
みなさん、こんにちは。暮らし提案の専門家、積水ハウス フェローの河﨑由美子です。
今年も夏がやってきました。日本気象協会からは、2025年の夏は全国的に猛暑が予測されています。
今回は夏の睡眠について触れてみたいと思います。
夏の睡眠時間は他の季節に比べて短く、寝つきや眠りの持続が他の季節よりも難しくなる傾向があります。
睡眠不足が続くと、からだの免疫力が低下し、慢性になると大きな病気になる可能性も高まります。また、質の低い睡眠は、からだだけでなく心の抵抗力も落とします。
今こそ、自分のぐっすり度をチェックして、眠りの質を高めるライフスタイルを見直してみませんか。
半数以上が夏の睡眠に満足できていない
積水ハウスが季節ごとの睡眠に対する満足度を聞いたところ、春秋冬は6割以上が「満足している」、または「やや満足している」と回答したのに対して、夏は半数を下回り、夏は他の季節より睡眠に満足できていない人が多い結果となりました。

また、寝つきの悪さについても夏がワースト1位となりました。約6割が夏は寝つきの悪さを感じることが「よくある」または「時々ある」と回答しています。
夏の寝つきの悪さの原因のひとつは寝室の温湿度があるようです。

さらに、夏の睡眠の満足度を性別・年代別に比較してみると、アラ40~60までの女性が他の層よりも満足していない人が多いことがわかりました。
睡眠の質を高めるためにも「ぐっすり度チェック」で、自分の快眠度をチェックしてみましょう。

自分の快眠度をチェック「ぐっすり度チェック」
<ぐっすり度チェック>
あてはまる項目にチェックを入れて、AからFの項目ごとにチェック数を集計し、全体の合計を出してみましょう。
合計0個の人(金の眠り)
快眠できています。
眠ることも目覚めることも心地良いことでしょう。
これからも豊かな眠りの世界を愉しんでください。
合計1~4個の人(銀の眠り)
まあまあ快眠できています。
チェックが集中している項目があれば、そこを改善しましょう。分散してチェックが入っている場合は、さほど気にする必要がありません。
合計5~10個の人(銅の眠り)
やや注意が必要です。
あてはまる箇所に気をつけて生活してみませんか。きっと睡眠の質が上がるはずです。
合計11個以上の人(紙の眠り)
あなたの眠りはもろく、赤信号が灯っています。
睡眠について正しく理解し、ライフスタイル全般の見直しをおすすめします。
<あなたの眠りを妨げているもの>
AからFの各項目は、眠りを妨げている原因を表しています。
A……からだのリズム(不規則な生活)
B……日中の過ごし方
C……食生活
D……ストレス
E……就寝前の過ごし方
F……睡眠環境
出典:積水ハウス 総合住宅研究所「生活リテラシーbook 002 すこやかな眠り」
「ぐっすり度チェック」で、自分の快眠度がわかったら、眠りの環境を整える工夫をしてみましょう
活動とくつろぎの空間を分けよう
寝室を個人の時間を楽しむ場所ととらえ、書斎や趣味のコーナーを室内に設けるゾーニングは住まいづくりに多くみられるパターンです。しかし、睡眠の質という点から見ると、眠る前に脳を刺激しすぎる行為は、寝つきを非常に悪くしてしまいます。
脳をフル回転させるような執筆や読書、パソコンワークや細かな作業の趣味を楽しむのなら、その空間は寝室から切り離した場所に設けて、眠りに入る前に十分にクールダウンの時間をつくることが大切です。
「活動の場」と「くつろぎの場」をきちんと分けて考えることで。眠りの質はずいぶん高まるでしょう。
それでは、睡眠の質を高める空間づくりには、どのような工夫を行えばよいのでしょうか。積水ハウスが人の睡眠に科学的にアプローチし、健やかに眠ることのできる空間環境を研究した結果、導き出したポイントが「睡眠五感」。「視覚」「聴覚」「嗅覚」「温熱感覚」「触覚」の「睡眠五感」を整えることで、目覚めと睡眠の質を高めることができますよ。
視覚 ― 快眠のための光環境
光の色も、眠りの質を左右する重要な要素です。キャンドルの炎のように赤みがかった光は、気持ちをなごませてくれます。こうした色の光に接すると、睡眠を促進するメラトニンの分泌が高まり、体は体温を下げて入眠モードに入りやすくなるのです。白い光の昼白色がお好みの方も、寝室だけでも電球色の蛍光灯やLEDにすることで、眠りの質が上がることがわかっています。
聴覚 ― 心地良い眠りのために音楽を味方につける
音域が高音域から低音域へ移り、音量も徐々に弱くなるような、ゆったりしたハーモニーであること。
音色は弦楽器や木管楽器など、やわらかな響きが好ましいとされています。
これを目安に自分のための音楽を見つけてみてはいかがでしょうか。
嗅覚 ― 快眠のための香り環境
ストレスは交感神経を緊張させるため、寝つきを非常に悪くすることもあります。たとえば、そのストレスを緩和するためには、ハーブの香りは効果的です。
好ましくない匂いや汚れた空気が漂っていると、眠りにつく幸福感は台無しですよね。
気持ちをやわらげリラックスできる香りをうまくつかって、心地良い眠りの環境を整えてみましょう。
温熱感覚 ― 体温と眠りのリズムは、デュエットしている
しばらくよく眠れなくて困っていたけど、久しぶりに運動を楽しんだ日は不思議なほどよく眠れたという経験はありませんか。
これには、からだのほどよい疲れと太陽光を浴びたことも作用していますが、活動的に過ごしたことで昼間の体温が十分にあがったおかげなのです。
眠りの質は、体温のリズムにも左右されており、昼間は体温が上がり夜は下がる、この上下差がはっきりしているほど寝つきが良くなります。
また、寝苦しい夏の夜も涼しい微風を感じることができれば心地良く眠れるものですが、これも体温が関係しています。つまり風の気流が皮膚表面の放熱を促し、体温を下げてくれるので眠りの質が高まるのです。ただし、エアコンの風が直接顔にあたると不快感が生じ、入眠を妨げるので、気をつけてくださいね。
触覚 ― 寝具は素材にこだわって
四季のある日本は寝具も衣替えが必要ですが、敷き布団やベッドパッドで環境を整えること。そして、掛け布団は足し算・引き算ができるようにすることです。
夏は吸湿性と放湿性に優れた、麻のベッドパットがおすすめです。心地良いひんやり感を楽しめますよ。
寝苦しい夏の夜のおすすめは、冷やしタオルの活用です。よく絞ったぬれタオルを凍らせておき、ポリ袋にいれて乾いたタオルやガーゼでくるんで、枕の上に。
また、足の付け根の内側やわきの下に、冷たいタオルをあてると、身体のほてりを沈めてくれますよ。エアコンに頼りすぎずに眠ることができたら、からだにも環境にも良いですね。
夏の夜は上手に空調を使いながら、万全の体制で、眠りの質を高めて、清々しい朝を迎えてみませんか。
数字から考える幸せわが家

幸せのかたちは、家族やライフスタイルの多様な変化に合わせて変わっていくもの。ほんの少しの知恵や工夫で、わが家がもっと好きになる。積水ハウスの住生活研究から“住めば住むほど幸せ住まい”研究に基づく、暮らしのヒントやエッセンスをご紹介していきます。研究データや意識調査、リアルな実例をもとに「ちょっとやってみようかな」と思ってもらえるコラムを更新しています。
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