幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
越尾圭『ぼくが生きるということは、きみが死ぬということ』
2人は入れ替わってしまう。願いを叶えた2
人だったが、次第に本当の気持ちに気づき、
お互いを思いやっていく。果たして「死ぬ」の
はどちらなのか。ラストにあなたは涙する。
さて、こちらは衝撃的なタイトルが目を引く作品。
3月末のある日、東京・多摩川沿いの満開の桜の下に偶然引き寄せられた2人の男女。社会人4年目の航平は、ブラック企業で心身ともに疲弊、もう生きる意味がないと絶望していた。一方の美羽は28歳の若さで末期がんの宣告を受けた。夫とまだ小さな娘のためにどうしても死ぬわけにはいかない。生と死。命のベクトルが真逆に向いている2人が、満開の桜の下で突然入れ替わってしまった。意識や記憶は自分のままで、外見だけが互いの体に替わったのだ……。
さて、このような「入れ替わりもの」は古今東西にある定番ネタだが、本作の読みどころは、生を願う末期がん患者と死にたいと願う若い男がそれぞれの「体」ですごしていくうちに、互いの人生にも深く関わっていくところにある。
やがて美羽の体は徐々に病魔に侵されていく。その内面は、かつて死にたがっていた航平だ。どちらかが「死ぬ」とき、もう片方はどうなるのか? 無情にも迫るタイムリミット。新たな体を得た2人の錯綜する思い……。
読者は最後の1行まで目が離せない。いやぁ、実に面白い作品が堂々文庫書き下ろしで誕生とは! 活況と聞く春の文庫ラインナップのど真ん中に据えていただきたい傑作だ!
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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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