1. Home
  2. 暮らし術
  3. ゴルフは名言でうまくなる
  4. 「1日30分、ゴルフのことを考えればシン...

ゴルフは名言でうまくなる

2021.10.03 更新 ツイート

第193回

「1日30分、ゴルフのことを考えればシングルになれる」――鍋島直要 岡上貞夫

本当に身につくのは、自分で考え、研究した方法だけ

鍋島直要(なべしま・なおもと)氏は佐賀藩主の家系(13代当主)で、日本アマチュア選手権で3連覇した名ゴルファー鍋島直泰氏(12代当主)の息子さんだ。

日本ゴルフ協会常任理事を務め、アマチュア時代の倉本昌弘プロ(現・日本プロゴルフ協会長)やアマチュアゴルフ界を牽引した阪田哲男氏など、多くのゴルファーに教訓を与えた。

 

自身も世界アマの日本代表を担うなど名ゴルファーとして知られ、1963年にはフィリピン・マニラのワクワクG&CCで開かれた第1回アジア・アマチュア・チーム選手権で日本チームの一員として戦い、優勝した。

お殿様の家系だからか、フットジョイのゴルフシューズをワンラウンド履いただけでゴルフ場の研修生にあげていたとか、武勇伝が多い人でもある。アマチュアゴルファーは、ゴルフで金を稼ぐプロとは一線を画し、ゴルフから利益を得ようとしない優雅さと潔さ、プレーに対する厳しい姿勢を持っていなければならないと、アマチュアリズムを大事にしていたようだ。

どんなに素晴らしいゴルファーであっても、そのマネをすることを許さず、自分自身のオリジナルなゴルフをするよう後輩を教えたと言われている。倉本プロなどは、全英オープンでトム・ワトソンのスウィングに見とれ、練習でマネしていたところ「そんなチビのワトソンがいるか!」と一喝されたそうだ。

そんな直要氏が、アマチュアに向けてよく言っていたと伝えられているのが表題の名言だ。

「普通のアマチュアは、月に一度のラウンドと、週に一度の練習と、1日30分、ゴルフのことを考えればシングルになれる」

ここで言う「月に一度のラウンドと、週に一度の練習」には、「最低でも」という枕詞がつくという認識でいいだろうというのが、弟子である阪田哲男氏の見解だそうだ。

たしかに、月イチのラウンドと週イチの練習だけでは、シングルハンディを取るのはちょっと難しいようにも思えるが、重要なのは後半部分の「1日30分、ゴルフのことを考えれば」というところだ。これが、ラウンドや練習場での球打ちよりもシングルハンディ取得に大きな影響を与えるということを直要氏は言いたかったようだ。

たとえば、直要氏はスウィングについて技術的なことは教えず、ヒントだけを与えて自分で考えさせるという指導法だった。ヒントを与えられた弟子は、自分なりにいろいろと考えて打開策を見つけていくことになる。それは、自分の身体や感覚に沿って研究したオリジナルなものになるから、簡単には忘れず、本当の意味で身についていくのだ。

「ここをこう直して」と教えられれば、すぐに改善してしまうかもしれないが、それはその場だけ。しばらくするとまた崩れてしまい、長続きしないものだ。自分で考えてたどり着いたものとは、身につく度合いが異なるのだ。

女子プロのクラブセッティングやホールの攻め方を参考に

ゴルフについて考えることは、ゴルフ場でラウンドしなくても、ドライビングレンジに行かなくても、どこででもできる。考えるべきテーマもたくさんあって尽きることはない。

テレビ中継を見て、選手のアドレスへの入り方やホールを攻めるマネジメントを参考にして、自分ならどうするかを比較して考える。とくに、一般の男性アベレージゴルファーに近い飛距離の女子プロがやっていることは参考になるだろう。

アプローチショットでの狙い方、ストロークのしかた、構え方なども大いに参考になるだろう。ただマネをするのではなく、参考にして自分のオリジナルの方法を考えるのだ。

女子プロがどんなクラブセッティングをしているのかを見て考えるのもいいだろう。最近は、優勝者や有名プロのクラブセッティングをよくネットで紹介している。フェアウェイウッドとユーティリティとアイアンの構成、ウェッジを何種類入れているか、どんなシャフトを使っているかなど、スコアを作るための工夫が盗み取れるかもしれない。

