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自分に適した仕事がないと思ったら読む本

2021.11.23 公開 ツイート

書類選考を突破するひと工夫。既成の履歴書を使わない、感謝の手紙をつける 福澤徹三

富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる時代。先行きの暗い中、私たちはどう働けばよいのか……。その悩みに答えてくれるのは、高校卒業後、営業、飲食、アパレル、コピーライター、デザイナー、専門学校講師など、20以上の職業を経験した小説家、福澤徹三さん。著書『自分に適した仕事がないと思ったら読む本』には、福澤さんが長年かけて培った仕事術・就職哲学が詰まっています。その中身を一部、ご紹介しましょう。

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このひと手間で差をつける!

毎回、書類審査で落ちて、不採用通知とともに履歴書がかえってくる。その理由は単純で、応募書類に魅力がないからです。

(写真:iStock.com/AH86)

新卒者の場合は、会社訪問や面接の前に資料請求をするのがふつうです。

資料請求といえば、自分が資料を見るためにすると思っている学生もいますが、資料請求は企業側の判断材料でもあります。

どこの人事部も、資料請求をした学生をきちんとチェックしています。なんのためにそうするかといえば、この学生は最初からうちの会社に興味を持っていたのか、それとも、どこかに落ちて駆けこみで、うちの会社を受けたのか、会社訪問や面接の段階へ進んだときに、そうした判断をするためです。

 

したがって資料請求は、「おたくの会社の面接を受けるかもしれない」という意思表明でもあるのです。最近はメールでの請求やエントリーシートによる申込みが多いようですが、大学や専門学校では資料請求用のはがきを用意しているところもあります。

けれどもメールにしろ、はがきにしろ、ただ資料を送れというのは、先方に対して失礼です。学生から資料を請求されても、企業にはなんのメリットもありません。

忙しい仕事の手を止めて、資料を集めねばならないだろうし、それを入れる封筒も用意しなければなりません。封筒には宛名も書かなければならないし、切手を貼って投函までしなければなりません。

それが人事の仕事といえばそれまでですが、切手代や封筒代もかかるし、人件費だってかかるのに、どこの誰ともしれない学生へ、わざわざ資料を送ってくれるのです。

その企業へ入るかどうかはべつにして、化粧品会社にサンプルを請求するのではないのです。「よろしくお願いします」の手紙くらいあってもいいのではないでしょうか。手紙といっても、たかだか便箋一枚です。書くのに5分とかかりません。

 

資料請求用のはがきがあるからといって、それを使う必然性はありません。はがきを使う場合でも、封筒に入れれば、お礼の手紙もつけられます。

あるいは、はがきをやめて資料請求も便箋に書いたらどうでしょう。大きめの封筒を使えば、便箋と一緒に返信用の封筒だって入れられます。そこにあらかじめ切手を貼って、自分の住所と名前を書いておいたら、人事担当者の仕事は半減します

ほとんどの学生が事務的にメールやはがきを送りつけてくるなかに、そんな学生がいたら、人事担当者はどう思うでしょう。ひまな学生がいるなと思うでしょうか。よけいなことをしやがってと怒るでしょうか。

 

こんなことは相手の立場になって考えれば、誰にでもわかります。就職活動というのは、ひいては仕事というのは、一事が万事この応用です。

オリジナルの履歴書をつくろう

履歴書を企業に送るということは、先方に審査をしてもらう。すなわち資料請求とおなじく手間をかけるということです。審査する行為自体も手間ですが、書類審査で通った場合はその通知を、落ちた場合も履歴書と通知を送らねばなりません。

(写真:iStock.com/yuruphoto)

まだ顔も知らない相手にそれだけの手間をかけるからには、やはりひとことあって当然です。「このたびはよろしくお願い申しあげます」、その気持だけは伝えましょう。

なんだ、また手紙かと思うかもしれませんが、先方とは一期一会の縁です。

審査に落ちたら、おたがいに逢うことはないのです。その相手に対して、わずかながらも礼をつくしたいと考えるのは不自然でしょうか。

 

礼をつくすだけでもいいのですが、せっかく履歴書に手紙を添えるからには、ほかにも書くべきことがあるでしょう。履歴書には書けなかった自己PRや志望動機を嫌味にならない程度につづれば、それだけでほかの応募者と差をつけられます。

もっと差をつけたいなら、既製のものを使わないという手があります。自分でオリジナルの履歴書を作ってしまうのです。

パソコンが使えるのなら、履歴書のデザインなんて簡単です。自分で作るのだから、必要な欄は大きく、不要な欄は縮小するか、とってしまってもかまいません。

もちろん基本的な情報は省けませんが、それ以外は自由自在です。印刷した履歴書に手書きで書いてもいいし、字が下手ならパソコンで内容まで入力してもいいでしょう。アピールしたい職歴がある場合は、職務経歴書を兼ねた履歴書にするのも手です。印刷する紙にもこだわれば、斬新な履歴書ができあがるはずです。

 

学生にもおなじことをいうのですが、たちまち気弱な質問が相次ぎます。

「履歴書を送れと書いてあるのに、手紙を一緒に送ったらいけないんじゃないですか」

「やっぱり既製の履歴書じゃないといけないんじゃないですか」

学生たちが「××してはいけない」といったルールを恐れてばかりいるのは、学校教育の弊害だと思います。世の中には破ってはいけないルールと、破っていいルールがあるのを早い時期から教えてほしいものです。

 

ともあれ彼らの質問に答えると、まず「手紙を一緒に送ってきたから不合格」というような企業には就職しないほうが身のためです。万一そういわれたのなら、事前にだめな企業がわかっただけでも収穫です。

関連書籍

福澤徹三『自分に適した仕事がないと思ったら読む本 落ちこぼれの就職・転職術』

富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる時代。年収二百万円以下の給与所得者は、すでに一千万人を超えた。拡大する賃金格差は、能力でも労働時間でもなく、単に「入った企業の差」である。こんな世の中だから、仕事にやる気がでなくてあたりまえ。しかし働くよりほかに道はない。格差社会のなかで「就職」をどうとらえ、どう活かすべきなのか? マニュアル的発想に頼らない、親子で考える就職哲学。

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自分に適した仕事がないと思ったら読む本

富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる時代。先行きの暗い中、私たちはどう働けばよいのか……。その悩みに答えてくれるのは、高校卒業後、営業、飲食、アパレル、コピーライター、デザイナー、専門学校講師など、20以上の職業を経験した小説家、福澤徹三さん。著書『自分に適した仕事がないと思ったら読む本』には、福澤さんが長年かけて培った仕事術・就職哲学が詰まっています。その中身を一部、ご紹介しましょう。

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福澤徹三

1962年、福岡県北九州市生まれ。デザイナー、コピーライター、専門学校講師を経て、作家活動に入る。2008年『すじぼり』で第10回大藪春彦賞を受賞。14年には『東京難民』が映画化され話題に。小説作品以外にも、『自分に適した仕事がないと思ったら読む本 落ちこぼれの就職・転職術』など、仕事や就職をテーマにした新書も発表している。

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