朝の上野駅は、11路線が走る東京のターミナルと思えないほど静かだ。夜に来れば酔いそうなほど人がいるアメ横もすっかり鳴りを潜めている。一日の始まりというよりは、終わりに近いその街を歩いていくと、雑居ビルの一階にある煌びやかな電飾で彩られたレンガ造りの階段が目に止まる。階段の隣にはパフェやオムライスなど食品サンプルが並ぶショーウインドウがあり、見ているだけでよだれがじんわり溢れ出る。電飾が輝く”Coffee Shop ギャラン”の文字に誘われるように、その階段を登った。
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純喫茶図解
深紅のソファに煌めくシャンデリア、シェードランプから零れる柔らかな光……。コーヒー1杯およそワンコインで、都会の喧騒を忘れられる純喫茶。好きな本を片手にほっと一息つく瞬間は、なんでもない日常を特別なものにしてくれます。
都心には、建築やインテリア、メニューの隅々にまで店主のこだわりが詰まった魅力あふれる純喫茶がひしめき合っています。
そんな純喫茶の魅力を、『銭湯図解』でおなじみの画家、塩谷歩波さんが建築の図法で描くこの連載。実際に足を運んで食べたメニューや店主へのインタビューなど、写真と共にお届けします。塩谷さんの緻密で温かい絵に思いを巡らせながら、純喫茶に足を運んでみませんか?