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山野海の渡世日記

2024.04.25 公開 ツイート

私よ、正気に戻れ! 山野海

私の主催する劇団ふくふくやの5年ぶりの公演

「高田の棺」

先日無事に全公演を終えました。

劇団結成から25年経つけど、その間に5年も公演を打たなかったのは初めて。

もちろん最初の2年はコロナがあり、物理的に無理だった。

 

残りの3年は、細かいことを言えば私と副座長の清水伸のスケジュールが合わなかったり

諸々あるけど、何だか風のように年月が去っていき、まさか5年も公演打ってなかったとは! と驚いているのが本音。

 

でもやっぱりふくふくや。

脚本を書いている時点から楽しくて、稽古中も本番中も全部笑って過ごすことが出来た。

これは一重に、ふくふくやの劇団員、スタッフさん、ゲストの久保田磨希ちゃん、津村知与支君、そして観にきてくださったお客様のおかげであって感謝しかない。

私は今回のふくふくやで愛と夢と勇気と希望と笑いをたくさんの方から頂いた。

本当に幸せな時間を過ごさせていただいた。

そんなふくふくや。来年も4月公演が決まりました。

お時間あれば是非ともいらしてくださいませ!

ふくふくや「高田の棺」の出演者、スタッフの皆さんと。

てことで、千秋楽から早一週間が経とうとしているが

簡潔に言うと、今の私は廃人です。

絶賛真っ白な灰に成り果てております。

もちろん仕事はしている。

待っていただいていた書き物仕事のあれやこれやを、一つずつ丁寧に(ここ大事!)

書き進めている。

 

ただ、とにかくこの疲れた身体を何とかしてくれよ! と、私の身体自身が言うので

その声の通りにしていたら、むっちゃダメ人間になってる。

いや、自らダメ人間になろうとしている節がある。

まず、人に合わないから身なりが小汚い。

髪の毛ボサボサ。顔はお風呂に入る時しか洗わない。

そして犬の散歩にギリギリ行けるような格好で一日の大半を過ごしている。

最初は、私が家にいる事を大喜びしていた犬猫も、もはや呆れ顔。

そりゃそうだよ。もっさりした小汚い、おっさんに限りなく近いおばさんが

一日中家でウロウロしてたら、私が犬猫でも嫌になる。

でもありがたい事に、去年の舞台「赤ひげ」以来仕事が忙しかったから、

今、私はダメ人間を満喫している。

ダメ人間である以上、お酒は欠かせない。

この一週間で二日酔いを二回も堪能した。

酒場から我が家の帰り道が分からなくなるほどの泥酔ぶりも発揮出来た。

そして食事も作らない。

全部店屋物だ。店屋物最高! しょっぱいもの旨すぎる!

ダメ人間としての責任感で、己が欲の赴くままに行動していた。

そしてさっきふと、自分の顔を鏡で見て驚いた。

顔全体が流れている。なんと言うのか、緊張感のかけらもない。

 

ここでようやく思い出した。

私も俳優の端くれだってことに。

もう充分だ。我に返りたまえ! 私よ、正気に戻れ!

 

ふー、危ないところだった。

次の映画の撮影もむっちゃ楽しみだ。

ダメ人間はどこか遠くに追いやって、大好きな俳優の仕事を真摯に頑張ろう。

 

正気に戻った山野海から一つ宣伝をば。

私も出演させていただいている

映画「朽ちないサクラ」

6月21日(金)から公開でございます。

是非ご覧くださいませ!

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山野海の渡世日記

4歳(1969年)から子役としてデビュー後、バイプレーヤーとして生き延びてきた山野海。70年代からの熱き舞台カルチャーを幼心にも全身で受けてきた軌跡と、現在とを綴る。

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山野海 女優、劇作家、脚本家

1965年生まれ。東京新橋で生まれ育ち、映画女優の祖母の勧めで児童劇団に入り、4歳から子役として活動。19歳で小劇場の世界へ。1999年、劇団ふくふくやを立ち上げ、全公演に出演。作家「竹田新」としてふくふくや全作品の脚本を手がける。好評の書き下ろし脚本『最高のおもてなし!』『向こうの果て』は小説としても書籍化(ともに幻冬舎)。

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