一日一冊読んでいるという“本読み”のアルパカ内田さんが、幻冬舎の刊行作品の中から「今売りたい本」を選んでレビュー。さらに“POP職人”としての腕を振るって、手描きPOPも作るコーナー。
今月のオススメはこちらです!
また、幻冬舎営業部の人気者・コグマ部長が新刊の中からセレクトする、アルパカ内田さんへの「オススメ返し」もあわせてお楽しみください!
【元カリスマ書店員でPOP職人のブックジャーナリスト
アルパカ内田さんが今、売りたい本】
第54回 原田マハ『すべてが 円くなるように』
皆さん、こんにちは。増えるメールよりフェルメールが好きなアルパカ内田です。
原田マハは熱量があふれた長編もいいが、短編もまた切れ味が鋭くて素晴らしい。本書は〈真珠〉と〈アート〉にまつわる7つの短編集。時空を超えた人間ドラマに酔わされる。まさに至福の読書体験を味わえる一冊だ。
どのストーリーからも伝わるのは「光」と「水」である。「光」の象徴は、「真珠の画家」フェルメールだ。冒頭の「フェルメールとの約束」は、美術史家であり作家でもある「私」がアムステルダムのフェルメール展を観に行く話。情熱がおもむくまま訪れた先に待っていた奇跡の出会い。運命の歯車が音を立てて動き出す瞬間を目の当たりにできる。「光」は美しい宝石の輝きであり、迷える人を導く希望の灯でもある。
「水」は「雨」や「雪」となって空から降り注ぎ、また「川」「湖」「海」といった自然の風景にもなる。さらには感動の「涙」のような感情の発露もまた大切な水分だ。こうした様々な「水」は輪廻のごとく循環しながら、地球を、そして人間を創っているのだ。そう、真珠のごとく「すべてが円くなるように」。
ラストの「海からの贈りもの」は風光明媚な鳥羽が舞台。真珠王・御木本幸吉が登場し、好奇心を存分に刺激すると同時に、偉大なる先人の足跡に触れることができる。全身を包み込むような眩いオーラが感じられるだろう。「光」も「水」も人間が生きていくために必要なライフラインである。原田マハの紡ぎだす文章を読むと心が満たされる。これが、この世に必要とされている文学の証なのだ。

アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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