前回のラウンドの反省をするという方法もある。球聖ボビー・ジョーンズも「どんなラウンドでも、あとから考えると1打くらい節約できたと思えるストロークが必ずあるものだ」という言葉を残したように、「あのミスは防げたはずだ、もったいなかった」と思えるようなミスがワンラウンドにいくつかはあるものだ。

あの球聖ですら1打あるくらいだから、アベレージゴルファーは10打以上あるのではないだろうか。シングル目前というような10~12ぐらいのハンディのゴルファーでも、ハーフに2つぐらいの「もったいないミス」があるに違いない。

1日30分考えれば、ラウンドや練習の質が上がる

たとえば、こんなときだ。

ドライバーは今日イチでフェアウェイのセンター、友人もナイスショットで自分よりは2ヤードほど飛んでいないが、やはりフェアウェイでグリーンまで100ヤード程度と互角。グリーンは大きく、そこから乗らないことはほとんど考えられない。まず、友人が打ってピンハイのワンピンにつけた。そして自分の番になったが、ガッツリとダフってグリーンに30ヤードも届かなかった。そのショックを引きずってアプローチも寄らず、10mのパットを3パットしてダブルボギーを打ってしまった。

このケースでは、ひとつのホールで1打どころか2打も損をした気分だろう。いったいどうして、そんなミスをしてしまったのか――原因を考えることは、後々のラウンドに大いに役立つはずだ。

  • 友人がワンピンにつけたので、無意識にその内側に入れたいという欲が出た
  • 自分にプレッシャーをかけてしまい、スムースなスウィングができずダフった
  • そのことに動揺しているのに、リセットできないままアプローチしてしまった
  • それらのミスを、なんとかチャラにしようとファーストパットを強く打ってしまった

このような反省が浮かんでくることだろう。そうすれば、対処法も思いつくはずだ。

  • 自分の実力を考えたら、距離もバラつくし、方向だって狂う。それが完璧にうまくできてベタピンに寄るなんていう確率は5%もないだろう。もっと確率の高いセンター方向を狙っていれば、少なくともグリーンには乗っていたはずだ。他人のショットを気にしすぎるのもよくない。
  • ミスをしたら、まずは深呼吸をしてリセットすることを忘れないようにしよう。そうすればボギーで済んだはずだ。
  • その場でなんとか取り戻そうとすると、かえって悪循環を招く。ミスしたスコアを取り返すのは次のホール以降でもできるから、焦らないことが大事だ。

こう考えられれば、次のラウンド以降で同じような場面に遭遇したとき、また同じようにミスしてしまうことを、かなり防げるに違いない。

シングル目前のゴルファーがこのように考えることによって、2~3ストローク節約できるようになったら、もうそれだけでシングルハンディになれるのだ。

ゴルフのためにと、自分の身体のことを考えるのも大事だ。どうすれば加齢にともなって落ちる筋力を維持できるか、故障しやすい手首、ひじ、肩、腰、ひざなどのケガをいかに予防するかなど、日常生活のなかでできることを考えることは、長くゴルフを楽しむためにも重要だが、シングルハンディを目指すにも健康体が基礎であること言うまでもない。

シングルハンディキャッパーというのは、歳をとってもそのハンディを維持するために、あるいはさらに向上させるために、かくもゴルフに関連してくるあらゆることを、いつも考えているものなのである。

ゴルフは奥深いゲームだから、考えるべきテーマも多岐にわたる。日頃から考える習慣をつけていれば、ラウンド中も自然と考えてプレーできるものだ。何も考えずやみくもにボールを打っていくゴルフと、考えてプレーするゴルフでは、その結果であるスコアに必ず差が出る。

飛距離の出るドライバーや見栄えのいい球筋のアイアンショットが、シングルハンディの条件ではない。また、それができる筋力や技術を習得するには、長い時間と費用をかけなければならない。

