幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
下村敦史『逆転正義』
女を保護した男、自宅で人を殺してしまった
女、罪なき子供を殺された父親―。読めば
読むほど自分の偏見、頭でっかちな正義感が
「ひっくり返される」価値観どんでん返しミ
ステリ集。
一方、こちらは自分の固定観念が覆されるミステリの短編集。著者はMr.どんでん返しの下村敦史。今回も、読者が勝手に高くした期待値のハードルを軽々と越える傑作を送り出した。
ある高校。冬樹のクラスでは今日も三ツ谷がいじめの対象になっていた。加害者は古島を中心にしたグループ。古島も三ツ谷もかつては同じグループで遊んでいた仲だったが、新学期になり、急にいじめが始まった。冬樹には、中学生時代にやはりクラスメイトのいじめを見て見ぬふりをしていた苦い過去が。同じ轍は踏むまいと、勇気を振り絞って職員室にいる担任を訪ねてすべてを打ち明けるが、担任は特段動かない。それどころか、古島には「先生にチクっただろ」と言われてしまう。八方ふさがりになった冬樹が部活の先輩に相談すると……。――「見て見ぬふり」。
自分には自分の、他人には他人の物差しがある。そして自分の基準がぜったい正しいとは限らない。どの話もディテールがだまし絵のように構成され、攻守、善悪、男女、それまでの設定が、終盤で一気に覆される。
わかっていても、え? と言いたくなる傑作ぞろい。今、目の前に映る光景が本当に正しいのか、読者は読みながら迷宮に入り込む。そして、景色が反転した瞬間、「やられた!」と快哉を叫ぶはずだ。
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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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