢することは、健康のためにも良くありません。省エネ性能の高いエアコンに付け替えて消費電力を抑えたり、サーキュレーターなどを併用して室内の空気を攪拌させるとよいでしょう。また、間仕切りや建具の少ない間取りと適切な窓の配置・開閉により、風通しの良い住まいは実現できます。例えば、1階と2階の窓を開け、屋内の建具を開放するなど、風の出入り口となる窓に高低差をつけることで風通し効果が得られますよ。
自宅でのテレワークの環境が整っていれば、集中して仕事に取り組むことができ、通勤時間がなくなることで、時間も有効に活用できますよね。
今一度、自分にあったテレワークの環境を考えてみませんか。
数字から考える幸せわが家

幸せのかたちは、家族やライフスタイルの多様な変化に合わせて変わっていくもの。ほんの少しの知恵や工夫で、わが家がもっと好きになる。積水ハウスの住生活研究から“住めば住むほど幸せ住まい”研究に基づく、暮らしのヒントやエッセンスをご紹介していきます。研究データや意識調査、リアルな実例をもとに「ちょっとやってみようかな」と思ってもらえるコラムを更新しています。
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