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その下ごしらえ、ホントに必要?

2022.02.24 公開 ツイート

ハンバーグは簡単だからぜひやってみて。パン粉は牛乳に浸さなくていいし、玉ねぎも炒めなくていいの。 野田真外/松本仲子

コロナ禍を経て、自宅で料理をする人が男女共に増えています。でも、いざ始めてみると色々と素朴な疑問が出るものですよね。そんな料理初心者の方をはじめ「なんとなく日々料理をこなしているけど、自己流でやっていてイマイチ美味しくならない」という方にお勧めなのが『その下ごしらえ、ホントに必要?』です。必要だと思っていたけれどやらなくてよかったことや、これは外さないで! ということが分かる本書から少しずつ試し読みを掲載致します。

(写真:iStock.com/masa44)

野田 ハンバーグのレシピに、よく「パン粉を牛乳に浸す」とありますけど、あれはなんのためにやるんですか。

松本 パン粉を牛乳に浸すというレシピは多いですよね。でも私はやらなくてもいいと思ってるの。昔のパン粉は今のパン粉と本当に違ったんですよね。子供の時に「赤玉パン粉」というのがありましたけど、すっごく乾燥してたんです。カチカチに。今はそんなに固いパン粉ってないですよね。だから昔は「水戻し」くらいのつもりでパン粉を少しふやかしてたんじゃないかと思うの。でも水戻しだとまずくなってしまうでしょ、だから牛乳にでも浸けましょうか、くらいの気持ちだったんじゃないかなあと思うんです。

野田 今のパン粉だったら必要ないと。

松本 特に生パン粉でしたら、全くと言っていいほど意味がないと思うの。実際に牛乳に浸したのと浸してないので比較すると、ほとんど差がないですね。だからひき肉に牛乳を入れてパン粉を入れて、かき混ぜればそれで大丈夫。

以前、中学校の調理実習に行った時に、課題がハンバーグだったの。実習の教科書は、やっぱりちゃんとパン粉を牛乳に浸して、玉ねぎを炒めてっていうのだったんですね。そしたらある男の子が牛乳に浸さないで、いきなり牛乳とパン粉を入れてががっとかき混ぜちゃったんです。周りは教科書通りじゃないからびっくりするじゃないですか。でもその子は「ウチのお母さんはこうするんだよ。美味しいよ」といってね、意気揚々と混ぜてるんですよ。だから私は「ちゃんと(パン粉を牛乳に)浸ける方法もあるけど、この方法も間違いじゃないのよ」って言ったんです。

野田 きっとその子は、家でお手伝いをやってたんでしょうね。いい話です。浸さなくても牛乳は入れた方がいいんですか?

松本 牛乳はなくてもいいんですが、やや固い感じになります。ソフトな感じにするには少し牛乳があった方がいいと思います。味の足しにもなりますし。

野田 パン粉はつなぎなんですか?

松本 パン粉はくっつきませんから、つなぎというよりふわふわにするためです。値段の高いお店のハンバーグは、パン粉や玉ねぎの量が少ないから固いんですね。

野田 高級店の肉肉しいハンバーグはギュッと締まってますよね。

松本 庶民的なお店のハンバーグは、パン粉などがたくさん入るのでふわふわっとなります。私はあまり上等なハンバーグ好きじゃないんですね。ちょっと多めにパン粉などが入っている方が美味しいなって思います。

それから、玉ねぎを炒めてから加えるというレシピが多いみたいですけど、炒めないままみじんに切っただけで入れても、さっぱりしてそれはそれで美味しいの。よく炒めてアメ色にすると甘くなります。そこは本当に好みが分かれるみたい。若い人は意外と、炒めないでさっぱりした方が好きっていう人が多いみたい。

野田 僕も炒めない方が好きですね。

松本 玉ねぎを炒めないなら、ハンバーグはもう本当に簡単にできますね。ひき肉にパン粉と玉ねぎをどんどんと入れていけば、それだけで済んじゃう。とても楽だと思うんですね。

野田 焼く前にぽんぽんやって空気を抜くのは、何のためなんですか。

松本 ひき肉なのですき間があるでしょう。空気が入っていると焼いた時に熱が通りにくいことと、膨張して割れたりするので、空気を抜きましょうって言われるんですけどね。でもハンバーグが破裂したとかあまり聞きませんよね。だからぽんぽんやらなくてもそんなにひどいことにはならないと思いますよ。けれど、楽しいので私はしています。

野田 そう考えると、ハンバーグってそんなに面倒な料理ではないですね。

松本 ホントに手間のかからない料理だと思うんですけどね。次々に入れて混ぜればいいだけですからね。

野田 ソースはどうされていますか。

松本 一番簡単なのは、トマトケチャップとウスターソースを混ぜたもの。私はこれが好き。中濃ソースでもウスターソースでも、どちらでも大丈夫。混ぜる割合で、その家の味が出るといいなあって思います。

野田 そういう簡単な「家庭の味」はいいですね。いまでもご自宅でハンバーグとか作られるんですか。

松本 作りますね。私は手軽に次々混ぜるだけ。面倒な時や時間がない時は、小さめのフライパンにそのままぺちゃぺちゃっと延ばして「鍋焼きハンバーグ」とか言って(笑)。ちょっとくぼみを付けてそこに卵を割って蒸し焼きにしたりするんですよ。丸めると手が汚れて次の仕事ができないでしょ。それだったらボウルからフライパンに直接入れちゃえと思って。美味しいですよ。

関連書籍

〈教えた人〉松本仲子/〈教わった人〉野田真外『その下ごしらえ、ホントに必要? 段取り少なく美味しくできる、家庭料理の新常識レシピ』

家庭で炊事担当になった男性TVディレクターが女子栄養大学名誉教授に教わった、「本当はやらなくていいこと」を省いて美味しい料理を作るコツ

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その下ごしらえ、ホントに必要?

家庭で炊事担当になった男性TVディレクターが女子栄養大学名誉教授に教わった、「本当はやらなくていいこと」を省いて美味しい料理を作るコツ。

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野田真外 映像ディレクター

1967年生まれ。福岡県北九州市出身。CM制作会社、フリーランスを経て、2003年に有限会社グラナーテ設立。TV番組など映像の演出をメインにグラビアDVDから温泉旅番組、オタク番組まで幅広く活動。主な映像作品に『東京静脈』(03)『行くぞ! 30日間世界一周』(08)等。押井守原理主義者で1997年には研究本『前略、押井守様。』(フットワーク出版)を上梓。

松本仲子

1936年生まれ。女子栄養大学名誉教授。聖徳大学大学院兼任講師。管理栄養士。医学博士。専門分野は調理学、官能評価法、食文化論。「調理法の簡便化が食味に及ぼす影響」等の研究多数。著書に『楽しい食品成分のふしぎ 調理科学のなぜ?』(朝日新聞出版)、『調理と食品の官能評価』(建帛社)、『日本食と出汁―ご馳走の文化史―』など多数。

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