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だいたい人間関係で悩まされる #なんで僕に聞くんだろう。

2023.02.16 公開 ツイート

「同級生から舐められてバカにされている」→「誰かを見下す人って自信がない人なんだよね。あなたは自分の性格に自信を持って」 幡野広志

写真家・幡野広志さんの人生相談。webメディアcakesで”一番読まれた”人気連載だった「なんで僕に聞くんだろう」の書籍、完結版が発売になりました。タイトルは『だいたい人間関係で悩まされる #なんで僕に聞くんだろう。cakesのサービス終了で読めなくなった記事がたっぷり収録されています。
幡野さんの、愉快で、鋭くて、優しい言葉と一緒に、写真もたっぷり楽しめる一冊です。

 

さっそく、内容を一部公開。今回は、同年代から見下されていることに悩む相談者。

*   *   *

人をバカにしたり見下したりしないで、他人を褒めるだけであなたは大丈夫

Q

はじめまして、幡野さん御一家のいちファンです。特に奥様と幡野さんの撮るゆうくんのほっぺと笑顔をみると、ほんとっっっっっに可愛くて癒されて天使で、今日もがんばろうって思えます。そんな素敵な写真を日々発信してくださって、ありがとうございます。

私が幡野さんに相談したいことは、どうすれば同年代の人から見下されない人になれるんだろうということです。なぜ幡野さんに聞きたいのかというと、以前早稲田の講演で拝見した時にどんな人とも対等に関われる強い方と感じたからです。1年前田中さん(編集部注:田中泰延さん)とフレンドリーに話しつつも、同調するだけでなく人を惹きつける芯をもつ意見を言う姿を見て、幡野さんのような30代になりたいなと思ったのでぜひ相談させてください。

自分が舐められやすいな、見下されやすいなと感じ始めたのは小学生の時でした。その頃からグループワーク等で自分の言葉には発言力がなく軽んじられるタイプでした。その後も中高と部活などのチーム内でもいじられキャラとして、ぞんざいな扱いを受けることが多かった気がします。

そして4月から就職を控えた今も、4年間仲良くしてたと思っていた友人から他の友達と遊びに行くためのタダ宿兼アッシーにされて、先日の夜きれて、自分って彼女にとってなんなんだろうな……て思ってしまいました。

他にも部活の同期から『みかんみたいなちょろい女よりマシ』と冗談混じりに言われたり正直辛いです。不思議と年上の方からは、好かれることも多くしっかりしてるとよくいわれます。その一方で、同級生からは舐められて馬鹿にされることが多いです。

同級生とも対等に関われる強い人になるにはどうすればいいと思いますか?

(みかん22 歳女性)

A

うちの息子はかわいいってよくいわれるんです。親バカを存分に発揮しますけど、ぼくもかわいいっておもってます。調子にのって息子自慢をしてしまうのだけど、うちの息子って性格がとてもいいんですよ。

たとえばぼくが料理を作ると、「おとうさんの料理はさいこうだよ!!」って拍手をしながら褒めてくれます。こうやってパソコンで原稿を書いていると、書き終わったとき「よくがんばったね」って労ってくれたりもします。

一緒にゲームしているときにぼくが失敗をすると、「失敗したっていいんだよ」ってフォローもしてくれます。うちの息子ってぼくのことを見下さないんですよ。

見下してくる人って嫌じゃないですか。もちろんぼくだって、軽蔑している人や嫌いな人はいますよ。でも、そういう人とは関係をもちません、大人なので距離をとります。嫌な人と一緒にいると、こっちまで嫌な人になっちゃうんですよね。

感情の配分で、性格って変わります。嫌な感情の配分を増やせば、負のオーラをまとう人になります。頭の中がお花畑という人も、危機管理能力が低いだけで性格はいい人が多い。

生活環境ってどんな人と一緒にいるかで大きく変わるんだけど、それが自分の性格や健康にまで影響を及ぼすし、それによって形成された自分の性格がまた人に影響を与えるから、どんな人と付き合うかはほんとに大事だよ。

そんでもってあなた、性格がめちゃめちゃいいですよね。じゃなかったら他人の子どものことなんて褒めませんよ。いい人だなぁってしみじみ感じています。あなたみたいな人に親戚になってほしいんだよね。あなたはきっとうちの息子によくしてくれて、ぼくはあなたにご飯を奢(おご)ったりなんでも買ったりしてあげるの。めちゃくちゃ好循環じゃないですか。