しかし、月イチのラウンドや週イチのドライビングレンジでも、1日に30分、ゴルフに関わることをよく考えていれば、ラウンドや練習の質を上げることになるはずだ。その積み重ねがシングルへの道を拓くと、直要氏は伝えたかったのだろうと思う。

実際のところ、5下のシングルプレーヤーでも、プロ級の目の覚めるようなボールを打つ人ばかりというわけではないし、70代や80歳を超えていても79以下のスコアで回るゴルファーはたくさんいる。彼らに共通しているのは、「考えてゴルフをしている」ということなのである。

【最新刊】『90を切るゴルフの名言33』

伝説のアマチュアゴルファー・中部銀次郎が「心が8割、技術は2割」と言ったように、ゴルフでは技術以外の要素がスコアを大きく左右する。そこで頼りになるのが、プレーに対する考え方のヒントが詰まった名選手たちの言葉だ。40年以上シングルハンディを維持する著者が、選りすぐりの名言と知られざるエピソード、独自の練習法などを紹介。「カップに打つのではない。カップの1ヤード先に打つのだ」(サンディ・ハード)、「バンカーでは決して欲張ってはいけない。ボールを出すだけで満足せよ」(ハリー・バードン)など、読むだけでスコアがみるみる伸びる!

 

参考資料:
・阪田哲男『ゴルフ 阪田哲男の「シングルの流儀」』学研プラス、2020年

・「ゴルフのために!(倉本昌弘)」コーチの神髄。、2014年12月10日

・「スーパーアマからエリートプロへ 倉本昌弘を紐解く/ゴルフ昔ばなし」GDOニュース、2018年11月16日

関連書籍

岡上貞夫『ゴルフは名言でうまくなる』

「プレー前夜に読む過去の名手の福音は、私にとって心のレッスン書、最高の良薬である」――伝説の名手ベン・ホーガンの言うとおり、ゴルフ上達のヒントは、往年の選手たちの一言に隠されている。スランプに陥るたび、古今東西のプロアマが残した名言にインスピレーションを得たという著者が、その背景や解釈、独自の練習法を紹介。「インパクトで左手の甲を目標に向けたら、ボールは目標へ向かって飛ぶ」(リー・トレビノ)、「風雨の激しい日は、あらかじめ5打多く打つ覚悟を決める」(ウォルター・ヘーゲン)ほか実践的名言35を厳選。アベレージゴルファー必読の書。

平林孝一『1日1分! かんたん! 100を切る! 体幹ゴルフ入門』

レッスン歴40年のプロが教える、正しい体の使い⽅。 体の動かし⽅を変えるだけで⾶距離10ヤードUP! -5打 への近道は「体幹」にあった! ⾃宅にいながらすぐに実感できる35の極意・21のエクササイズを、豊富なイラストとともに解説。

北見けんいち/金谷多一郎『ナイスショットはリズムが9割!』

『釣りバカ日誌』でおなじみ北見けんいちさんのマンガと、金谷多一郎プロのロジカルでやさしい解説。 ティーショットやパターの極意、ミスしたときの気持ちの整え方まで、充実の22レッスンを収録。 これを読めば、あなたも明日からシングルになれるかも?

{ この記事をシェアする }

ゴルフは名言でうまくなる

スコアアップの鉄則は、古今東西・名選手の金言に学ぶ。読むだけで100を切る! 知的シングルゴルファーになるためのヒント。

バックナンバー

岡上貞夫

1954年生まれ。千葉県在住。ゴルフエスプリ愛好家。フリーライター。鎌ヶ谷カントリークラブ会員。1977年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。大学入学時は学生運動による封鎖でキャンパスに入れず、時間を持て余して体育会ゴルフ部に入部。ゴルフの持つかすかな狂気にハマる。卒業後はサラリーマンになり、ほとんど練習できない月イチゴルファーだったが、レッスン書ではなくゴルフ名言集やゴルフの歴史、エスプリを書いたエッセイなどを好んで読んだことにより、40年以上シングルハンディを維持している。初の著書『ゴルフは名言でうまくなる』(幻冬舎新書)が好評発売中。

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP