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ビジネスパーソンのための韓タメ最前線

2024.03.26 公開 ツイート

4人に1人が“アプリ婚”。映画『マッチング』、韓ドラ『サムバディ』、日韓出会い系アプリビジネス事情 李ハナ

今や出会い、結婚のきっかけとして世代を超えて浸透するマッチングアプリ。日本では2023年9月よりマッチングアプリの地上波テレビCMが解禁され、ますます市場拡大が期待される。ビジネスパーソンとしてキャッチアップしておきたい。

“出会い”に潜む恐怖と現代の恋愛事情

マッチングアプリを題材にした映画『マッチング』が大ヒット中のようだ。

 

映画『ミッドナイトスワン』の内田英治が原作・脚本・監督を務め、土屋太鳳演じる主人公がアプリによる出会いをきっかけに恐ろしい事件に巻き込まれていくサスペンス・スリラー。累計観客動員数50万人を突破し(2024年3月13日時点)、拡大上映されている。

映画『マッチング』のあらすじを聞いて、Netflixで配信中の韓国ドラマ『サムバディ』(2022)を思い出した。

天才的なプログラミング能力を持つ女性が作った出会い系アプリによって、殺人事件が起きてしまう。そして女性は殺人犯と出会い、彼の存在に翻弄されていくというサスペンスだ。

Netflixシリーズ「サムバディ」独占配信中

猛烈に斬新なストーリーと、連続殺人犯役の俳優キム・ヨングァンが全裸で挑んだ過激な描写が当時話題を呼んだ。映画『マッチング』も韓国ドラマ『サムバディ』もマッチングアプリが抱える闇を映し出しているので、見終わった後に色々と考えさせられる。

また、U-NEXTなどで配信中の韓国映画『恋愛の抜けたロマンス』(2021)もマッチングアプリを題材にしている。こちらはラブコメだ。

仕事も恋愛も上手くいかない独身男女がアプリを介してお互いの事情を隠したまま出会い、次第に恋愛感情に気づくというストーリー。

人肌が恋しいけど、恋愛はめんどくさい。そういう現代の恋愛事情を赤裸々に描いて高く評価された。

ソウル大出身者が多い韓国のマッチングアプリ業界

マッチングアプリがきっかけで交際・結婚する人が増えている昨今。日本は4人に1人が“アプリ婚”する時代となった。マッチングアプリの世界市場規模は2022年に49.6億ドルに達しており、世界中には3億3,700万人のユーザーがいるという(Business of Apps調べ)。

韓国においては、2022年の上位10個のマッチングアプリユーザー数が78万7,184人と集計された。58万4,000人だった2019年に比べて34.8%増加している。

特にTOP3にランクインする「Tinder」「WIPPY」「Glam」の場合、アクティブユーザー数はそれぞれ18万5,000人、13万7,000人、13万5,000人(2023年8月現在)。韓国で業界1位の結婚相談所「DUO」の会員数が3万6,000人といわれているのでそれと比べると、マッチングアプリ市場規模はかなり大きいと言えそうだ。

そんな韓国のマッチングビジネスを牽引するのは、30代のCEOたちだ。日本の東大にあたるソウル大学出身が多く、アプリで出会いたいハイスペックな彼らが、マッチングアプリ業界に次々と参入している。

この現状について、「ソウル大の校風はつまらなかった。オフラインで楽しく遊べず、オンラインに関心を持ったので才能を発揮できたと思う。あと、大学のコミュニティを見ると、みんな意外と恋愛や結婚に興味がある」とhsociety代表のチェ・ホスンは話す。

「学歴」をフィルタリングしたマッチングアプリ「SKY PEOPLE」を開発。ソウル大学出身なら「友達を紹介して」と頼まれることも多いだろう。そこからマッチングビジネスに目を向けるようになったケースと言えそうだ。

占いベースや中高年限定のアプリも

とはいえ、韓国ではマッチングアプリによる犯罪やトラブルが絶えない。

映画『マッチング』や韓国ドラマ『サムバディ』ほどではなくても、個人情報を偽るほか、デートレイプ、盗撮、結婚詐欺など、あらゆる犯罪の温床になっているのも事実なのだ。

また、マッチングアプリのユーザーの男女比率が男性79.7%、女性20.3%と偏っているのも、運営側にとって重要な課題の1つだ。

最近では、さまざまな工夫がなされたアプリがどんどん登場している。四柱推命、陰陽五行をもとに徹底した分析を行って相手を探してくれるアプリや、50~70代のシニア層向けのアプリも登場し、人気だ。

今後も進化を遂げたマッチングアプリが次々と出てきて、アプリを題材としたエンタメコンテンツも増えそうだ。韓国ドラマでよくある「偶然な出会いから始まるロマンス」は、時代とともに変容していくのだろう。

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※この記事はWeb版GOETHEに掲載された記事を再編集したものです

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ビジネスパーソンのための韓タメ最前線

ドラマ『愛の不時着』、映画『パラサイト』、音楽ではBTSの世界的活躍など、韓国エンタメの評価は高い。かつて「韓流」といえば女性層への影響力が強い印象だったが、今やビジネスパーソンもこの動向を見逃してはならない。本連載「ビジネスパーソンのための韓タメ最前線」では、仕事でもプライベートでも使える韓国エンタメ情報を紹介する。

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李ハナ

韓国・釜山(プサン)で生まれ育ち、独学で日本語を勉強し現在に至る。『スポーツソウル日本版』の芸能班デスクなどを務め、2015年から日本語原稿で韓国エンタメの最新トレンドと底力を多数紹介。著書に『韓国ドラマで楽しくおぼえる! 役立つ韓国語読本』(共著作・双葉社)。

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