ぼくからすれば、あなたのことを見下すお友達がアホだとおもいます。社会に出たら需要があるのはあなたですよ、だって性格がいいもん。友達をタダ宿兼アッシーにしちゃう人ってダメでしょう。

社会で需要があるというのは、ちょっと極端に感じられるかもしれないけど、人から好かれるし、お金だって稼げるということなんです。まず、あなたは自分の性格に自信を持って、その性格を大事にしたほうがいいですよ。

ぼくも若いころはわりとバカにされたり見下されたりしてきました。バカにされたり見下されたりしていいことは何一つありません。若いときの苦労は買ってでもしろっていうけど、購入してはいけない苦労の一つがバカにされることなんです。

あなたの性格のよさを維持するためにも、バカにされたり見下されたりする環境からは距離をとってほしいとおもいます。

現実的なことをいうと、見た目を変えるだけで見下されることはかなり防げます。見た目なんて関係ないっていいたいところなんだけど、見た目って超重要です。 暴力団だって舐められないような見た目と雰囲気を醸し出すし、暴力団を取り締まるマル暴の警察官だって、暴力団と遜色がないくらい舐められない雰囲気をもっています。

ぼくはアシスタントをしているときに、いい服を着ろ、いい外車に乗れ、いいカメラを買え、ということを先輩によくいわれました。使う道具よりも写真の腕のほうが大事だし、自分の見た目なんて写真の質と関係ないじゃんっておもいました。

でも、一回の撮影料が普通の会社員の月収を超えるのがザラな世界なので、先輩がそうおもうのも当然なんですよ。高級なホテルに宿泊すれば、ホテルマンは見た目もキリッとしていて、使っているボールペンだっていいボールペンになりますから。

見た目ってそれだけで相手に安心感を与えることができるんです。高いお金を払って撮影を依頼するのって、依頼主からすると不安もあるんです。でも、いい服やいい車やいいカメラをもっているだけで、この人は成功しているちゃんとしたカメラマンだ、っていう安心材料になるんです。

体調を崩して病院に行ったとき、医者が自分以上に不健康そうだったり、不潔な格好をしていたりしたら嫌でしょ。この人の診断や処方は大丈夫なのか? って不安になるよね。

どんな業種でもそれぞれの業界にそれぞれの安心材料があって、その職業の人特有の雰囲気が作られていきます。ちなみに撮影業界の人も見た目の雰囲気がみんな似てます、ヒゲ率は高いし、似たような服を着ています。

デザイナーさんっぽさや、お医者さんっぽさってのもあるでしょ。どことなくみんな雰囲気が似てくるのは、そういうところに理由があるんじゃないかってぼくはおもいます。それくらい、見た目で相手に与える印象が変わるんです。

これから就職するなら難しいかもしれないけど、見下されたくなければ見た目の雰囲気を変えてしまうのがいちばん簡単だとおもいますよ。見た目を変えるだけでは本質的な解決とはおもえないかもしれないけど、見下されないという経験ができると、それが性格に反映されたりします。見た目一つで物事を優位に進められるなら、どんどんやったほうがいいとおもうんですよ。

ぼくは野生のクマみたいなルックスで、年齢だってもう若くない、背中一面に虎の青刺(いれずみ)が彫ってあって、ちょっといい服を着て、ちょっといいカメラをもっているから、見下されることはあまりありません。

背中の虎はウソで、ただの猫背なんだけど、雰囲気って重要です。ジャイアンみたいな人にターゲットにされると、スネ夫みたいな人まで調子に乗ってやってくるから、いい返すことだって大切です。

ぼくはアシスタントのときにパワハラで悩んだことがあったんだけど、相手にはっきりと、あなたのことが嫌いですって伝えたよ。いまならよくわかるんだけど、誰かを見下す人って自信がない人なんだよね。自信を得るために誰かを見下しているん

です。

人をバカにしたり見下したりする人って、結局のところ実力がない人で、とっても防御力の低い人たちだったりします。だから、一回いい返したら舐められなくなるかもしれませんよ。

 

また友達から見下されることがあるかもしれないけど、おなじ会社に就職するわけじゃないならそんなに気にしなくていいし、あなたは次のステージで見下されないようにしたほうがいいよ。

同級生のことよりも、1年後の自分をどうするかを考えたほうがいい。あなたがどんな強い人をイメージしているかわからないけど、ぼくは自分のことが好きな人が最終的にいちばん強いとおもいます。

