
自分が我慢すれば丸くおさまる、なかなか本音が言えない……大反響のアレン様エッセイ第7回目は、そんなお悩みを抱える皆様におくります。人間関係や労働などすべてにおいて、「我慢しない=いいことしかない!」と言い切るアレン様のありがたいエピソードをふんだんにお届けします!
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家にも学校にも居場所がなかった幼少期。誰にも本音を言えなかったわ
ヮタクシが「我慢をしない、怒らなかったら損するだけ」というマインドになったのは、幼少期の経験が強く関係しているの。何もかも、ずーっと我慢してきた人生だったから。
学校に行ったらいじめられるし、家に帰っても、いじめられていることを家族に言えない。学校にも家にも居場所がなかったし、そういう状況が続くと家族に隠し事をしている気持ちになるのよ。だって学校が全然楽しくないのに、「お友達と何しゃべった?」とか「学校どうだった?」って親に聞かれても、「楽しかったよ」と言うしかない。とにかく全部の場所で我慢していた人生だったの。
だからもう、これ以上我慢をしたくないという思いが根本にあるのよね。幼少期の十年以上を棒に振ったと思っているから、今それを取り戻したいの。
“人と違う部分を笑わない”、“個人を尊重する”ことを教えられたのが少年院だったのよ
ヮタクシは少年院に入って、そこで初めて愛を感じたの。初めてと言ったら失礼かもしれないんだ㌔、でも本当にそうなのよね。それまでは自分と向き合ってくれる先生にも出会ったことがなかったわ。少年院というところは、その人自身を、人格を、ニュートラルに戻す場所なの。少年院を出たあとに社会人として立派に生活していけるように、カリキュラムが組まれているから、刑務所とは全くの別物なのよ。
このエッセイを読んでくれている読者のクリマンのみんなには想像がつかないかもしれないけれど、少年院の中では、みんなすごく泣くのよ。それは、少年院で初めて先生に愛を持って接してもらえたからなのよね。18~19歳くらいの、大きい男性がわんわん泣く現場をいっぱい見てきた。ヮタクシも少年院の中で泣いたわ。
少年院で、先生にまず言われたのが「個人を尊重しなさい」ということ。それをたたき込まれるのよ。
たとえば違法薬物で少年院に入ってきた人の歯がなくても、「笑っちゃダメ」って教えられるの。「それがその人の生きてきた過程で、いま頑張って治そうとしているんだから、笑っちゃダメ」とかね。
人と違う部分って、小~中学生くらいの時期だとバカにされて笑われるじゃない? そういうのがないの。
持久走でも、いろんな年齢の人がいるから体格もバラバラだし、小さい子は遅いでしょ。それもみんなで激励して、最後までちゃんと見届ける。そういうふうに徹底されたカリキュラムが組まれていたから、ヮタクシは自由がある少年院だったら今でも入りたいって思うもの。
実際には自由がないからもう少年院には入りたくない㌔、すごくいい場所。全人類、少年院に入ったほうがいいと思っているぐらい、いい環境だったのよね。
うざいと思えるくらい親に会えるのも、自由があるのも全部が当たり前じゃないの
少年院では面会で月に1回しか親に会えないの。しかも15分とか30分とか、時間制限もある。だから親のありがたみをそこで知ったのよ。
学校の先生もそう。以前は「先生ってキモい! うざい!」って思っていたのが、たとえば先生が2カ月に1回しか面会に来てくれないとなると、先生にもすごく感謝をするようになるの。親にも先生にも、会いたくても会えない。すべてにおいて、当たり前だと思っていたことが当たり前じゃないということをたたき込まれたのね。
だって中学生くらいのときって、みんなは「親キショい、うざい」って言いながらも家に帰っている。でもヮタクシは、親のことをキショいって思えるくらいたくさん会いたくても会えない。少年院の中でこんなことやあんなことがあったってしゃべりたいんだ㌔、時間が来たら引き剥がされる。
