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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

2025.06.18 公開 ポスト

♯63

アイバ、MCやるってよ=テレビ東京番宣編相場英雄

オファーがきたのは昨年末だった。

まさかで、突然のオファー。

なにが起きたかというと、テレビ(地上波)のレギュラー、しかも私にMCを務めてほしいというテレビ局プロデューサーからのメールだった。

マネージャーから連絡が来た時、本当かよと思わず口にした。新刊のプロモーションやニュース番組の解説でテレビには何度もゲスト出演した経験がある。

しかし、である。

 

滑舌が悪く、髭面のむさ苦しいおじさんが毎週、公共の電波に乗ってよいものか。自問自答を繰り返すこと一週間、ひたすら迷った。もちろん、この時点で二年半先まで小説の連載予定も詰まっていた。

〈世の中にはたくさんの人がいるけど、地上波のMCをオファーされるなんて何千万人に一人のレベルだよ〉

マネージャーの一言に背中を押され、出演を決めた。

番組はテレビ東京の経済系報道番組『ブレイクスルー 不屈なる開拓者』。

独自技術で世に出たばかりのベンチャー企業、唯一無二の研究で世界をリードする大学教授等々、これから世界を席巻するであろう人たち、いわば原石を掘り出す番組だ。

番組に起用されたのは、元記者であることが一番の要因。

斜に構えて質問する、ときにゲストが言いたくないコメントを引っ張りだすスキルを見込まれた。

昨年末のオファー以降、衣装合わせやポスター撮影、番宣用V撮影と多忙を極めた。その後、今年三月になって初めての収録が始まった(実際の放映は今年四月)。

ビシッとスーツ着ているが、ネクタイを結べない作家(写真はすべてテレビ東京提供)。

同局の佐々木明子アナウンサーとコンビとなり、現場へ向かった。カメラさん、音声さん、十人ほどのプロたちが私の顔を凝視する中、ディレクターがいきなり真顔になり、言った。

〈はい、カウントします。5、4、3〉

2からは無言となり、1のあと指を振り、キューを出した。

リハーサルなし、頭真っ白。激しく動揺するも、佐々木アナのリードでなんとか言葉を絞り出した。

〈アイバさん、もっと喋って!〉

〈立ち位置、違います!〉

ディレクターに怒られること数回、なんとか初回の収録を終えた。当然のことながら、ゲスト出演とは大違い。番組の公式サイトには私の顔がデカデカと貼られているとおり、私が“座長”なのだ。

匂い転送の新技術を体験するMC。

取材現場でグングン前に出る、ゲストの持ち味を引き出す、気の利いたコメントを発する……。テレビの前で、〈コイツ、使えないじゃん〉とかツッコミを入れていたおじさんが、まさか座長になるとは。世の中なにが起きるかわからない。

座長とはいえ、テレビの現場では私が一番のシロウト、つまりスキルがない。佐々木アナをはじめ、カメラさん、音声さん、照明さん、メイクさんたちが支えてくださってなんとか座長が務まっている。

もちろん、プロデューサーのほか、つきっきりで撮影に伴走してくれるアシスタントプロデューサーには頭が上がらない。

そして、大手芸能事務所で人気ユニットの担当を長年務め、その後私の面倒をみることになったマネージャーK子(リアル従姉妹)。

ズブのシロウトを現場に馴染ますため、スタッフさんたちとのコミュニケーションを絶やさず、常に空気を醸成してくれる姿には感謝しかない。

毎週土曜日午前一〇時半、テレビ東京系『ブレイクスルー』を是非ご覧いただきたい。

むさ苦しいおじさんMCはともかく、今後世界をリードするテクノロジー、あるいはサービスを創り出した先駆者たちの顔は眩しいのだ。

 

以上、シロウト座長からの番宣でした。

 

番組公式サイトはこちら。

https://www.tv-tokyo.co.jp/breakthrough/

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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!

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相場英雄

1967年新潟県生まれ。元時事通信社記者。主な著書に『震える牛』(小学館文庫)、『血の轍』、『KID』(ともに幻冬舎文庫)、『トップリーグ』  『トップリーグ2/アフターアワーズ』(ともにハルキ文庫)。近著は『血の雫』(幻冬舎文庫)、『レッドネック』(ハルキ文庫)、『マンモスの抜け殻』(文藝春秋)、『覇王の轍』(小学館)、『心眼』(実業之日本社)、『サドンデス』(幻冬舎)、『イグジット』(小学館文庫)『ゼロ打ち』(角川春樹事務)、『マンモスの抜け殻』(文春文庫)。『フェイク・フィクサー』(小学館ストーリーボックス連載中)、『ブラックスワン』(小説幻冬連載中)。

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