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病気にならない掃除術

2022.03.19 公開 ツイート

「いきなりシュッシュ」は逆効果! 消毒・除菌の正しいやり方 松本忠男

ゴシゴシこすってはいけない、いきなり水拭きをしてはいけない、フローリングのホコリに掃除機は禁物、ウイルスの除菌・消毒は正しくやらないと効果なし……。『病院清掃35年のプロが教える病気にならない掃除術』は、これまでの掃除の常識がくつがえされる驚きの一冊。掃除はただ部屋をきれいにするだけでなく、自分と家族の健康をも左右する大切なもの。本書でぜひ、正しい知識を学んでください。

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これではウイルスは死なない

このコロナ禍で除菌をする機会が一気に増えました。みなさんも1日に何度も手指や普段触れる場所の除菌を行っていることでしょう。

シュッシュと除菌をするとやった感は得られますが、実際にどれほどの効果があるのでしょうか。病院清掃を例に見ていくことにしましょう。

(写真:iStock.com/kazuma seki)

病院の清掃では、まず最初に洗浄を行います。洗浄とは、手洗いとか洗い流すという意味です。

実際には水を使えるところばかりではないので、正しく拭くとか、汚れや菌やウイルスの量を減らしてあげるという作業が最初に来るわけです。

 

汚れや菌などの汚染物質の量を減らしたら次が消毒・除菌です。

普段の生活で見られるような「いきなりの消毒・除菌」はありません。消毒・除菌の前に必ず汚染物質を集める行為があり、次に集めたものを回収して減らし、はじめて消毒・除菌を行います。

病院清掃においていきなり消毒・除菌剤をシュッシュはありえないわけです。

 

それにはきちんとした理由があります。

消毒・除菌剤は、殺したいウイルスや細菌にきちんと接触してはじめて効果があります。汚染物質の量を減らさない状態でただ全体にワーッと噴霧したからといってウイルスや細菌がすべていなくなるわけではありません。

「1万個のウイルスがありますよ」という状態でシュッシュとやるのと、「100個しかいませんよ」という状態でシュッシュとやるのとでは、100個の方が消毒・除菌の効果は大きくなります。

だからまず汚染物質は集めて量を減らしましょうとなるのです。で、減らした状態で消毒・除菌を行う。こちらの方が何倍も消毒・除菌の効果があります。だから、いきなり消毒・除菌はしないわけです。

 

これは家庭でも同じで、食卓を消毒・除菌する前に必ず乾拭きをして汚れを取り除き、その上で消毒・除菌剤を吹きかけたり、除菌シートで拭いたりするようにしてください。いきなり消毒・除菌をしてしまうと、消毒・除菌の効果が減るだけではなく、小麦粉を塗り広げるようにテーブル全体に汚れを広げることになってしまいます

ウイルスを拡散させてしまうことも

理由はもうひとつあります。ウイルスや細菌は単体で存在しているわけではなく、たいていは他の汚れと混在しています。ホコリと混ざり合っています。

そこにいきなり消毒・除菌をするとどうなるでしょう。

(写真:iStock.com/JONGHO SHIN)

本当はウイルスだけをやっつけたいのに、他の汚れに消毒・除菌剤が阻まれ、きちんと当たってくれません。ところがみなさんそれを知らずに、いきなりシュシュシュシュとアルコールを吹き付けて一気にやってしまいます。これですと、スプレーの風圧でテーブルの上のウイルスを四方に拡散させてしまうリスクもあります。

「それって本当に効果あるのですか?」と聞かれたら、「まったくない」とはいえませんが、「効果的ですか?」と聞かれたらそれはもう間違いなく「ノー」となります。

 

このようにある作業をひとつひとつ分解して考えてみると、それぞれの過程で何をしていいのか、何をしてはいけないのかが見えてきます。

やってもいいことと悪いことがわかれば、どのように進めていくのが一番よいのかがわかります。

なんとなくワーッとお掃除して、ワーッと集めて汚れがなくなると、やった感は得られます。しかし、その途中にはいろいろな問題が残っています。

何も考えずにワーッと一気呵成にやってしまえばよいというものではありません。そうしたことを何度もテストしたり、汚れを可視化したりしてきた中で、いまの病院の消毒・除菌の作業手順があります。

関連書籍

松本忠男『病院清掃35年のプロが教える 病気にならない掃除術』

いきなり水拭きは、絶対にやってはいけない。 キレイにするどころか、ウイルスや汚れを塗り拡げます。 コロナ禍での除菌・消毒も正しくやらなきゃ効果なし。 家族の命を守るための掃除術。 1章 お掃除があなたと家族の健康を守る ・コロナ禍で急増中! ? ほとんどの人の除菌は効果なし ・間違った換気はかえって体によくない 2章 お掃除の常識を見直してみる ・学校で教わったお掃除は間違いだらけ ・「ほうき」や「はたき」は使ってはいけない 3章 お掃除はもっとカンタンで楽になる ・フローリングのホコリに掃除機は禁物 ・ホコリがたまりやすい場所を重点的にお掃除する 4章 人生で大切なことは掃除が教えてくれた ・お掃除は「命」とつながっている ・お掃除には人としての「あり方」が出る

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病気にならない掃除術

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松本忠男

(株)プラナ代表取締役社長、ヘルスケアクリーニング(株)代表取締役社長。東京ディズニーランド開園時の正社員、ダスキンヘルスケア(株)を経て、亀田総合病院のグループ会社に転職し、清掃管理者として約10年間、現場のマネジメントや営業に従事。1997年、医療関連サービスのトータルマネジメントを事業目的として、(株)プラナを設立。亀田総合病院では100人近く、横浜市立市民病院では約40人の清掃スタッフを指導・育成し、これまで現場で育ててきた清掃スタッフの総数は700人以上。現場で体得したコツやノウハウを、多くの医療施設や清掃会社に発信する。2019年からは、中国の深圳市宝安区婦幼保健院(1000床病院)の環境整備を指導するなど、活動の場は海外にも広がる。著書に『健康になりたければ家の掃除を変えなさい』(扶桑社)、『清掃は「いのち」を守る仕事です。』(辰巳出版)など多数。

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