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次元上昇日記

2025.07.09 公開 ポスト

2025年7月5日 予言の予定日辛酸なめ子

7/4に、街ですれ違った女子校生のグループが「私たちみんな死ぬんだから! 青春なのに!」と叫んでいました。ちょっと楽しそうな表情でしたが……。世間を騒がせた7/5の大津波の予言。よく考えたら日本の希望である大谷翔平の誕生日、7月5日に天変地異はおきない気がします。でも一方で、大谷の存在が光すぎるので、新たな闇を引き寄せないとも限りません。
備蓄の水やクラッカーも買ったことですし、しばらく、気を引き締めていこうと思います。

 

トカラ列島近海の地震が続いているのも心配です。早く沈静化することを祈ります。新燃岳の噴火が続いているのも気がかりです。被害が広がらないといいのですが……。

神田明神の資料館で開催されている「特別展 おかしな浮世絵 変な絵巻物」に行ってきました。渋い会場でしたが、作品は見応えありました。
日本橋で油の行商人が、橋を渡っているときに足が滑って油をぶちまけてしまったシーンを描いた江戸時代の絵など。人力車を引く車夫もその油で転倒し、乗客の女性も落下、車夫の足が通りすがりの老人の背中を蹴り上げてしまい……というハプニングの連鎖が描かれています。野良犬は関係なくおいしそうに油をなめていました。

明治時代、上野の不忍池の周りで競馬が行なわれていて、なんと明治天皇もご観覧されていたそうです。色とりどりのバラシュートが打ち上げられているのがおしゃれでした。今だとドローンになるのでしょう。

江戸時代に人気だったお稲荷さんの信仰にまつわる絵もありました。擬人化されたお狐さんたちのヒエラルキーを表す絵など印象的でした。
また、この予言の日に見られて奇遇だったのが、鯰絵(なまずえ)シリーズです。地下に住む絵が動いて地震が起こるとされていた江戸時代。安政2年(1855年)に発生した安政江戸地震の直後、地震についての大量の瓦版が発行され、その中には鯰絵もあったそうです。地震のあとで大変な思いをしていた人々を少し和ませる効果があったのでしょうか。

「地震のまもり」という絵には、「鹿島神宮の神様に連れてこられたナマズたちが、井戸の神と地の神を従えた天照太明神の前で『もう地震は起こしません』と詫び証文に手形を押している様子」が描かれています。証文には地震除けの呪文が書かれているそうで凝っています。

お詫びの証文を書かされているナマズたちがかわいいです。安政2年(1855年)の作品。

現代は人工地震を唱える人などディープステートのせいとか言いがちですが、初心に戻って改めてナマズの存在に思いを馳せても良さそうです。古代エジプトでも神聖な魚とされたナマズ。計り知れないパワーを持っているかもしれません。

神田明神の展示を観たあと、秋葉原に歩いて行ったら「脳汁横丁」という異次元なフードフェスが行なわれていました。POPでカオスな色彩に包まれた空間に屋台が並んでいて、レインボーチー牛丼や、赤青、黄色、緑の小龍包、なぞのからあげ、ザリガニのガーリップシュリンプ、ナマズサンドなど、上級者向けのメニューが売られていました。さきほどの鯰の伏線がつながったナマズサンド、地震を起こすナマズをサンドにして天罰が下らないでしょうか?

それともここは、滅亡後のすでにアセンションした世界なのかもしれないと、珍盤亭娯楽師匠のDJを聴きながら思いました。秋葉原の街は、中国人のインバウンドの方々が普段より少なくて、やはり予言を信じて訪日の人が減っているのは本当だったと感じました。でも、滅亡しても別に良いというか、滅亡待ちみたいな倦怠感を漂わせた若者が、道端で食べ散らかしたゴミの中でしゃがみ込んでいました……。

すでに日本滅亡後の異世界かもしれない気がしてきた「脳汁横丁」の会場。マツケンサンバが流れて盛り上がっていました。

関連書籍

辛酸なめ子『次元上昇日記 ベストセレクション50』

「次元上昇」とは? それは「アセンション」のこと。 では、「アセンション」とは何か――? 辛酸なめ子さんにとっては、日々、功徳を積んで善行マイレージを貯め、それがある閾値に達すると得られる高い次元のこと。 本書は、そんな次元上昇をめざす一人の女性が、イベント、パーティ、買い物、仕事……と毎日足を運び、霊的な何かが見えたり、癒されたり、反省したり、試行錯誤する抱腹絶倒の記録です。 この世界の次元は一つじゃない――。 よりすぐりのベスト50をお楽しみください。

辛酸なめ子『次元上昇日記』

毎日のようにセレブやスピリチュアルな現場を取材し続け、どうやったら「次元上昇=アセンション」できるのかを考え続け、「小難しい本を読むより、猫を5分間撫でている方が真理に近付ける」と認識、善行というマイレージを貯めることこそが、個人の次元上昇を達成する方法だと気づく。そのおそるべき試行錯誤、抱腹絶倒の日常記録です。

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次元上昇日記

「次元上昇」とは? それは「アセンション」のこと。では、「アセンション」とは何か……。いろいろな意味があるので、ネットを検索してみて下さい。しかし、辛酸なめ子さんにとって、それは日々、功徳を積んで善行マイレージを貯め、それがある閾値に達すると得られる高い次元のこと。この連載は、その善行マイレージを貯め次元上昇をめざす一人の女性の抱腹絶倒、試行錯誤の記録です。

この連載が電子書籍になりました!『次元上昇日記 ベストセレクション50

バックナンバー

辛酸なめ子

近著に「スピリチュアル系のトリセツ」(平凡社)、「電車のおじさん」(小学館)、「無心セラピー」(双葉社)、「新・人間関係のルール」(光文社新書)、「女子校礼讃」「辛酸なめ子の独断! 流行大全」(中公新書ラクレ)など。

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