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アルパカ通信 幻冬舎部

2024.03.29 公開 ツイート

門井慶喜『ゆうびんの父』/黒木亮『マネーモンスター』- 郵便と金融、ビジネスの裏側を垣間見れる小説2作! アルパカ内田/コグマ部長

幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
黒木亮『マネーモンスター

日本人とアメリカ人のグループが運営する
ウォール街のカラ売り専業ファンドが、資産
の過大計上や契約書の改ざんなどで暴利を
貪る企業に、持ち前の財務分析力で作成し
た告発レポートを武器に次々と宣戦布告!!
最後に笑うのはいったい誰か―。

一方、こちらは金融の世界でのスリリングな攻防に息をのむ1冊。

「カラ売り」とは株主から借りた株式を売り、当該株式の株価をシビアな財務レポートの発表などで下落させたのち株式を買い戻し、現物を元の持ち主に返して差益を得る投資手法。本作はその専業ファンドを運営する男たちが主人公の金融エンタテインメント小説だ。

3話あるが、圧巻は「地銀の狼」。元来は優良地銀であるあかつき銀行の支店で、行員の自殺が発生。同支店では行員の鬱病や退職が相次いでいた。しかも、新興の住宅メーカーと組んだ高リスクの不動産融資も多く、支店長の指示のもと違法行為も横行していた。情報をつかんだファンド側は丹念な調査を重ね、数々の詐欺行為を白日のもとに晒す。一気に株価は下落するが……。

儲けたい客に巧みに付け入るモンスターたち。常に被害に遭うのは知識がない者や高齢者。一度獲物を手にしたらすべてを吸いつくす様子はまさにアリジゴクだ。本書では巧妙な騙しのテクニックがいくつも明らかにされ、読者はいつの間にか十分な金融リテラシーが身に付くという最高のおまけもある。

現在、書店店頭で売れている投資関連書籍との並売も期待できる。東証の高値更新に沸くのもいいが、まずはこの小説で現実を知ってほしい。

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

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アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

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