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その下ごしらえ、ホントに必要?

2022.02.03 公開 ツイート

枝豆はゆで上がってから 振り塩をする方が美味しいと思いますよ。 野田真外/松本仲子

コロナ禍を経て、自宅で料理をする人が男女共に増えています。でも、いざ始めてみると色々と素朴な疑問が出るものですよね。そんな料理初心者の方をはじめ「なんとなく日々料理をこなしているけど、自己流でやっていてイマイチ美味しくならない」という方にお勧めなのが『その下ごしらえ、ホントに必要?』です。必要だと思っていたけれどやらなくてよかったことや、これは外さないで! ということが分かる本書から少しずつ試し読みを掲載致します。

(写真:iStock.com/flyingv43)

野田 居酒屋さんなんかでよく枝豆を頼むんですが、ちょっと固いかなと思うことがあって。

松本 お料理屋さんの枝豆は鮮やかな緑色で出てきますでしょ。枝豆はゆでる時間が長いと色がくすんできますので、ゆで時間を短めにしてるのかも。お料理屋さんはどうしても色をきれいにしたいっていうのがありますものね。でも、あれくらいが美味しいという人もいますよ。

私はもっと時間をかけて、色は気にせずにゆでるの。そうするとお豆の甘味が出て私が好きな味になるんですね。だけど色はもう落ち着いちゃってる。どっちを取るかですよね。お料理屋さんだとやっぱり見た目の美しさが欲しいでしょうから、短時間で青くゆでる。だけど私は色はいいので味を取る。味がずいぶん違いますものね、枝豆は。

野田 ゆで時間はどれくらいですか。

松本 豆の大きさや鮮度などによりますが、再沸騰して早ければ1分くらいでさやが割れてきます。

野田 そうなんですね。

松本 私はそれを目安に5分くらいゆでますね。柔らかくゆでます。もやしの時も話しましたけど、途中で取って食べてみて「ああこれくらいでいいな」って。それで決めますね。自分好みの固さにゆでるのが美味しく食べるコツではないでしょうか。

野田 本やネットで、「枝豆のゆで方のコツ」みたいなのを見ると、たいていは短いゆで時間の「料亭方式」が書いてありますよね。

松本「料亭方式」だと、さやの両端を切って、塩水でゆでて、そして青いところで取り出しますよね。あとゆでる前に、うぶ毛をこすって取るとかいいますけど……私は何もしません(笑)。ちょんちょんと枝から外したら、そのままゆでます。

野田 塩水じゃないんですか。

松本 そうなの。真水でしっかりめにゆでて、ザルに上げて湯気がもわーっと出終えた時にお塩をばーっとまぶして、それで終わり。そうすると口に持って行った時に、まず舌にお塩が当たって塩味を感じたところに、味のないお豆がぷちゅんと入ってくる。それが一番美味しいと私は思うので。

それと、枝豆がたくさんある時は、一度に食べられませんでしょ。その時は、残す方をちょっと浅めにゆでておくといいですよ。この次頂く時にはもう一度ゆでて頂くんです。ゆで直しするから少し浅めで冷蔵庫に入れておく。

野田 ゆでずに冷蔵庫に入れておくより、よりそっちの方が新鮮に頂けるんでしょうか。

松本 例えばトウモロコシは「北海道で朝穫れたものを飛行機で送ってきました」とか言うでしょう。時間が経つと糖分がどんどんでんぷんになっていくんですね。そうするともう味がしなくなってきます。枝豆も同じ。早くゆでておいた方が味が残る。だから先にゆでておいた方が美味しいと思いますよ。トウモロコシでしたら、ゆでて冷凍したものをミキサーにかけるとフレッシュのコーンスープが楽しめます。

野田 なるほど。今度試してみます。

関連書籍

〈教えた人〉松本仲子/〈教わった人〉野田真外『その下ごしらえ、ホントに必要? 段取り少なく美味しくできる、家庭料理の新常識レシピ』

家庭で炊事担当になった男性TVディレクターが女子栄養大学名誉教授に教わった、「本当はやらなくていいこと」を省いて美味しい料理を作るコツ

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その下ごしらえ、ホントに必要?

家庭で炊事担当になった男性TVディレクターが女子栄養大学名誉教授に教わった、「本当はやらなくていいこと」を省いて美味しい料理を作るコツ。

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野田真外 映像ディレクター

1967年生まれ。福岡県北九州市出身。CM制作会社、フリーランスを経て、2003年に有限会社グラナーテ設立。TV番組など映像の演出をメインにグラビアDVDから温泉旅番組、オタク番組まで幅広く活動。主な映像作品に『東京静脈』(03)『行くぞ! 30日間世界一周』(08)等。押井守原理主義者で1997年には研究本『前略、押井守様。』(フットワーク出版)を上梓。

松本仲子

1936年生まれ。女子栄養大学名誉教授。聖徳大学大学院兼任講師。管理栄養士。医学博士。専門分野は調理学、官能評価法、食文化論。「調理法の簡便化が食味に及ぼす影響」等の研究多数。著書に『楽しい食品成分のふしぎ 調理科学のなぜ?』(朝日新聞出版)、『調理と食品の官能評価』(建帛社)、『日本食と出汁―ご馳走の文化史―』など多数。

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