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ゴルフは名言でうまくなる

2023.03.12 更新 ツイート

第249回「クレイジーゴルファーの法則」vol.17

ゴルファーは、スコアが悪いと「体調」を言い訳にする 岡上貞夫

申ジエプロ、両ひじ手術からの復活V

今年の日本女子ツアー開幕戦、ダイキンオーキッドレディスで、昨年優勝がなかったベテランの申ジエプロが優勝した。

私のホームである鎌ヶ谷CCで練習している上田桃子プロとの優勝争いで、私としては身近な上田プロを応援していたが、Par5でのバーディ奪取がうまくいかず敗れてしまった。

 

優勝した申プロは、1年前の同大会最終日に「プロになって初」という80台のスコア(81)を打って下位に沈んでいた。のちに明かしたところによると、両ひじの痛みがひどく、途中棄権を考えたほどだったのだそうだ。

しかし、一緒にラウンドしていたのが将来有望な若手アマチュアであったことから、「途中で試合を投げ出すのは、(若手に)よくないことを見せることになる」とプレー続行を決断したという。

その結果が81というスコアだったわけだが、一切の言い訳をせず、沖縄の地を後にした。次戦は土佐での試合だったが棄権し、ひじの痛みの元となっている異物を取り除く手術を決断した。そして、リハビリしながらの昨シーズンは未勝利となった。

オフシーズンは復活に向けた調整をしっかりやってきたにちがいない。今大会では、強かったときの効率的なスウィングがよみがえり、なかなかボギーを打たないステディなゴルフを展開していた。

両ひじの怪我を言い訳にすることなく、結果で復活をアピールした姿はさすがのプロ根性で、あっぱれと言うほかない。

一般ゴルファーは、そんな強い根性など持ち合わせていないから、少しスコアを崩してしまうと、すぐに言い訳が始まる。なかでも体の不調を理由にするのが、もっとも多いだろう。実は、私もついついそんな言い訳をしてしまう未熟者だ。

私事で恐縮だが、昨年末の忘年ゴルフ会でゴルフと酒席に参加したところ、3日ほどして参加者から複数のコロナ陽性者が出たと連絡が来た。ゴルフで同伴し、宴席でも向かいの席だった方も陽性者のひとりだったことから、私は濃厚接触者となった。

コロナ後遺症のプレーへの影響

幸い、熱も咳も出ず、軽い倦怠感はあったが「ゴルフの疲れかな」という程度で、それも2日ほどで解消した。念のため5日間ほど自宅内で自主隔離したが、家族にも症状が出ることなく済んだので、「感染しなかったのだろう」と思っていた。

しかし、それからすぐ、体に異変が起きた。最初はひじやひざの関節周りと首筋のところに、強いかゆみを伴う湿疹が出てきたのだ。

最初は一過性のものかと思い、汗疹(あせも)のときに使うステロイド軟膏を塗ったりしていたが、1週間経っても一向によくならず、かゆみは頭皮全体や手首・足首にも広がっていった。

「これはちょっと普通じゃない」と感じたので、皮膚科を受診し、さらに強いステロイド剤を処方してもらった。おかげで当初に発症した部分は次第によくなっていったが、肩・腰・背中・太もも・腹部と次々と湿疹が広がって、なかなか完治に至らない。

医師によると、かゆみを伴う湿疹は、菌や寄生虫を体から外へ追い出すための免疫反応で、免疫力がある証だが、暴走してしまうとアトピー性皮膚炎のようなひどい症状になることもあるらしい。

3か月ほど経過した現在もまだ少し症状が残っているが、ようやく終息を迎えつつあるような気がしている。ネットで調べてみると、コロナ感染後にこのような発疹が出る例は半数以上の高確率のようだ。

どうやら、私も無症状だったものの、コロナに感染していたらしい。3か月も湿疹に悩まされて来たのは、その後遺症だったようである。この間はかゆみで睡眠不足となり、なんとなくすっきりしない体調が続いた。

