「損をしたくない」「みんなに遅れたくない」。
そんな焦りからタイパを追い求め、タスクを詰め込み続けること。実はそれこそが、仏教でいう本当の「怠け」かもしれません。
脳内のネットワークが混乱し、他人のオススメに従うだけの「自分不在の人生」に陥っていませんか?
脳神経外科医の菅原道仁さんが、作業効率も人生の満足度も同時に引き上げるための鍵「脳の余白」の重要性を解き明かした『ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」』(リンク先はAmazonページに遷移します)。同著から一部を抜粋してお届けします。
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サリエンス・ネットワーク(SN)の負担増で、作業タイパも人生のタイパも低下する
すべての情報のうち「何が重要か」を瞬時に判断している、脳内のサリエンス・ネットワーク(SN)が疲労困憊している現代、僕たちの脳内では、次のような混乱が起きていると考えられます。
①サリエンス・ネットワーク(SN)の「判断ミス」
やってくる情報が多すぎて、「自分にとって何が重要か」を判断するサリエンス・ネットワークが疲弊。そのせいで、何もかも重要に思えるようになり、「やらなきゃマズイ」と感じるタスクがどんどん増えていく。

②セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(CEN)の「実行機能の低下」
サリエンス・ネットワークの判断ミスで、あれもこれも重要に思えてしまい、「やらなきゃ」と感じることが増えて、タイパ追及モードに突入。そのせいで、実行機能を担うセントラル・エグゼクティブ・ネットワークもお疲れモードに。
結果、ものごとへの対処が中途半端になったり、作業ミスが増えたり。がんばればがんばるほど作業タイパが落ちるという悪循環に突入。

③デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)に向き合う時間がなくなり、「自分を見失う」
やるべき作業にばかり気をとられた結果、自分の内面と向き合う時間を失うことに。その結果、他人のオススメにばかり従うようになり、気づけば「自分はこんな生き方がしたかったんだっけ?」「人生、間違ったかも」と感じるように。人生そのもののタイパが低下。
つまり、多すぎる情報が脳に与える影響のせいで、僕たちはタイパを求めずにいられなくなり、けれど同時に、作業タイパも人生のタイパも損なうという、最悪のループにハマってしまっているのです。

必要なのは「脳の余白」をつくること
だとすれば、今、僕たちに必要なのは何か?
さらにがんばる、もっとタイパを追い求める……ではないことが、あなたにはもうわかっていますよね。
僕たちがしなければならないのは、情報でギチギチ、タスクでギチギチになった脳を少しゆるめてあげること。
脳を適度に休ませて、「脳の余白」を取り戻してあげることです。
さらに、取り戻した余白で、自分の声を聴く力を取り戻し、そのために行動力を使えるようにしていく必要があります。
「脳の余白」を使って、脳内の4人のバランスを整えることで、作業のタイパも、人生のタイパも、今より少しずつ整い始めるのです。
だから、もしあなたが、
「ちゃんとがんばっているのになぜか手応えがない」
「評価は悪くないのに、満たされない」
「このままでいいのかな、という違和感がある」というのであれば、今は脳を少し休ませて、「余白」をつくってあげる必要があるわけです。
脳をゆるめることは、立ち止まることではない
「だけど、『脳に余白』って……。要は怠けるってことじゃないの?」
そんなうしろめたさを感じた人もいるかもしれませんね。
がんばることが正解だと教えられてきた僕たちにとって、これはごく自然な反応だと思います。
実は僕自身もそう思っていたのですが、最近、面白い話を聞きました。
なんでも、仏教でいう「怠け」とは、単なるサボりではないそうです。
欲や嫉妬に振り回されて、自分の人生を見失ってしまう。
そんな状態こそが、本当の意味での「怠け」だというのです。
僕たちがやたらとタイパを追い求めるとき、そこには、
「自分だけ損したくない」
「みんなが持っているから欲しい」
といった、無意識の欲や嫉妬が入り込みがちです。
そんなとき、
「これは本当に自分が望んでいるものなのか」
「そもそも、何のために急いでいるのか」
という問いは置き去りになります。
自分が何をしたら幸せになれるのかを見つめず、ただがむしゃらにがんばり続けること。
自分の人生のハンドルを手放したまま走り続けること。
脳のしくみから見ても、それこそが「怠け」と呼べる状態ではないか。タイパにまつわるパラドクスを抱えた脳を見ていると、僕にはそう思えます。
だからこそ、大切なのは、自分の内側の声に、耳を傾けながら進むこと。自分がどんな人生を歩みたいのか、その声を確かめながら進む道こそ、結果的にいちばんムダがなく、効率のいい道です。
そしてこの道を歩んでいるとき、適度に休憩できる脳の実行機能は、タスク処理に回せるリソースを静かに貯えています。そういう意味でも、脳の余白をつくることは、人生効率がいいのです。
目指すのは、
立ち止まることでも、力を抜ききることでもなく、
脳をゆるめた余白で進むこと。

そのための方法を、本書では具体的にご説明していきます。
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『ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」』は、明後日4月8日(水)発売です。Amazonなど各種ネット書店では、現在ご予約受付中です!
ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」

倍速で消耗する人生、そろそろ手放そう。
パフォーマンスの質を決めるのは、「速さ」ではなく「ゆるめ方」!
「がんばっているのに、なぜか成果が出ない」
「タイパを追うほど、心も体も消耗していく」
……そんな“タイパ疲れ”を感じていませんか?
じつは、私たちの脳内には、4人のキャラクター(心配性の「おかん」、情報分析と注意の意識の使い手「交換手」、行動の司令塔である「マネージャー」、自分らしい生き方を模索する「アーティスト」)がいて、その役割分担がうまくいくことで毎日の選択や行動がなりたっています。
ですが、残念なことに効率を求めすぎる現代人はこの4人のバランスが大きく崩れてしまっています。
それが、タイパを追うほど虚しさが募る「脳のパラドクス」の正体なのです。
本書では、脳神経外科医である著者が、脳科学的な視点から「脳の余白」をつくる新習慣を提案します。
それは単なる休息ではなく、人生の処理能力を劇的に引き上げるための戦略的な「ゆるめ方」です。
スマホ依存から脳を守り、五感を研ぎ澄ませ、ぼーっとする時間で「自分を紡ぐ」――。
脳をゆるめて“余白”をつくれば、人生は最短距離で好転し始めます。
倍速で消耗する生き方を卒業し、最小コストで最大の結果を手に入れる「真のタイパ」を、あなたもこの本をとおしてぜひ手に入れてください。










