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「好きなこと」を「好きなだけ」やればいい

2022.09.21 公開 ポスト

親が世間体を気にしすぎると、子どもは不幸になる佐藤崇弘(キャピタル東京インターナショナルスクール(CTIS)理事長)

「子どもには好きなことをして生きていってほしい。だから、まずは勉強。嫌いでもやらせなきゃ!」この大きな矛盾に、どれくらいの親御さんが気づいているでしょうか?

入学希望者が殺到する「キャピタル東京インターナショナルスクール(CTIS)」の理事長・佐藤崇弘さんは、「子どもの幸せと成功を願うなら、嫌いなことはいち早く切り捨てて、好きなことだけを追求させたほうがいい」と言います。

凝り固まった教育への概念が、多角的な方向に広がる新しい子育ての教科書『「好きなこと」を「好きなだけ」やればいい』から一部を抜粋してお届けします。

(写真:iStock.com/Hakase_)

世間体で人生を決めるな

日本人は常識もあれば教養もある、世界に胸を張れる美点を持った民族であると思います。でもその反面、他者からの評価を気にしすぎる民族であるとも言えるでしょう。優れた民族であればこそ、気にしすぎるのかもしれません。

たとえば、「あの人のお子さん、名門中学校に入ったとか。お幸せだわ」とか、「あの人、医者になったそうだ」などと日常的に噂し合っては、羨ましがったり、あるいは鼻を高くしたりしています。

名門中学校入学や医者になるのが本人にとって幸せなこと、あるいは本当にやりたいことであればなんの心配もありませんが、世間体がいいか悪いかで決めた進路や仕事であったのなら、本人にとって不幸なことだと思います。

世間体とはなにかというと、「他人の目」でしょう。

「他人の目」には親類縁者から始まって、友人知人や隣近所、SNSでつながっている人までいろいろとありますが、家族をのぞいて人生に干渉できるような力のある「目」なんて、ほとんどないのではないでしょうか。そして家族以外の他人、すなわち世間が噂以上のどんなことをしてくれるかというと、それはもう、見事なほどなにもしてくれません。SNSに至っては、会ったこともない人がほとんどです。

つまり世間体を気にしたところで窮屈になるだけで、なんの役にも立たないのです。

であれば、もっと自分本位に、自分の幸福から考えた人生を追い求めたほうがずっといい。日本人は自分の生き方にもっともっとわがままになるべきだし、なっていいと思います。

 

「世間体」という言葉、英語への正確な翻訳はできないそうですが、そんな世間体で進路を決める生き方は、子どもたちを追い詰めるものにもなっています。

令和二(二〇二〇)年の高校中退者はおよそ三万五〇〇〇人、その前年はおよそ四万三〇〇〇人でした。せっかく進学したというのに、毎年毎年、これだけの数の子どもが学校をやめているのです。合わない理由は人間関係という場合もありますが、「学校生活・学業不適応」が三〇・五%を占めています(文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」より)。

これまでさんざん書いてきたように、大学受験は猛烈に競い合うレッドオーシャンです。そのなかで、三〇%ほどしか脱落者がいないなんて、むしろそのほうがおかしいのです。

こうしたお子さんが聞かされるのが、「人さまは高校にはみんな行っている。あなたはどうするの?」「学校をやめるなんて堕落している。人生終わりだ」などなど、世間体を気にしての親御さんの言葉です。

でも、「人さまはみんな行っている」なんてことは、実は本人にもよくわかっているんです。わかっているけれど、人間関係や勉強が自分に合わなくて行きたくても行けない。それに「なぜ!?」「どうして!?」「これからどうするの!?」というプレッシャーが加わるのですから、これはもう、地獄でしょう。

 

「そんなことを言うけどね、佐藤さん。高校をやめれば非正規になる確率が高まるじゃないですか。収入も待遇も、非正規は正社員よりはどうしたって不利になります。

親としてはわが子をそんなふうにはできません」「親は子よりトライ&エラーを繰り返しています。その経験から、“勉強しなさい”“学校は大切”“やめてはいけない”と言うんです」きっとそんなふうに語る親御さんもいらっしゃるだろうと思います。

でもこの言葉には、わが子にはエリートになって欲しいという親の願望がベースにあるように思います。親御さんはわが子が自立し、生活できるようになるというだけでは不満で、グローバルに働いたり、あるいは経営者になったり、「世間体のいいおとな」になって欲しいという願望があって、そこからの言葉のように思えるのです。

この言葉には、「わが子には好きなことをして生きていって欲しい」と言いながら、どうしても親世代の価値観が垣間見えてしまいます。

 

エリートや経営者といえば聞こえも世間体もいいですが、そうなるためには私生活は制限されます。経営者になるまでの過程で家族や家庭を失った同業者が、一体どれだけいることか。収入や世間体といったものと引き換えに、人生でもっとも大切なものを失ってしまった経営者もいるのです。

世の中にはエリートとは特に言われない仕事もあって、エリートと言われる人たちと比べたら、収入がよくないのは事実でしょう。

ですが、それでも輝いている人たちはたくさんいるのです。むしろこう言われる仕事抜きでは世の中は動かなくなることでしょう。そうした仕事であればあるほど、世の中からなくなることはありませんし、そうした仕事に就いたとしても、現在の日本では、無理なく生きていくことができます。

その仕事が「好き」であるなら、就いてはいけない仕事などありません。就いて恥ずかしい仕事などないのです。

そこで花開いて、趣味や家族、充実した時間といったお金には代えられないものを一番に優先した生き方をする。あるいはそこで芽を出して、思いがけない花を咲かせる生き方もありだろう。私はそんなふうに思います。

関連書籍

佐藤崇弘『「好きなこと」を「好きなだけ」やればいい 今を生きる子どものための、枠にとらわれない教育の在り方』

苦手なことはいち早く切り捨てろ。才能も、天才である必要もない。 「好き」を見つけて、「得意」に変えれば子どもは必ず成功する! 話題のインターナショナルスクール理事長が教える、次代を担う子どもの育て方。 激変する時代にあわせて、あらゆるものが進化しているのに、日本の教育制度や学校の在り方、親の価値観が変わらないのはなぜ? 凝り固まった教育への概念が、多角的な方向に広がる新しい「子育ての教科書」!

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「好きなこと」を「好きなだけ」やればいい

2022年4月、東京・南麻布に「キャピタル東京インターナショナルスクール(CTIS)」が開校しました。既存のインターナショナルスクールとは一線を画す教育プログラムにより、入学希望者が殺到しています。世界で活躍する子どもを育てるために親がやるべきこととは? 子どもを伸ばす教育とは? 話題のインターナショナルスクール理事長が教える、新しい子育ての教科書です。

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佐藤崇弘 キャピタル東京インターナショナルスクール(CTIS)理事長

1980年福島県生まれ。大学在学中に障害者施設や高齢者介護施設の事業化に成功。2004年に長野県庁による課長級職員の公募に採用され、翌年、当時最年少で県庁部長級職員に。退庁後、2005年に就職困難者の就労支援を行う株式会社LITALICO(東証プライム上場)を起業し、代表取締役に就任。代表退任後は、スタートアップ支援にて起業家育成に注力する傍ら、奨学金支給等を行う財団法人設立に取り組む。2021年にインターナショナルスクールを運営する株式会社CTISを設立。

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