
みなさん、こんにちは。暮らし提案の専門家、積水ハウス フェローの河﨑由美子です。
積水ハウスの住生活研究では、生活の基本となる「食」「睡眠」「浴」「トイレ」「衣家事」「掃除」「収納」「身だしなみ」「子育て」「介護」「働き方」をそれぞれ10年ごとに観測し、日本人のライフスタイルを明らかにする定点調査を行っています。今回は「掃除」を調査。10年前と現在を比較し、現在の家の掃除に対する意識とトレンドを探りました。
と同時に、10年前も今も変わらず、いつかまとめて一気に片付けよう、と思うとなかなか実現できないのが「家の掃除」です。「わざわざ掃除機を出す」「がんばって片付ける」などのストレスなく解決する、「ついでに掃除」できる工夫をご紹介します。
掃除に積極的な既婚男性が全体の35.1%に増加。特に幼い子どもがいるアラサー世代は約半数
調査によると、掃除に積極的に取り組む既婚男性が増えています。10年前の暮らしと比較すると、住まいの掃除の関与度を、「住まい全体の掃除担当」または「決められた場所の掃除担当」として主体的に掃除に取り組むと回答した既婚男性が35.1%となり、約10ポイント上昇しました。
「住まい全体の掃除担当」である既婚男性は、全年代で増加しています。また、特にアラサー世代(25~34歳)では、「住まい全体の掃除担当」または「決められた場所の掃除担当」と回答した人の割合が10年前より約16ポイントも上昇し、約半数となりました。
既婚男性が普段掃除をする場所は10年前より関与率が上昇
既婚男性に日常の掃除担当場所を聞いたところ、トップは10年前と変わらず「浴室」で、約8割の人が回答しました。次いで既婚男性が多く担当している場所は、「洗面室」「リビング」「トイレ」でした。他の場所でも担当割合が増加していました。
この10年で、既婚男性の掃除関与度や担当場所が増えたことが分かります。
社会人になっても約半数は親が子ども部屋を掃除
次に「子ども部屋」の掃除をみていきましょう。
既婚の男女共に掃除担当率が上昇した「子ども部屋」です。子どもの学齢別に「子ども部屋」の掃除担当者をみると、社会人の子どもは「子ども」と「親」の掃除担当率が同じで、それ以外は「親」が担当している割合が高い結果になりました。
10年前は大学、短大生、専門学校生の時点で「子ども」の掃除担当率が親を上回る62.3%だったのに対し、今回調査では「子ども」の掃除担当率が41.1%(マイナス21.2ポイント)と低い結果になりました。
定点観測の変化をみると、子どもが学童期から自分の生活スペースでも主体的な掃除の習慣を身につけることが大切なのかも知れません。
ほこり掃除は“スマートに、さっと、こまめに“がキーワード
掃除で最も大切なことのひとつにほこりを取り除くことがあります。ほこりがたまりやすい家の中。特にたまりやすい場所は、部屋の隅、コンセントの差込口、タンスや冷蔵庫の裏・側面などです。ほこりをためないための工夫は、「換気をしっかり行う」、「棚などに物を並べない」、「布製製品を減らす」、「帰宅前に外で体をはたく」などがあります。
それでも、たまってしまうのがほこり。効率よく取り除くポイントとしては、掃除は換気をしながら行いましょう。ほこりは空中に舞いやすいので、人が動き回っている日中はとりきれないため、掃除するのは朝いちばんか、帰宅直後がベストです。
最初に掃除機をかけると排気でホコリが舞い上がってしまうので、床用のモップで落としたホコリをからめとってから、足元の床掃除で掃除機をかけるとよいでしょう。
フローリングは、一方向のみにかけ、往復しないこと。ダニ退治だけでなく、死がいの除去もきちんとしてくださいね。
お掃除しやすくなる住まいの工夫とは
1)リビングで使う掃除道具を分けて収納できるリビングクローク
リビングでいつも使う掃除道具をまとめて収納する掃除専用のクロークをリビング付近に設けましょう。縦長の掃除道具や洗剤、雑巾などを一か所にまとめることができ、家族みんなに分かりやすく、それぞれが掃除をしやすくなります。掃除道具の保管場所を他の生活雑貨と分けることができるので、衛生面も安心です。
2)個室で使う掃除道具を、それぞれの部屋で収納するための「ポケット収納」
汚れを見つけたときにサッと掃除用具を取り出して掃除できるのが理想ですよね。壁厚を利用して、各部屋に省スペースの掃除道具入れを設けてみてはどうでしょう。家族が誰でも、掃除をしやすくなりますよ。
3)お掃除の頻度を下げる、自ら掃除をしなくていいアイテムを住まいに
水回りの掃除は、日常的に負担が大きいもの。住まい検討時には、できるだけ掃除のしやすい素材を選ぶこと、掃除しやすい間取りであることも大事です。散らかりがちな小物にあらかじめ定位置を設けたリビング・ダイニング。間取りや家具の配置も、掃除機の掛けやすさに配慮しましょう。
普段から床に物を置かずにすっきりさせると、掃除ロボットの導入も効果的になりますよ。
ほこりや汚れがたまってから掃除をすると、手間も時間もかかります。でも、散らかり放題の部屋を前にすると面倒な気持ちが先に立ち、ついつい後回しに。放っておくと汚れはさらにたまり、腰は重くなる一方です。この悪循環から抜け出すために、掃除に取り掛かりやすい空間づくりを目指しましょう。
基本は、散らかりやすい物に定位置を決めて、使ったら元に戻すこと。「思い立ったが吉日」の小まめな掃除習慣が身に付きやすくなるはずですよ。
きれいな部屋で幸せな時間を過ごしてくださいね。
数字から考える幸せわが家

幸せのかたちは、家族やライフスタイルの多様な変化に合わせて変わっていくもの。ほんの少しの知恵や工夫で、わが家がもっと好きになる。積水ハウスの住生活研究から“住めば住むほど幸せ住まい”研究に基づく、暮らしのヒントやエッセンスをご紹介していきます。研究データや意識調査、リアルな実例をもとに「ちょっとやってみようかな」と思ってもらえるコラムを更新しています。
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