ちょっといいボールペンを使うとか、ボーナスが出たらちょっといいコートを買うとか。ちょっといい傘や水筒を使ったりすると、生活の質もテンションも上がります。

これはぼくの経験則だけど、ちょっといいモノを使っているときに、その良さに気づいてくれた同僚や先輩のことは大切にしたほうがいいです。いいモノに気づいてくれる人はいい人です。逆にモノの良さに気づけない人は返してくれないことがあるから、いいボールペンを貸すときは要注意ね。

あとは就活生や新入社員っていう弱い立場を利用して、あえて自分を踏み絵にするといいですよ。弱い立場のあなたに良くしてくれる人はいい人だから、そういう先輩を目標に仕事をがんばるといいよ。立場の弱い人に強く出たり見下したりすることなんて、アホでもできるんです。

あなたに丁寧に接してくれて、成長を促してくれる人のほうが圧倒的にすごい人なので、そういう人を見つけてください。そして2年後や3年後はあなたもそんな人になって、後輩を成長させてください。

あとは突拍子もないアドバイスとおもわれそうだけど、手品を2、3個覚えたらどうだろう。手品は覚えたら一生モノです。1個よりも2、3個あったほうが場が盛り上がるよ。手品って老若男女、世界中のどんな人でも笑顔にできます。

それと、まだ就活中ならオンラインで面接したりとか、就職したらオンラインで打ち合わせしたりする機会が増えるとおもうんだけど、パソコンをテーブルに置くときに自分の目線よりもすこしだけ高い位置に置いたほうがいいよ。

スマホで自撮りするときってみんなカメラを上に持ち上げるでしょ、それと一緒。パソコンを下に置くと相手からすると上から見下ろされた映像になるし、下からのアングルって、うつりがとても悪くなるからね。

あなたなら大丈夫、ぼくが保証します。あなたはすでに性格がいいから、人をバカにしたり見下したりしないで、他人を褒めるだけでいいよ。それだけで大丈夫。

好きなモノをもって、好きな人と付き合って、好きなことをして、すこしのユーモアがあるだけでストレスの少ない人生になります。なにより人を見下さないって楽でいいです。

息子のことを褒めてくれてありがとう。あなたが褒めてくれるから、ぼくもあなたのことを褒めるんです。敵意は敵意で返ってくるけど、好意は好意で返ってきます。就職してもがんばってね。

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だいたい人間関係で悩まされる #なんで僕に聞くんだろう。

「自分がしあわせになることが、いちばんみんなをしあわせにするんですよ」
「他人から嫌われるよりずっとつらいのが、自分で自分を嫌うことです」
「敵意は敵意で返ってくるけど、好意は好意で返ってきます」…など、心に刺さる幡野さんの言葉が満載の一冊!

ガンになった写真家に、なぜかみんな、他ではできない相談をする。でも、幡野さんは、簡単に慰めない、安易に共感しない。でも真実を捉え、時に耳の痛い言葉を、時に誰よりも温かい言葉を、”心の的のど真ん中”に、放り込んでくる。
この鋭さは何?この痛みは何?この居心地の良さは何?この希望は何?……
甘いだけの人生相談なんて、もう要らない。
背中を”本当に”押してくれる、唯一無二の人生相談です。

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Q「信者の母のもとで育ち、宗教から離れたいが、怖い」
Q「自分の性について、パートナーにカミングアウトすべきか」
Q「風呂で亡くなった母は、事故死なのか自死なのか」
Q「57歳、無職、独身。お金が無くなったら死ぬしかない」
Q「おもしろい人になりたい」
Q「貧乏から抜け出せない」 
など、31の悩みに対して、あなたのためだけに、手加減ゼロで弾き出される言葉とは――?

webメディア「cakes」のサービス終了で読めなくなった人気連載を収録。cakesでアクセス1位を記録した人気連載の書籍化、完結版!

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幡野広志 写真家

1983年、東京生まれ。写真家。2004年、日本写真芸術専門学校をあっさり中退。2010年から広告写真家に師事。2011年、独立し結婚する。2016年に長男が誕生。2017年、多発性骨髄腫を発病し、現在に至る。近年では、ワークショップ「いい写真は誰でも撮れる」、ラジオ「写真家のひとりごと。」(stand.fm)など、写真についての誤解を解き、写真のハードルを下げるための活動も精力的に実施している。著書に『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』(PHP研究所)、『写真集』(ほぼ日)、『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』(ポプラ社)、『なんで僕に聞くんだろう』『他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。』『だいたい人間関係で悩まされる』(以上、幻冬舎)、『ラブレター』(ネコノス)がある。

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