
最近、我が家の犬と猫がしょっちゅう迷惑そうな顔をしている。
理由は分かっている。私がうるさいからだ。
自分でも嫌になるくらいの健康体で、朝起きた時からむちゃくちゃ元気。
注)二日酔いの時を除く。
犬猫が毎日どれほど迷惑だと思っているのか、
作家仕事をしている時の、よくある一日を書いてみる。
朝、目が覚めた瞬間にマックスのテンションで犬や猫に話しかける。
相手が聞いてなかろうがそんなことは関係ない。
私はゴキゲンなエネルギーを犬猫と共有したいのだ。
動物達に話しかけながら歯を磨き、顔を洗う。
その後、掃除をしながら歌を歌う。なんならちょっと上手ぶって歌う。
次に洗濯物を干しながら、軽く踊る。もちろん犬や猫に向けて。
その後、三匹にご飯を食べさせ、犬の散歩に出かける。
家の前から小さな路地を通り、大きな公園に向かう。
時間にして大体いつも30分。
この時、犬には話しかけない。
なぜならば、この散歩の時間を活用してセリフを覚えるから。
犬が我が家に来た当初は、私が散歩の途中でセリフを喋りだすと
自分たちが呼ばれたと思い、振り向いていたが今は慣れたもんだ。
耳さえも動かさない。
ただ、周りに気を使い小さな声で喋ってはいるが、近くを通り過ぎる人に、独り言言ってる変な人だと思われたくないから、犬に話しかける感じを装っている。
遠目に見たら「こっちおいで」とか「いい子ね」なんて犬に喋ってるように見えるけど、実際は「私の息子は、絶対に人を殺していません」とか「検死の結果はどうだったんですか?」とか、割と恐ろしい事を喋っている。
一度、後ろから来た人の気配に気づかずセリフを喋っていたらギョッとされた。
散歩から帰ってくると、自分の朝昼兼用のご飯。
熊谷真実ちゃんから教えてもらった酵素玄米をもりもり食べる。
大抵二杯はおかわりする。
そこから少し休憩して、締め切り間近の原稿を書く。
書いてる時は大人しいと思ったら大間違い。
自分が俳優なので、書いたセリフをいちいち声に出して検証する。
セリフが気に入らないと、頭で考えるのと同時に、言い方を変えて何度も口に出す。
そして、この時必ず猫がパソコンの前にやってくる。
きっとうるさいのを止めようとしているのだろう。私のコップから水を飲んで得意顔。
そうなってくるとこっちはかまいたいから、猫の思惑とはハズレ、思いっきり話しかける私。
そうこうしているうちに、自分の決めたノルマ分を書き終える。
飲みに行く約束をしてる時は、そのまま出かけるが、
そうじゃない場合は、そこから片道徒歩25分かけて大型スーパーに向かう。
なんせ元気が有り余っているから、このくらい身体を動かさないと寝つきが悪いのだ。
晩御飯の材料とビールを買って帰宅。
自分のご飯の準備をして犬猫にもご飯をあげて、
私はそこから風呂に入り、出てきた途端にキンキンに冷えたビールをゴクリ。
自分好みのつまみを食べながらテレビ鑑賞。
一人酒は割と酔いが早いので、大抵ビール2本くらいでやめて後片付け。
そこでもまだ元気な私は、最近夢中になっているyoutubeを見る。
イギリスのオーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」。
そんなの遅すぎるよと周りの仲間からは言われるが、今好きなんだからしょうがない。
この番組は夢がある。人を幸せな気持ちにする。
最高の幸福感を味わってパジャマに着替える。
そして番組を見て興奮している私は、犬と猫に向かって、今見た出場者の真似をしながら歌い踊る。
深夜なので、足音立てずにものすごく小さな声で。
気がつきゃ犬はこんな顔。
そんな迷惑そうな顔しなくても。。。
私があまりにもうるさ過ぎてそろそろ犬と猫に我が家を追い出されるんじゃないかと、本気で心配している。
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山野海の渡世日記

4歳(1969年)から子役としてデビュー後、バイプレーヤーとして生き延びてきた山野海。70年代からの熱き舞台カルチャーを幼心にも全身で受けてきた軌跡と、現在とを綴る。月2回更新。