そういう環境だったから、少年院のおかげで感謝の気持ちが芽生えたし、人の愛に触れることができて、個人を尊重することを教えられた。そして「思っていることがあったら言えよ」って言ってくれる先生たちがいる。そういう中で育ったから、「我慢をしない」とか「感情を出してみる」っていうことを学んだの。
泣くことって恥ずかしいと思っちゃうし、学校で泣いちゃうとかなかなかできないと思うんだ㌔、少年院の中だと先生に怒られてわんわん泣いちゃうとかよくあるの。そういうのが積み重なって「我慢しない」っていうポリシーがヮタクシの中にたたき込まれたのよ。
衝突しちゃいけないって誰が決めたの? お互いに本音を言い合える“子ガキ心”って大事よ
我慢をしなくなった今だからこそ、ちょっとの我慢がすごく気持ち悪く感じるの。その気持ち悪さを吐き出したくなるのよね。我慢しないことで得た恩恵も腐るほどあるわ。友達との関係でもそうよ。
ヮタクシこの間、戦慄かなのちゃんと大げんかしたの。二人で行ったシンガポールでね。
そのときヮタクシは、戦慄ちゃんに対して気になっている部分があったの。でも旅行の初日だったし、雰囲気を壊したくなかったこともあって、言わなかったのよ。だって相手の生きてきた環境とかもあるし、ちょっとした価値観のズレが原因だったことだKARA。
でもそれが結局爆発しちゃって、「もう嫌だ!」って大げんかになったの。そのとき戦慄ちゃんにヮタクシの素直な気持ちを伝えたら、「直す」って言ってくれて。ヮタクシもバーッと強く言っちゃったから、「戦慄ちゃんも私に対して我慢していることがあったら言って」って伝えたら、戦慄ちゃんも言ってくれたの。「実はここが気になってた」ってお互い言い合って、泣いて、ごめんねって謝って。
「お互い気を付けていこう。ちょっとでも気になったら、もう我慢しないで言おう」ってなったの。そこからヮタクシ達、超! 今まで以上にいい関係になったのよ。
あともうひとつあるわ。
ヮタクシが出版した書籍の件で、やりとりしていた某出版社に対して不満が溜まって、Xで事実を投稿したところ、すぐにその出版社の上席の方から連絡が来て全部解決したの!
出版イベントや取材とかも全部ノーギャラだったのに、お支払いしてもらえることになったのよ。このときだって最初はずっと我慢していたんだ㌔、結局爆発しちゃうの。でもそれでいい結果が得られたじゃない? だからそのたびに、「やっぱり我慢しないっていいわ。もし最後まで我慢していたらヮタクシ、給料なしだもん」ってなるの。
そういう成功体験をどんどん重ねていくと、「あのとき、我慢したままでいたほうが怖かったな、気持ちを言ってよかった」って実感するのよ。
我慢は百害あって一利なしなのよ、本当に。我慢をしすぎて崩壊した人間関係はいっぱいあるけどね。ヮタクシの場合、我慢をしないで言い合った人とは全部関係がよくなっているの。
我慢すると関わりたくなくなって疎遠になる。大人の9割は「言えない」とか「もういいや」ってなって衝突を避ける傾向にある㌔、衝突しちゃダメって誰が決めたのよ? わんわん泣いて、大げんかして、仲直りして……昔は普通にできていたことなのに、大人になると何故だかできなくなるでしょ。
ヮタクシには「言いたいことがあったら言う! 逆にあなたも言ってね」っていう子ガキの心が残っているの。だから小学生みたいに仲直りしてもっと仲よくなる。子ガキ心って大事なのよ。ァンタ達も子ガキの心を忘れるんじゃないわよ~!
幸せになりたいとほざくァンタ達へ

幻冬舎plusにアレン様大先生がついにご降臨…!! 本連載では、現代社会で生きる誰もが気にしている「幸福論」について、ありがたいお言葉をつむいでいただきました。読めば幸せになること間違いなしのスペシャルなエッセイをご堪能あれ。