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自分に適した仕事がないと思ったら読む本

2021.12.03 公開 ツイート

職場で失敗しないための5カ条。文句は本人に、ほめ言葉は陰で言え 福澤徹三

富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる時代。先行きの暗い中、私たちはどう働けばよいのか……。その悩みに答えてくれるのは、高校卒業後、営業、飲食、アパレル、コピーライター、デザイナー、専門学校講師など、20以上の職業を経験した小説家、福澤徹三さん。著書『自分に適した仕事がないと思ったら読む本』には、福澤さんが長年かけて培った仕事術・就職哲学が詰まっています。その中身を一部、ご紹介しましょう。

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陰口は必ず本人に届く

私見ですが、職場で失敗しないための原則は、次の5点に尽きます。

(写真:iStock.com/vittaya25)

(1) 時間を守る

(2) 嘘をつかない

(3) ひとの陰口をいわない

(4) 恩を着せない

(5) 常に相手の立場で考える

「なんだ、そんなことか」と思われるかもしれません。いまさらわたしが書くまでもなく、さまざまな書籍で似たような教訓があげられています。

けれども、あなたの周囲でこれらを実践しているひとが、どのくらいいるでしょうか

 

(3) の「ひとの陰口をいわない」について考えてみましょう。

「ひとを誹(そし)るは鴨の味」といいますが、仕事帰りの居酒屋などで、横柄な上司や生意気な同僚の悪口を肴に酒を呑むのは痛快です。なぜ痛快かというと、相手をこきおろすことによって、自分が正当化されるからです。

自分は悪くない。つまり相手の「せい」にしているわけですが、この度合がすぎると進歩がないのは、先に述べたとおりです。

しかし、どう考えても上司や同僚に非がある場合だってあります。陰口をいいたくなるのは当然です。それでも、陰口はいわないほうがいいのです。

なぜなら陰口は、必ず本人に届くからです。

 

内緒のはずの陰口が、どうして本人に伝わるのかといえば、理由は簡単で、誰かが告げ口をしたからです。「ひとの口に戸は立てられず」というように、どんな密室でおこなわれた話でも、必ず外へ洩れます。

洩れたら最後、一瞬にして本人の耳に入ります。「これは、ここだけの話」とか「絶対、誰にもいわないでね」という前振りではじまる話ほど、あてにならないものはありません。まったくおなじ前振りで、誰かが必ず口外します。

 

ひとの陰口をいう人物は、ほかの場所でも陰口をいうものです。

あなたがいない席では、おなじ人物がおなじ口調で、あなたの陰口に花を咲かせていると考えるのが自然です。

経験のある読者も多いでしょうが、「誰それさんが、あなたのことをこういってる」と間接的に聞くほどいやなものはありません。たちまち怒りが沸騰し、自分の陰口をいったという人物の印象は最悪になります。

ほめ言葉は陰で言おう

もし、あなたが誰かの陰口をいって、それが相手に伝わったらどうでしょうか。

「なあに、あんな奴に嫌われてもいい」と思うのは軽率で、むこうも黙ってはいません。

相手はことあるごとに、あなたの陰口をいいふらします。そうなったら、もう泥仕合で収拾がつきません。相手が辛抱強くて陰口をいわない場合でも、あなたに好印象を持っていないのはたしかでしょう。

(写真:iStock.com/vittaya25)

職場に敵を作るのは、百害あって一利なしです。

ただでさえ仕事で忙しいのに、敵のことまで考えていたら身が持ちません。そういう状況に陥らないためにも、陰口はつつしんだほうがいいのです。

どうしても文句がいいたいのなら、本人に直接いうべきです。それで角が立っても、陰口ほどにしこりは残りません。

 

反対にほめ言葉は、なかなか相手の耳に届きません。他人をほめてもおもしろくないし、ひとによっては嫉妬もするからです。

それだけに、ひとを介してほめ言葉を聞くのはうれしいものです。

「あなたのことを、誰それさんがほめていた」と聞けば、誰しも悪い気はしません。

相手から直接ほめられるとお世辞に聞こえますが、ひとを介すると本心に聞こえます。したがって、ひとをほめたいなら、陰でいったほうが効果があるのです。

 

ただ、ひとをほめるにもコツがあって、なんでもほめればいいというものではありません。相手がほめてほしいと思っているところをつくのが肝心で、それには日頃からの観察が必要です。他人が気づかない、そのひとの長所や、そのひとが陰ながら努力しているところをほめるのです。

何度もいうように、ほめ言葉はなかなか本人に伝わりませんから、過剰にならない程度に、あちこちで吹聴するしかないでしょう。

けれども、ひとたび耳に入れば、相手を快くするのはまちがいありません。

つまり「文句は本人にいえ、ほめ言葉は陰でいえ」ということです。

 

ただし、これは自分が下っぱの場合で、上司になったら、部下をひと前でほめることも必要です。まわりに対してのアピールもあるし、なによりも本人が喜ぶからです。

関連書籍

福澤徹三『自分に適した仕事がないと思ったら読む本 落ちこぼれの就職・転職術』

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自分に適した仕事がないと思ったら読む本

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福澤徹三

1962年、福岡県北九州市生まれ。デザイナー、コピーライター、専門学校講師を経て、作家活動に入る。2008年『すじぼり』で第10回大藪春彦賞を受賞。14年には『東京難民』が映画化され話題に。小説作品以外にも、『自分に適した仕事がないと思ったら読む本 落ちこぼれの就職・転職術』など、仕事や就職をテーマにした新書も発表している。

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