冬になると、芝生が枯れて薄くなり、ライが難しくなることから、私はいつも冬場のゴルフはスコアが悪くなる。そこへ今年はこの体調不良が重なって、12月初めまではフルバックの競技ティーからでも76~77のスコアが出ていたのに、まったく80が切れなくなった。

「コロナ後遺症でスコアが悪い」――これが現状の言い訳なのである。

セルフメンテナンスの選択肢を持っておく

それより前、昨年の7月にホームコースの月例杯で優勝してからしばらくは調子がよかったのだが、9月~10月にも不調に陥る時期があった。このときは背筋痛が言い訳の種だった。

昨年1月の寒い日のコンペで、ドラコンホールで強振したのが原因で右側の背筋を痛めてしまったのだ。冬場になると、そういうことも重なってスコアが悪くなるのだが、毎年懲りることなく進歩がない。

その後、背筋痛は湿布薬や消炎鎮痛剤などで治療しながらゴルフは続けていた。しかし、筋繊維の損傷がひどかったのか、なかなか完全には治らない。暖かい季節はまだ痛みが少なかったので夏場はスコアもよかったが、秋の風が吹き始めると、寝返りも苦痛なほど痛みがぶり返してきた。

こうなると、西洋医学的な治療では快方に向かわないので、友人のすすめもあって鍼治療を受けることを決断した。これまでは、なんとなく怖くて、鍼を打つことには抵抗があったのだが、そうも言っていられないほどの痛みだったのだ。

幸い、自宅の近くにいい鍼灸院を見つけ、2度ほど施術を受けたら不思議なほど痛みが引いていった。それでも、ゴルフをするとまた違和感が出るので、通算5回ほど治療してもらったが、それでほとんど完治してしまった。

現金なもので、その後の11月はいいスコアが出るようになり、12月にはまた月例杯で優勝することができた。しかし、その後は前述したコロナ感染へとつながってしまったのである。

そのコロナ後遺症も癒えてきたので今後に期待しているが、背筋痛のほうも、いずれまたぶり返すことがあるだろうと思う。腰痛や背筋痛は、癖になってしまい、発症したり治ったりを繰り返すものだからだ。

それらは高齢になるにつれ増えてくるに違いないが、老後の体のメンテナンスケアがゴルフにも大事なことは言うまでもない。歳をとったら、スコアメイクには体技心の順で影響が大きいからだ。

そういう意味で、いい鍼灸院の先生に巡り会えたのは幸運だった。今後、体の老化を止めることはできないが、壊れかける体のことを相談し、メンテナンスできる選択肢が増えたからだ。

高齢ゴルファーは必ず体のどこかを痛めるので、こういうメンテナンスの相談ができる信頼のおける治療院は、必ず確保しておいたほうがいいと思う。

言い訳も、やはりみっともないのだから、控えるようにしたいとは思うのだが……そのためにも、やはり健康な体が優先順位の1番なのである。

 

参考資料:「昨年『81』を打った開幕戦で申ジエが世界63勝目! 2年ぶりVは「手術した先生が待っていたかな」」ALBA Net、2023年3月5日

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岡上貞夫

1954年生まれ。千葉県在住。ゴルフエスプリ愛好家。フリーライター。鎌ヶ谷カントリークラブ会員。1977年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。大学入学時は学生運動による封鎖でキャンパスに入れず、時間を持て余して体育会ゴルフ部に入部。ゴルフの持つかすかな狂気にハマる。卒業後はサラリーマンになり、ほとんど練習できない月イチゴルファーだったが、レッスン書ではなくゴルフ名言集やゴルフの歴史、エスプリを書いたエッセイなどを好んで読んだことにより、40年以上シングルハンディを維持している。初の著書『ゴルフは名言でうまくなる』(幻冬舎新書)が好評発売中。

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