うぇーい!とノリでお花見しちゃう人が多いと思いますが、お料理の盛り付けは美しく、お酒を飲む所作も美しくはんなりと…とすることで、運気はアップ!します。
『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』より、お花見のアレコレを学ぼう。
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未来の良きことを先にお祝いする「予祝」。春のうちに秋の実りを祝う
突然ですが、想像してみてください。
あなたは今、木の実を採取して食べている縄文人です。いつものように腹をすかせ、フリーな感じでぶらぶらしていると、向こうのほうの、実がなる木に、花が咲いているのを見つけました。
よっしゃあ。実がなる時期に、またあの木のところに行ってみよっと。
と、うれしくなって、小躍りするでしょう? そして、好きな人と一緒に行こうと思ったりするかもしれません。頭の中のそんな計画だけで、幸せな気持ちになりますよね。
もともと、すべての花は、美しいものである以前に、実りの兆(きざ)し、前兆でした。花がたくさん咲けば、ああ、あの木には今年も実がたくさんなるのだなあ、とわかります。
古くから、花はすこし先の良きことをしめす「吉兆」なのです。空間に生花があるだけで気分が上がるのは、それが吉兆だからなのかもしれません。
さて、桜の花は、春になって田の神が宿ると開花する、というお話は前述しました。
桜の花がいっせいにぱぁああっと咲くということは、田の神様がぐんぐん活気づいているということ。田の神様が元気ということは、秋の豊作が期待できるということ。
だから日本人は、桜が開花したかどうか気にして、開花したら、できるだけたくさん、たっぷり長く咲いていてほしいと願います。それが秋の豊作の予兆になるからです。
満開の桜の下で宴会をする「花見」は、そうした願いをこめて、秋の豊作を先にお祝いする「予祝(よしゅく)」なのです。
「予祝」とは、未来に起こってほしいことを、あらかじめお祝いするという、古来の祈願のしかたです。神社で行われる春祭りの多くは、秋の豊作を、先に氏神様とお祝いする豊作祈願でもあり、これには「口に出した言葉の内容が、現実になる」という霊言(ことだま)信仰がベースにあるのではないかと、私は思っています。
春祭りもそうですが、神社のお祭りには、かならず「直会(なおらい)」という宴会が含まれています。おごそかな神事のあと、神様にお供えした食べ物やお酒を、神様とともにみんなでいただき、和み、楽しむ。神様と同じものを食べることにより、神様と一体化するのです。
お花見は、花の下で、田の神とともにむつび和らぐ「直会」といえます。ですから、そこで飲食するものは神様へのお供えでもあるのです。そう考えると、おのずと美しいものを選ぶことになりますし、お酒の飲み方も変わってきますよね。どうしたって、はんなり、美しく、楽しく飲むということを意識すると思います。そんな「雅な」お花見は、私たちの心を豊かに満たします。
桜の時期に百貨店の地下食料品売り場に出かけると、そこには、老舗料亭をはじめ、たくさんのお店が腕をふるったお花見弁当が、華やかに並んでいます。お値段は張りますが、その美しさといったら、神々に捧げ、神々とともにいただくのにふさわしいものばかり。やはりこれは、花見が神事であったという歴史を、無意識に意識している商品なのではないか、と神職の私は思ってしまいます。
お花見弁当手作り派の人も「これは神様へのお供えだ」と思って作ると、新しい美意識のスイッチが入るでしょう。写真映えとも違う、神様映えする美を追求するからです。
(つづく)
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神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること

古(いにしえ)より、「生活の知恵」は、「運気アップの方法」そのものでした。季節の花を愛でる、旬を美味しくいただく、しきたりを大事にする……など、五感をしっかり開いて、毎月を楽しく&雅(みやび)に迎えれば、いつの間にか好運体質に!
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神主さん直伝。「一日でも幸せな日々を続ける」ための、12カ月のはなし。
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